譜面台の陰から



                          >練習について<



 皆さんギター演奏の上達を目指して練習していると思います。

日夜練習してるかどうかは分かりませんが、

コツコツ練習してる方がほとんどだとは思いますが、

ギターという楽器を自在に操るというのはなかなか難しい・・・。

最近よく耳にするのは、

これだけ練習してるのになかなかうまくいかない。

人前に出るとどうしても思うように弾けない。

人前に出て思うように弾けたらこれは大変なことなのですが・・・。

それにしてもなぜ一生懸命練習してるのになかなかうまく弾けないのだろう。

これは永遠の謎というふうに思われていますが、

実は原因があるのです。


 ギターが上達していく過程というのは、

だいたい初心者から始まって、

初級、中級、上級と段階を踏んで曲も難しくなり、

長さも長くなっていくんですね。

初心者のころとは比較にならないほど楽譜も多様性を含んできます。

この段階に差し掛かってくると、

どうも一曲を通してうまく弾けないということがクローズアップされてきます。

発表会の演奏を聴いていても、

レッスンではそれほど目立たなかったミスが目立ってきます。

そこで出てくる言葉「がどうもうまくいかない・・・」

なぜうまくいかないのかというと、

ほとんどの場合テンポが一定に弾けてないことがほとんど。

では、なぜテンポというのが一定に弾けないのだろうか。

特に急いでいるわけでもないのに、

なぜ早くなったり遅くなったりするのだろうか。

ま、遅くなるということはまずないんですけどね。

ギターというのはメロディーに伴奏をつけて独奏できる楽器です。

ここに落とし穴があるのです。

伴奏がついてるということは、

メロディーに対して多様な動きがついてくるのです。

特に中級以上になってくると単純な伴奏ではなくなります。

簡単な指の動きで経過するところと、

複雑に細かい動きで経過するところとも出てきます。

中級以上の曲になればこれは普通に楽譜に書かれています。

要するに単純な動きではなくなるのです。

この一方方向でなくなった動きに一番影響を受けるのが左手です。

やはり押さえにくかったり動きが遅れたりが出てきます。

そこで練習してる人はどういうことになるのか。

まず「やばい」という意識。

もちろん複雑で動きにくい個所を制覇しなければ、

曲の演奏は成立しません。

「やばい」という意識はとにかく練習というふうになっていきますね。

繰り返し練習していくと思います。

その結果どういうことが起きてくるのか。

猛烈に練習したところというのはテンポが速くなっていきます。

本人の無意識のうちにそこの個所は、

テンポが速い状態に固定されていきます。

しかし、そもそも難しい動きなのにそこがは速いテンポに設定されてしまえば、

そこでだいたい破綻をきたす状態に陥ります。

早くなった状態で弾くと右手はさらに早くなることがほとんどです。

当然、緊張ということが入ってくるからですね。

右手が早くなると左手はそもそもいっぱいいっぱいの状態なわけだから、

抑えきれるわけがないのです。

一度インプットされたテンポ感を修正するというのはかなり難しい。

もう一つ初心者の時というのは曲も短く、

それほど多くの動きが入ってるわけではないから、

それいけどんどんの練習でなんとかなってしまう事がほとんどです。

その初心者の頃のそれいけどんどんが、

中級上級になっても当てはめてしまうのです。

しかし、初心者の頃のそれいけどんどんの練習だけでは、

難しくなった曲を弾き通すというのはなかなか難しい。

しかし、最初の頃の状況というのはなかなか抜け切れるものでもない。

ま、とりあえず一生懸命練習するというのはもちろんありなわけですが、

それだけでは複雑になってきてる曲を、

自分の思っている状態で弾き通すことはかなり難しいのです。

 では、どういうふうに練習したらいいのかというのがテーマになってきますね。

まず考えなければいけないのは、

曲のメロディーというのはフレーズで区切られているのです。

このフレーズこそテンポに関しての解決方法を持っているのです。

最初のフレーズと途中のフレーズのテンポが一致してるかどうか、

これを確認する作業を繰り返すことによって、

かなりテンポは正確になっていきます。

最初のフレーズのテンポは重要な意味を持ってくるのがわかると思います。

最初のテンポ設定が後に大きな影響を及ぼします。

この最初のテンポを決めたら、

各フレーズのテンポをすり合わせていきます。

最初のテンポに全体のフレーズが統一されるまで、

繰り返し練習します。

テンポというのは目に見えるものではないので、

けっこう根気のいる作業だと思います。

最初のテンポと後半のフレーズのテンポが一致してるかどうか、

一致してることが自覚できるまで練習します。

世界の巨匠の演奏を聴いてると、

どんな複雑な動きがあってもテンポは変わらない。

テンポが動く時はテンポルパートを意識的に行っている時です。

ここがアマチュアとの決定的な違いともいえるんですね。

フレーズごとのテンポを確認して確実なテンポを覚える練習。

これは技術練習ではありません。

とにかくやみくもに練習を繰り返しても大した結果は出ません。

三つ子の魂百までではないですが、

初心者の頃の練習スタイルというのはなかなか変えられないものです。

しかし、レベルによって練習方法を変えていくのもまた違った練習だと思います。

左手とおいうのは微妙なテンポの差でも反応するものです。

特に複雑な押さえ方をするギターという楽器の左手は微妙です。

練習の仕方というのを考えていくのも上達の要素だと言えます。

指を動かす練習だけが練習ではないということですね。

このことだけですべてが解決するとは思いませんが、

一考する価値はあると思います。




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