譜面台の陰から


                    >不可能<


 「第47回教室発表会」が無事終わりました。

コロナウィルスの蔓延の中なんとも決死な開催でしたが、

なんとか無事に最後の一曲まで、

無事プログラムを終えることができました。

緊急事態宣言解除後だいぶコロナウィルスの広がりも抑えられた・・・。

かと思っていると、またまた強烈な人数をたたき出すという感じで、

なんともそう甘くないというように、

コロナ菌の感染人数が一気に増えていきました。

そうなってくるとなんだか主催者も動揺するわけです。

それでも「イケー!!」の決断の元、開催。

そしていつもとは違う方式でなんとか無事終了でしたが、

結果は想像以上の好結果がたたき出されて、

なんだかびっくり!の内容でした。

(いつからこんなに弾けるようになったわけ・・・)

といきなり突っ込みを入れたくなるような上達ぶりというのでしょうか・・・。

 プログラムの曲目も、

どう見ても尋常じゃない大曲ばかり。

プロのギタリストの弾くような曲が並んでる。

どのくらいのミスを積み上げて弾くのかなぁ・・・、

というのが始まる前のこちらの感想。

だいたい何人が最後の和音まで弾ききることができるのか。

出演人数が少ないということがあるので、

始まりを少し遅らせようかとも思いましたが、

事前練習も今回はなしということでもあり、

やはりいろいろ忘れたり、ミスったりが繰り返されると、

時間がかかりそうだな・・・、

と思い、いつもと同じように開始時間を早めてスタート。

しかし、予想を覆して大きなミスも、忘れるという事故もなく、

全員が最後の和音まで弾ききってしまった・・・。

終了時間はぎりぎりになってしまいましたが、

若干人数も少ないことだしという油断があり、

少しいろいろ時間をかけてしまったことが原因となっていて、

主催者として反省させられた・・・。

 この状況でここまで弾ききってしまう原動力はなんだろう。

どう見ても弾くこと自体も不可能と思わせる曲が並んでるのです。

コロナ自粛であまり外出もままならない中、

練習がいつもより多くできたということもあったかもしれない。

それにしても大曲が並んでるので、

なかなか最後まで弾ききるのは難しい・・・。

しかし全員、曲の最後の和音まで弾ききってしまった。

キャリアの長い人も多かったことは多かったのですが、

キャリアだけでは説明できない世界を創出してしまった。

プログラムに乗っているメンバーを一人一人見ていくと、

教室に習いに来た頃を思い出します。

「ちょうちょ」から始まった人も多く、

そのときにこれだけの大曲を演奏できるようになるかと思ったかというと、

まあ、ゼロだ・・・。

目の前で「ちょうちょ」を一生懸命弾く姿から、

この大曲を目の前で弾くようになるとはとても思えなかった。

この不可能を可能にしてきたのはなにか・・・。

 今回出演した人は、全員発表会に出続けてきた人だ。

発表会というのはその時の実力を試す場であり、

今、お稽古していることを身に着けるという大事な一瞬でもある。

当然うまくいったり失敗したりを繰り返すわけです。

大体触ったこともない楽器をステージで演奏すること自体大変なこと・・・。

大勢の人に見られながら演奏するというのは普通のことではないと思う。

まあ、普通に考えれば失敗して当然という感じ。

しかし、そこから不可能のドアを叩き続ければ、

結局ドアは開いて、一つ不可能のドアは開くんですね。

最初から失敗の連続を見てきている主催者としては、

言葉に詰まるような失敗も見てるわけで、

(大丈夫かな・・・)と思わず心配になることもあります。

それでも「不可能のドア」を叩き続けてるとドアは開きますね。

 そもそも人間この世に生まれてくること自体、

不可能を可能にしてきてるんですよね。

そして生まれてきて死ぬまで「不可能のドア」を叩き続けるんですよね。

「不可能のドア」を叩き続けて、そのドアを開けて一歩前進する。

そんなことの繰り返しという気がしますね。

大きい失敗、小さいしっぱを繰り返してドアを叩き続ければ、

結局、ドアは開いて次の段階に進めるんですよね。

今回の発表会の結果が良い例かなと思うのですが・・・。

 ミスなく弾けたかどうかを言っても意味がないですね。

アマチュアの演奏者が年に一回か2回の大きなステージに出て、

完璧というのはないですね。

ミスはあってもいいのです、ただ演奏の流れの時間を止めなければ。

そういうこともうまく処理していったと思います。

いつも終わった後に「やばい!」という気分が残ったりするのですが、

今回はなかったですね・・・。

もう一つ重要なことは「自分世界」をしっかり持って、

弾けたことじゃないですかね。

常に外部の演奏を真似ることのないようにと、

レッスンの時にも言ってるのですが、

なかなかこれが難しいと感じていたのですが、

今回の演奏を聴いていて、

自分の世界観を持って演奏するというのが、

垣間見えたことは大きいですね。

自分の世界をもってというのは、

テンポに関しても大きな意味があります。

 自分の世界で演奏するうえで重要なのがテンポです。

自分のテンポを見つけて、

そのテンポでしっかり弾けるかが大きいです。

これが実は、不可能を可能にする大きな答えじゃないかと思います。

プロの演奏というのは魅力があります。

そのように弾きたいと思うのもギターを弾く大きな理由です。

しかし、普通の人がプロのような演奏をすることはできません。

普通の野球愛好家がプロ野球の選手になれないのと一緒です。

しかし、自分の世界で楽しむことはできるんです。

演奏も自分の世界観を表現できれば魅力的な演奏にはなるんです。

自分の音楽を理解し深めていけば、

魅力的な演奏になっていくんですね。

ほんとに魅力のある演奏というのは、

自分の音楽世界観をしっかり持てるかどうかなんですね。

これはプロモアマチュアもないですよ。

プロと同じような演奏は不可能です。

自分の音楽世界を持って演奏することは可能です。


          メニューへ


           topへ