譜面台の陰から
>ど忘れ!<
当教室の第44回の発表会が近づいてきてます。
そろそろ練習にも熱を帯びてくる頃合いではないかと思います。
やはり人前で演奏するというのは緊張するものです。
ただその緊張感が上達させる理由でもあるわけです。
では、人前で演奏することで一番怖いのはなんだろうと思うと、
やはりど忘れすることじゃないかと思う。
いいところまで弾いてきていきなりパタッと行き先が見えなくなってしまう。
人前での演奏の中でも最も恐怖を覚える瞬間ではあります。
もっともその恐怖感があるから練習もするのですね。
人間ある種恐怖感がないとやらない動物でもあるんですね。
学生時代の中間、期末テストがいい例かな。
これがないとまず勉強はしないかっただろうと思う。
やはりこういうことは必要なことなんですね。
落第という二文字が目の前にぶら下がってると、
とにかく頑張るんですね。
そのことによって学問も身につくというものです。
人前で演奏するというのも似たようなところがあるんですね。
失敗して落ち込むよりはある程度成果をげていい気分でいたい・・・。
だから頑張って練習するという構図ですね。
人間というのはどこかでプレッシャーがかからないと、
なかなか前に進めない動物ですね。
舞台で練習することで何が一番怖いだろうか・・・。
手が震えてしまってまったく曲にならないで終わってしまう。
これもなんとも怖い状況ですね。
もう一つ世にも恐ろしいのがど忘れ。
あるところまで弾き進んだところでいきなり指が止まってしまう。
練習ではなんなく弾きこなしてたところが、
いきなり空白状態になってしまう。
まったく思いだすことができない状態になってしまう。
これは想像しただけで恐怖を感じる。
練習してなかったという事はない・・・。
しっかり暗譜して舞台に臨んでるわけだから、
どこかでサボったという練習はない。
これは確かなことだ。
では、なぜしっかり練習してきた曲を、
いきなりど忘れしてしまうのだろうか。
人間の脳というのはひとつの大きな塊ということはなく、
部分部分で働きが違っていて、
その働く部分部分が連絡しあって一つのまとまりある行動になっていく。
一つの脳ですべてをつかさどってるわけではないんですね。
ど忘れするパターンというのはいくつかあります。
まずけっこう多くみられる状況に、
弾き進めるうちにテンポが速くなっていってしまって、
限界点に来たところでピタッと指が止まってしまってそれ以上進まなくなるパターン。
これは、ど忘れする原因の少なからずのパターンだと思う。
脳みその連絡速度が気持ちに追い付かなくなってるんですね。
連絡しなければいけない信号が速度に追い付けなくなって、
自動ブレーキがかかってしまう。
自分の意思とは関係のないところで起こってしまうんですね。
これで急停車してしまうと原状回復はかなり難しくなります。
そこまでの行事の軍配が降りてしまいます。
脳みその連絡スピードというのは、
普段練習してるスピードで連絡することを覚えこまされてるから、
そのスピードを逸脱してしまうとついていけなくなるんですね。
要するに気持ちと脳みその動きに齟齬をきたすパターンです。
もう一つこれも大きな原因の一つと考えられますが、
自分で普段練習してて特に難しさも感じず、
楽々弾き進めているようなところ・・・。
なんでこんなところで・・・という感想が出るようなパターン。
これも意外に多いパターンではないだろうか。
指使いなどが難しいところは危ないという気持ちがあるから、
けっこう青筋立てながら練習したりするんですよね。
非常な緊張感があるから、
本番でもそこには異常なくらい集中力が出る。
脳みそも覚醒してる状態ですね。
こういうところではまずど忘れはおこりにくい。
練習してていなんとも特徴がなかったり、
易しかったりするようなところは意外と危ない。
こういうところでは脳みそは沈滞ムードになってしまっている。
いわゆる寝た状態というのだろうか・・・。
ほんとによく歩き慣れた道を歩いてる状況と似ている。
歩き慣れた道というのは歩いてるときほとんど何も目に入らず、
ボケっとした状態で歩いてると思う。
回りの景色を眺めるなどということもない。
それでよく曲がり角で曲がらなかったり、
入るべき店の前を通り過ぎたり、
なんだかアレッという状況があったりすると思う。
要するに緊張感がない状態ですね。
曲の中にも全く抵抗なく弾けてしまったりしたフレーズがあると思う。
なんでここでという悩ましいところになる箇所だ。
こういう箇所でのど忘れというのは、
要するに緊張感の欠如で起こるわけです。
人間の脳みそは特徴のないことには反応しにくいんですね。
横になって休んでしまってる状態ですね。
ところが舞台に立って演奏しだしても、
この横になって休んでしまった箇所というのは、
本人が必死になっても反応しないんですね。
要するに反応しなくてもいいと勝手に結論付けてしまってるんですね。
さあ、演奏してるほうはそんなことは意識してないですから、
緊張感を持って演奏していきます。
しかし、この横になってサボってしまってる脳の所に来ると、
そこで指に対する反応も楽譜に対する反応も消えてしまいます。
要するにどう弾いていたか思い出せない状態が出現するわkです。
特徴のない軽々と弾いていた個所ほど、
なんだか思い出せない状況です・・・。
脳みそというのは難しいところに遭遇すると、
活発に情報を交換し合ってなんととかそこをクリアしようとします。
いわゆる興奮状態が記憶されるわけです。
そういう箇所というのは異常なほどの集中力が発揮されますから、
忘れるという現象も起こりにくいわけです。
難所はクリアできたのになんでもないところで忘れるという現象は、
脳の緊張感が薄いところで起こる。
ギターの練習というのはスポーツの練習にも似てるところがあって、
指の同じ軌道を繰り返して練習する。
なぜ繰り返し練習するかというと、
動きを脳の各部の伝達をスムーズにし、
その軌跡を確実なものとするために、
毎日繰り返し練習するわけです。
一日二日練習をしないでいると、
脳の伝達色が薄くなってしまうんですね。
そこでなんだかちょっと忘れた気分がするということです。
フィギアスケートなどを見ていると、
考えられないジャンプをしてそれを成功させている。
同じスピード、同じタイミング、同じ飛行経路、同じジャンプの距離感、
すべてが揃わないと成功しない。
国際試合に出てくるような人はみな天才の範疇だろう。
それでも一つ狂うとうまくいかない。
ま、恐ろしい世界ではあります。
そこまでの話ではないですが、
ギターを練習して演奏するということは共通点はあると思う。
一番難度の高いジャンプは成功させるのになんでもにジャンプでコケる。
同様に「こりゃなんだ!」という難しところはクリアするのに、
譜読みをしても何の抵抗もなく弾けてしまうところで忘れる。
また弾き損じをする。
また難所をクリアしたとに空白になる。
こういう脳みその回路伝達をしっかりトレーニングすることができるかどうか・・・。
そこに練習の工夫というのがあるんですね。
どう練習していくかという工夫です。
皆さんの今発表会での演奏を楽しみにしてます(^^)v
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