譜面台の陰から
>情報って<
コロナウィルスで今年の5月は終わりですね。
なんだかよくわからないうちに半年が過ぎたって感じですね。
貴重な時間をコロナウィルスによって破壊されたって感じがしないでもない。
しかし、こういうなんだかわからない未曽有の出来事が起こると、
なんだか今まで見られなかった風景が出現して興味深いことも確か・・・。
「なんてこった・・・」という気分は確かに出現する。
アベノマスクは届かないうちに100円ショップで買えるようになってしまった。
三枚入り三袋を買ってきた。
いまだにその影も形もあらわさないアベノマスク。
もし来るようならコロナ記念として代々家宝にしていくかもしれない。
このコロナウィルスが出現して一番感じてるのは、
情報ということの持つ意味ですね。
誰でもこのわけのわからない侵入者に対して怯えを持つのは確か。
テレビに流れる感染情報をよく見ていくと、
時間が経つにつれてある一定の道筋があることに気が付きますね。
こういう情報というのは、
人間の脳みそをある一方向へ向かわせますね。
明日は自分がうつるなという思い込みです。
今のところ知る限り回りでうつった人は一人もいない。
情報というのは一方向へ徹底的に流れると、
その方向へ一斉に向かうものなんですね。
このウィルスは空気伝染するわけでもないですから、
うつるメカニズムというのがあるとおもいます。
それもテレビでは繰り返し言ってるのですが、
そこのところは、ほぼ頭に残ってないみたいです。
うつるメカニズムをどのように遮断するかが一番大事なことですよね。
このように経験にない情報というのは、
簡単に人間の思考を一方向へと向かわせるんですね。
ギターにしてもそれはあまり変わらなくて、
初めての曲にチャレンジすることになると、
どういう曲だろう?という興味ともなんともつかないところで、
YouTubeから情報を得ようとする。
今やほとんどの曲は、YouTubeに上がってますからね。
それを無条件に取り入れてしまって、
その演奏を模範演奏として自分のなあに取り入れてしまう。
その曲を弾く人がすべて、
YouTubeの演奏と同じなんてことはあり得ないわけで、
一人一人違うのは当然のことなんですね。
ところがそこのところが一気に抜けてしまって、
YouTubeの演奏がすべてになってしまう。
「YouTubeでの演奏はこうだった・・・」的な話は、
非常によく出てくるんですね。
まあ、知らない世界を、
どう判断するかという参考には確かになるんですね。
だからと言ってそれと同じように弾かなければいけない、
ということには結びつかないんですけどね。
しかし、一度強固に取り入れられた情報というのは、
なかなかそこに違う情報があるということを認識させるのは、
けっこう難しいもんです。
YouTubeで簡単に情報を得ることができるようになったのですが、
その情報をどのように自分に合った状態にしていくのか。
自分をYouTubeに合わせるのではなくて、
YouTubeの情報をどのように自分の中で消化するのか・・・。
レッスンというのはまた違った情報を与えるということがあります。
しかし、YouTubeの情報がすべてになってしまっていると、
強固な壁ができてしまっていて、
それを突破して新たな情報を流すことが不可能になってしまう。
そういう現象というのは結構よくみられることで、
「その演奏のもとはなに」と聞くと、
いきなり「YouTubeでこう弾いてました・・・」
という答えが返ってくるんですね。
これは結構珍しくはないことです。
そうなるとその壁を崩すのは大変で、
もうそのままってこともありますね。
情報というのは得ることは大事なことだと思いますが、
それがすべてと思うのは早計だと思いますね。
音楽というのは金型と違って、
粘土のように形を変えていくんですね。
以前はセゴビアとかイエペスの演奏がすごい、
という話は結構ありましたが、
今はそんなことを言う人もあまりいないと思うんですね。
すごいことは今でももちろんすごいのですが、
そのような演奏をする人はいないですよね。
曲を演奏するというのは形があってないようなものです。
そういう世界のものというのは情報というのも多岐にわたるんですね。
一方向の情報で自分の演奏を決めてしまう、
ということのないようにしたいですね。
演奏というのは一週間練習してすべてができるわけでもないですから、
完成させる間に多様な情報を取り入れていくというのも、
必要だと思います。
それでもその時の演奏が時間を経てまた演奏すれば、
もう同じなんてことはないわけですよね。
演奏というのは生きているものです。
弾くたびに少しづつ違うのは生きている証拠ですよね。
一つの情報の中で壁を作ってしまうと、
つまらないものって気がしますが・・・。
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