譜面台の陰から



                   


                           >見ると聴く<





 上達を考える時、

基礎、基本、応用という技術的なことをたどるのも確かに重要であって、

これが実は一番目に見える上達のといえると思う。

実際、昨日までできなかった指の動きが今日できてれば、

これは目に見える上達といえるわけで、

これだけでも大きな喜びとなると思う。

これも基礎の段階であればこれだけで十分といえなくもない。

ギターを持って弾く姿勢とともに、

左右の指が自在になっていく過程というのは、

自分の変化を見ることのできる面白さがあると思う。

しかし、この基礎の段階というのは、

当然ながら次の段階に進んでいくわけで、

そこで終了というのはほぼない・・・。


 楽器に限らないと思うのだが、

ひとつの段階が終了すると必ず次の段階の扉が開く。

これの繰り返しで技術的な上達のというのは成されていくと思う。

しかし、楽器の演奏技術というのは、

ある程度機械的に上達する部分というのはあるわけだが、

それはある程度のところまででそれ以上の上達となると、

機械的な部分だけでは難しくなってくる。

もちろん楽器というのは技術的な部分が上達してくれば、

音楽という側面がクローズアップされてくる。

音楽というのは技術的な側面だけで解決できるものでもない。

また単純に機械的なトレーニングだけで、

演奏技術が上達し続けるものでもない。

技術的な進歩を大きく引き上げていくには、

イマジネーションの膨らみが大きな意味を持っている。

音楽というのはメロディーというものがついてるわけで、

これをどう弾くかというのがある程度にレベルになると問題になってくる。

なんだかわからない状態で弾いていて満足する人はあまりいない・・・。

そこでこのメロディーをどう弾きたいという欲求なりでてくるのが普通だ。

しかし、どう弾くかというのは実はイマジネーションの膨らみ次第なのだ。

イマジネーションの膨らみが小さければどこまでの弾けたになるわけだ。

技術的にもその小さい膨らみの状態が弾ければ、

それで良しのレベルにととどまるだろう・・・。


 基礎の部分では教える側に大きな責任がかかってくるのは当然だ。

しかし、ある程度の技術を獲得した状態になると、

そこからは本人の姿勢の問題が出てくる。

どう弾いていいていきたいかよって、

技術的な上達というのは大きく左右されてくる。

結局、楽器と音楽に対するイマジネーションを、

どこまで膨らませることが出来るかで、

上達というのは個人差が出てくるといえるだろう。

では、イマジネーションというのは、

どのように膨らませることが出来るのだろうか・・・。

人間というのは語感というのがあるのは周知のことだが、

音楽にかかわる感覚というのは視覚と聴覚が大きくかかわってくると思う。

これは大きくとらえてという意味で、

探ればもっと細かくはいろいろあると思う。

あまり細かく探る紙面もないので大きくこの二つに絞っていたい。


 視覚というのはもちろん見るということだ。

なにを見るかということになると、

それは演奏している姿を見るということだ。

もちろん世界的なプロの演奏スタイルから初心者までのことだ。

しっかり見ていけば今の自分の姿勢が分かる。

しかも指の動き一つ一つが具体的なものとして、

イメージを得ることが出来る。

プロの指の動きというのはよくトレーニングされていて動きもきれいだ。

このイメージをしっかり持つことは、

自分の指の動きにとって重要な意味を持つと思う。

この動きのイメージの応用が練習に反映されていけば大きな進歩が期待できる。

これで指の動きのイメージというのはゼロからすれば大きく膨らませられると思う。

メロディーをどう弾くかについてはどうだろう・・・。

もちろん同じメロディーをプロの演奏で弾かれるということはあまりない。

では、何がイメージをふくらましてくれる要素があるのだろうか、

メロディーというのはいろんなニュアンスの複合体であるわけで、

その複合体としてのメロディーの完成度がプロの演奏にはあるということだ。

その完成されたメロディーが印象として自分の中に取り入れられれば、

今自分の弾いている曲をどう弾こうという要求になって出てくると思う。

なにも出てこないってことももちろんあるわけで、

それは聴く頻度が低いということにつながる・・・。

やはりどんなことにも繰り返しの要素は必要なわけで、

一回聴いてどうこうというほど人間の感覚というのは甘くない・・・。

このどう弾くというイマジネーションが広がることによって、

指の動きというもののトレーニングにも影響が出てくると思う。

こう弾きたいと思えばそのように指を動かす訓練をしなければならない。

イマジネーションが広がればそこにどう弾くというイメージが生まれて、

イメージにより近付けるための練習が必要になってくると思う。

聴く、見ることによって膨らんでいく、

イマジネーションこそ上達の大きな原動力になっていくと思う。

イマジネーションを膨らませていくというのは、

いろんな意味で上達させる原動力になっていくものだと思う。




 

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