譜面台の陰から
>テンポ、リズムを見る<
日本ギター合奏フェスティバルが迫ってきた。
わが教室から毎年恒例ながら、
「アンサンブルヴェルデ」が出場する。
このアンサンブルも長いもので,
結成されてもう17〜8年になる。
レベルはともかく結構続いてるほうかもしれない・・・。
アンサンブルがなぜ必要かと聞かれることもあるが、
一番大きな理由はギターという楽器の持つ特性があげられる。
ギターという楽器は、
メロディーと伴奏が同時に弾ける数少ない楽器の一つだ。
これは大きなメリットだと思う。
しかも持ち運びできるというのは、
これも大きなメリットの一つだ。
しかし、この最大のメリットを裏返すと、
自己完結型の楽器となる。
要するに自分で弾くだけで事足りてしまうということだ。
ところがほかの楽器、
フルート、ヴァイオリン、チェロにしても、
メロディー楽器であるがゆえに伴奏者が必要になってくる。
要するに一人では音楽になりにくいということだ。
無伴奏という形態があるにはあるが・・・。
ところがギターは、
一人でメロディーも伴奏もある程度器用にこなしてしまう楽器だ。
ということは自分以外の楽器と合わせなくても、
なんと音楽になってしまうということだ。
コードが弾けるということはこれだけ大きなメリットがある。
しかし、このメリットが実は大きなデメリットも含んでいる。
自己完結型の楽器の宿命で、
とにかく自分の感覚ですべてが済んでしまう・・・。
それがたとえ間違っていようともだ。
ここが一番の欠点となってくるわけだ。
一番のメリットが一番のデメリットになるという、
なんとも言葉に詰まる状況を持っているのがギターだと思う。
でも、まったく世の中よくしたもので、
このデメリットを解消するすべをギターはちゃんと用意している。
どこまでもなんともお利口さんな楽器なのだ。
ギターのもう一つのメリットはアンサンブルができるということだ。
気軽に楽器を運んで最小限の条件のスペースで練習できる。
これはまた大きな大きなメリットだ。
では、なぜアンサンブルが必要なのか。
ギターという楽器は先にも書いたが、
メロディーと伴奏が同時に弾けてしまう。
これはデメリットとしてみると、
自分がどういう演奏をしているのか見ることができない。
要するにどういう曲をどう弾いてるかは見ることができないのだ。
もっと細かく具体的に言えば、
どういう音符の長さで、
どういう速さで弾いてるのか分からないということだ。
音楽用語でいえばテンポとリズムが見えてない状態で、
演奏しているということだ。
人間、自分を見るには鏡が必要だ。
鏡を見て初めて自分を詳しく観察できる。
鏡を見て、
うっとり見とれるのか、
え!って驚くのかは分からない・・・。
しかし、鏡を見て初めて気が付くのは変わりないと思う。
では、実際の自分の演奏を映す鏡はなんだということになる。
それがアンサンブルということになる。
自分が練習して相手と合わせてみる。
だいたい出す音が随所にずれるていることに気が付くだろう。
どうしてずれていることに気が付くのか。
同時に出なければいけない音がタイムラグで聞こえてくれば、
それはずれてるということになる・・・。
この時点でお互いが自分の演奏の顔を見たことになる。
このずれを修正していくことが鏡で見たとき、
見栄えのいい曲のいい顔になる。
テンポ、リズムというのは実際目で見ることはできない。
相手の出す音と合わせて、
初めて自分のテンポ、リズムがどうなってるかわかる。
要するに一人で弾いていたのでは、
自分のテンポ、リズムを推し量る目安がないということだ。
お互いどちらが正しいのかどうか、
ここでメトロノームの登場となる。
メトロノームは機械的であるがゆえに正確と言える。
この正確なメトロノーム先生にお伺いを立てながら、
テンポリズムを構築していければ、
この曲の要求している顔というものが、
きれいに前に出せるのではないだろうか・・・。
そこからそれが独奏曲にも反映されていくと思う。
音楽のテンポ、リズムというのは、
一人で弾いてるだけでは、
なかなかしっかりと成立させるのは難しいものだと思う。
やはりギターのアンサンブルができるという、
特性を最大限発揮していくのが一番の近道と言えそうだ。
ギターアンサンブルにも二人から十人を上回るようなアンサンブルがある。
大合奏ができるというのもギターの最大の特徴だと思う。
また大きなメリットだともいえる。
最少二人から十人を超えるアンサンブルができるということは
ラッキーな楽器と言えるのだが、
それぞれにやはり持ち味があって、
やみくもに何でもやればいいというものでもない・・・。
この辺についてはまた筆を改めたい・・・。
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