譜面台の陰から
>発表会後記<
第38回、教室発表会が終わった。
梅雨入りが早かったためか梅雨明けも早く、
例年、発表会と梅雨明けが重なるということが多く、
梅雨明けの猛暑初日の発表会というのがけっこうあった。
今年は梅雨明けが早かったために、
猛暑の最中の発表会となった。
今年から発表会の開始時間を一時間早めて12:00からとした。
従来の一時スタートだと、
終わりの時間がホール既定の時間内に収まらなくなったためだ。
皆さんのレベルが年々上がってきて、
演奏曲のレベルも上がり、
演奏時間も長くなってきたということだろう。
これはこれでうれしいことではあるのですが、
時間からすると何か対策を立てないと、
ホールからの苦情が来るばかりとなる・・・。
そこで今回から一時間早めて12:00スタートとなったわけです。
当然ながら集合時間も早くなり、
全体に少しあわただしくなったと思います。
しかし、みなさんの協力もありスムーズに運営されて、
去年より一時間早く終了することが出来ました。
この時点でホッと胸をなでおろしたわけです。
12:00スタートが可能となると、
プログラム的にできることも少し増やせるかもしれないと思いました。
その辺はまた来年の課題となると思います。
全体の演奏の内容はどうだったのかということがあります。
一番に感じたことは演奏内容とはあまり関係がないかもしれませんが、
演奏姿勢が全体としていい感じかなと思いました。
姿勢というのは楽器演奏については最も基本にあたる部分で、
演奏姿勢を見ればだいたいレベルが分かるとも言われてます。
世界的な演奏家を見ても演奏姿勢は実にきれいで整ってます。
姿勢というのは習い始めて最初にギターを構えた時の姿勢です。
これは成りがたく崩れやすい典型的な部分です。
全体をすべて見ていて姿勢はいいと感じました。
子供たちはまだ体も小さくまだできてないので、
完成された姿勢とはいきませんが、
演奏バランスは取れていると思います。
これから成長とともに完成されていくと思います。
演奏に関して具体的に注目して聴いていたことは、
出だしのテンポです。
この曲の出だしのテンポに関してはなかなか難しいところがあって、
普段の練習の時と同じようになかなか出られない・・・。
やはり緊張状態にあり、
この緊張状態から早く脱しようとする本能が働くと、
どうしても少し早目に曲をスタートしてしまうというのが常にあります。
ここのところはなかなか今までも解消されず、
このテンポのために崩れるというのも間々ありました。
かなりテンポに関しては注意してきたつもりですが、
いざとなるとどうも難しい問題になってきました。
今回に関してはかなりうまくいっていたと思います。
予定外のテンポで始まるということがなく、
ほぼ想定外のテンポで始まることが出来ていたと思います。
緊張のため途中で早くなるとうこともありましたが、
始まりのテンポがいいと大きな破綻にはつながらないものです。
ここの細かいミスはありましたが、
流れを壊すようなこともなく全員弾ききったと思います。
こういう場の演奏の後必ず問題として語られるのが、
ミスの有無です。
しかし、このような慣れない場所での一発勝負的な演奏で、
一か所のミスもなく完璧に弾きとおすというのは所詮無理です。
出演者全員ほぼ何らかのミスをしながら弾いていたと思います。
音楽というのは時間の流れの中での出来事である以上、
流れが壊れるというのが最も大きなミスとなります。
流れを壊すようなミスがあったかというと、
今回それはなかったと言えます。
それは終了時間にも大きな影響があったと思います。
非常にスムースな流れが最後まで途切れず、
速やかに進行したことが時間の短縮につながりました。
演奏した本人というのは、
練習の時にミスをしてないところでミスをすると、
それが大きくクローズアップされて印象に残り、
大変な失敗をしたという自責の念にとらわれたりしますが、
実際ほんとに大きな失敗というのは少ないものです。
一番まずいミスとなると流れをしっかり止めてしまったとき・・・、
これは第三者的に見てもあまりいいミスとは言えないものがあります。
流れの中でのミスというのは、
聴いてる方にとっては終わったとたんに消え、
全体の印象だけが残るものです。
全体の印象の中で一番残るのが流れが止まった瞬間です。
ということは流れの中のミスは、
ほとんど印象には残らないということです。
問題になるミスと問題にならないミスというのは、
ここで区別がついてくると思います。
今回の演奏全体で問題になるミスはなかったと思います。
では、実際に皆さんが今回の発表会でなにを得ただろうかということです。
見て、聞いて、演奏して・・・、
という三拍子揃う場というのはなかなかないものです。
初心者の方からかなりのレベルの曲を弾く方まで揃って、
同じ場で演奏するというのは発表会のみといっていいでしょう。
演奏して、取り組んだことがどのくらいクリアされただろうか
見て、自分の演奏している手の動き姿勢はどうか・・・、
聴いて、自分の演奏と比較してどうだろうか・・・。
比較するというと上手だったか下手だったかの話になりやすいが、
そういうことではなく、
自分の演奏のプラスだった部分とマイナスだった部分が、
第三者の演奏を聴くことによって、
明確化できるだろうということです。
その結果として練習方法に工夫が生まれてきて、
プラスの部分を伸ばすための工夫。
マイナス部分をプラスにしていくための工夫。
見方、聴き方も変わっていけるということです。
発表会というギターを練習している人がこれだけ集まる場。
なんとなく過ぎ去るままに過すのは、
なにかもったいない気がするわけです。
いろいろな角度から見てプラスしていければ、
上達も早くなるであろうし、
自分が習っているギターという楽器に対する見識も、
回を重ねるごとにより深くなっていくと思う。
自分が発表会に出ているころを思い返しても、
今、自分が発表会を主宰する立場になっても、
発表会というのは無駄がないなという思いは変わらない。
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