譜面台の陰から
>発表会を考える<
発表会が近づいてきました。
練習にも熱が入ってくる時期ですね。
発表会というのは普段とは違って、
聴衆の前で演奏するということです。
緊張することによってより高い集中力を発揮して、
技術的トレーニングを100パーセント引き出そうとする場です。
出せただけの上達が約束される、
上達という高さを求める意識にとっては非常に重要な場です。
発表会で緊張して演奏した後に、
なぜか指の動きが軽くなったということを、
経験された方も多いと思います。
それは人間にとって緊張するということが、
その場を乗り切る最大の力を引き出させるからです。
その極度に緊張された状態で発揮された脳の働き、
体の動きは人間というものは次に備えてと言えると思いますが、
忘れないようにできてるのです。
緊張という状態の中で得られた情報の積み重ねで、
人間というものが出来ているともいえるのです。
こうして吸収された楽器に対する運動性、志向性の積み重ねが、
上達したという答えだといえると思います。
上記のように舞台で演奏することももちろん大事です。
しかし、演奏した後どうしてるでしょうか・・・。
自分の演奏が終わってしまうと、
もう席にはつかないでいるのでしょうか・・・。
その辺については聞いたことはないのでわからないですが、
果たしてどうしてるのでしょうか・・・。
発表会というのは多くの生徒が演奏します。
もちろん上級の方も始めて間もない方も同じ舞台に立ちます。
ということはオールマイティーのレベルの演奏を聴けるということです。
こういう機会というのは実は他にはないことです。
世界的な演奏家のコンサートにはもちろん足を運びますが、
ここにはそれほど身近な上達の要素はあまりないといえます。
雲の上の存在を眺めていても、
いま必要な情報得ることは難しいということです。
ま、それだけで一括りにはできないことではありますが・・・。
むしろ練習してる段階では、
発表会にこそ有益な情報が無数に転がってるといえるのです。
ただ演奏しただけでは参加費の半分も元を取ってないともいえるのです。
昔、今となってはそのそのその昔。
わたくしがまだ生徒で習っているときの発表会では、
演奏はさっさと終わらせてしまって、
後はプログラム片手に一番前で弾く人を観察してました。
・知らない曲。
・知ってる曲。
・自分がこれから弾きそうな曲。
・いい曲だなぁ・・・と思った曲。
これはよくチェックしてプログラムに書き込んでました。
こうして情報を取っておけば、
自分が課題で練習する時は近道を通ることになりますよね。
後は左右の手の形。
特に右手はよく分からないでいた記憶があります。
一番前でじっと観察していました。
それでもよくはわかりませんでしたが・・・。
気がついて忘れそうなことは必ずメモしておいて、
後で先生に質問したりしてました。
このことは今でも結構参考になってる部分もあります。
とにかくそのの当時の自分にとっては、
プロのようにうまい人もいれば、
自分のようにはじめたばかりの初心者が出てくるわけですから、
情報の宝庫でした。
この当時の印象はいまでも鮮明に残っていて、
ギターを考える上でのいい教科書になってます。
他の生徒の演奏をただ聴くということではなく、
姿勢、右手、左手、音に関し幅広く情報を得る場でもあり、
音楽を考える場にもなるのが発表会だと思います。
演奏というのは聞き方によって、
下手な演奏というのはないんですよね。
>なぜ?<>なに?<>なっとく!<
これが実に数多くの情報として取れる場でもあります。
>なぜ?< が出てくれば、練習が変わる。
>なに?< が出てくれば、見方が変わる。
>なっとく!< が出てくれば、自信が生まれる。
人間というものの行動は、
だいたいにおいて情報によって左右される。
楽器の練習というのは特にその傾向が強い。
新たな情報が入らなければ倦みが生まれ、
倦みの状態が続けば飽きが生まれる。
結局、飽きの状態が長引けば、
それまで積み重ねてきたものを放棄することにつながりかねない。
こういう状況に陥れば、
人生という時間の無駄という結果になりかねない。
人生という時間の長さは有限である以上、
無駄はなるべく避けようというのが、
持たなくてはいけない極めて重要な意識であり思考だと思う。
ひとつのことについて自分の中で飽きるという空間を作らないためには、
やはり新しい情報を常に自分に与え続けなければいけない。
人間というものは新しい情報が感性の中に入ってくれば、
そこには常に新鮮な気分というものが生まれるものだ。
そのことを忘れてはいけないと思う。
倦む空間を作り出してしまう原因は、
自分に対して新たな情報を枯渇させることが最大の原因と言えるだろう。
これは常に自分で気を付けなければいけないことだと思う。
大人となれば自分が動かない限り新しい情報というのは入っては来ない。
新曲に挑戦というのも実は新しい情報を自分に与えるということと同じです。
上達というのはトレーニングというハード面と、
情報というソフト面の積み重ねでなされるものだと思う。
発表会というものは、
その両方を効率良く得る最も有効な手段と言えるのです。
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