譜面台の陰から



                       >タッチ<



 タイトルのタッチと読んで、

漫画のタイトルを連想する人もいると思いますが、

ここでは漫画のことは左に置いておいて、

ギターのタッチについてとなります。

漫画のタッチについてはあまり知らない世代ではあります。

少年サンデーで連載されていたことくらいです。

 ギターのタッチについては長々と考えさせられるんですよね。

ギターは弦を爪もしくは指先で弾く楽器です。

弾く構造としては意外と原始的な楽器かもしれないですね。

音量も近代楽器としては大きくはないです。

そこがウケているということもあるんですが・・・。

クラシックギターに関しては素朴な楽器の部類に入るかもしれないですね。

そこのところも共感を得る元かもしれないですね。

 ギターを弾くということは弦をひっかくということですね。

ひっかくというとちょっと乱暴な言い回しかもしれないですが、

一言で簡単に言ってしまうとそういうことですよね。

ギターを最初に持って弦を弾く、

弦をひっかいてみてるんですよね。

簡単な曲からだんだん難しい曲までまずはひっかく弾き方で弾きますね。

これをギターの奏法ではアルアイレといってるんですね。

アルアイレはアルペジオを弾くにも和音を弾くにも使い勝手のいい奏法です。

手首が上下せず安定して弾けるから、

弦の弾き損じも少ないということがありますね。

要するに安定して弾けるわけです。

もう一つの弾き方にアポヤンド奏法というのがあります。

ギター奏法では二大奏法の一つですね。

主に音階的な動きの時に使われます。

音階練習の時にアポヤンドで弾きましょうと言われることがあると思います。

単一のメロディーなどではアポヤンドで弾くということがあると思います。

低音が付いた和音がついたりするとなかなかそれはできないですが・・・。

アポヤンド奏法というのは手首が動きやすいので、

弾き損じをするという危険度が上がるということもあります。

フェルナンド・ソルの時代にはアポヤンド奏法はなかったともいわれてます。

アポヤンド奏法が登場したのはターレガからともいわれてますね。

アポヤンドはアルアイレの音より少し丸みが出るんですね。

ギターの音を追及していたターレガは、

そこに注目したのかもしれないですね。

そのアポヤンド奏法で成功したのがセゴヴィアだと言われてます。

広いホールで弾くにはアルアイレだと、

なかなか音量的に厳しいということに気が付いたということですね。

セゴビアの前の時代ではサロンで弾く楽器という位置づけだったので、

それほど音量が必要なかったんですね。

しかし、ギターをホール楽器としての地位を得るために、

セゴビアはアポヤンドに注目して、

それを発展させたということがあると思います。

アポヤンドがセゴヴィアとクラシックギターを、

ホール楽器に押し上げたということもできるんですね。

ただし現在はアルアイレ奏法が主流です。

アルアイレのほうが均一な音を得やすいのと、

運動性がいいということがあるんですね。

CDの普及というのも原因ですね。

とにかくミスをしてはならないという不文律が出来上がってしまってるので、

とにかくミスを排除しようとするんですよね。

アマチュアギターリストの間でもこの流れは一緒ですね。

とにかくミスをしてはならない・・・。

アポヤンドはどうしても弾き損じが起きやすいので、

自然に敬遠してしまうんですよね。

しかし、そのために表現力ということに関してはいまいちになるんですね。

アルアイレはアポヤンドほど音量を出すことはできないです。

アルアイレだけで弾くと均一な音は得られるのですが、

例えば強弱を表現するのは厳しい・・・。

アルアイレ奏法というのはいってみればチェンバロですね。

アポヤンド奏法はピアノです。

チェンバロは弦をひっかいて音を出します。

この方式のため音の強弱はかなり限られます。

ピアノは弦をたたいて音を出します。

叩いた方が音量は出ますよね。

やはり表現力をより幅広く取れるピアノが、

チェンバロにとって変わっていくんですね。

ギターはこの二つの奏法が混在してるといえます。

しかし、アポヤンドは難しい弾き方でもあります。

特に初心者ではなかなか難しい・・・。

曲の中で反映させていくのはなかなかできないんですね。

しかし、音階練習では比較的できるので、

音階練習では必ず取り入れるべきだと思います。

ある程度のレベルに達したら、

曲の中に反映させていくことも重要です。

アルアイレとアポヤンドを組み合わせることによって、

表現の幅が広がります。

要するにチェンバロ奏法とピアノ奏法の両方が使えるということです。

ミスなく弾くことがすべてになってしまってる状況では、

これがなかなか難しいということはありますが、

まずは少し簡単な曲で実行してみてもいいですね。

表現をテーマに練習するということが少ない気もしますね。

常に上昇傾向というのがあるので、

なかなか難しいのですが、

ギターの持ってるアポヤンド、アルアイレという二大奏法を使って、

表現することをテーマに練習してもいいですよね。

ミスしないで弾くということも大事なことであるかもしれないですが、

ミスしても表現のある演奏は印象には残ります。

その辺をどうとらえて練習していくかということですね。

難曲に挑戦も大事なことですが、

表現のできる曲にチャレンジすることも大事な練習ではないでしょうか・・・。



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