譜面台の陰から
>気になる演奏<
平成28年、12月11日(日)。
教室一年の締めくくりのクリスマス会が開催された。
発表会から約半年、練習してきた曲を発表するのですが、
発表会とはまた違った雰囲気の中で演奏するというのがツボですね。
今回印象に残った曲はいつもより多くあったのですが、
その中でも今回「月光」の二重奏が特に印象に残りました。
「月光」はそもそもはフェルナンド・ソルの練習曲集にある曲で、
ソロギターのための曲です。
クラシックギター曲の中でも人気の高い曲ですね。
和音進行が美しいのでメロディーを加えた二重奏としてもよく弾かれます。
そもそもが独奏としても易しくなく、
なかなか油断できない曲です。
その曲を二重奏として二人で演奏します。
初めて組む二重奏ということで若干の不安はありましたが、
クリスマス会デビューとなりました。
演奏はミスもあり一筋縄ではいかない曲を彷彿とさせます。
しかし、聴き終わってみると、
余韻の残る演奏となりました。
しかし、このような演奏というのは聴き手によって、
大きく意見が分かれるものです。
結局、どのように聴いたかで違ってくるのだと思います。
ミスをしたかしないかを聴いていれば、
ミスはしてます。
技術的にはどうか、
「月光」という曲の難易度からいって、
緊張した中での二重奏となると、
なかなか完璧にというわけにもいきません。
特に初めて組んだ二重奏となると、
ある程度のミスは仕方ないと思われます。
ソロにしてもなかなかうまく弾けないのがこの曲です。
しかし、この二重奏には何か余韻が残るものがあったのです。
曲がソルの月光ということもあるかもしてないし、
そもそもギターのソロ曲としては名の通った名曲です。
それほど無事というわけでもない演奏になぜ余韻が残ったのか。
音楽に限らず芸術という分野は言葉で説明できない面が多くあります。
ピカソの絵が凄いといわれてますが、
めちゃくちゃといえばそうとも言えるわけで・・・。
なぜあれだけの絵画としての地位を占めているのか・・・。
やはり、あの絵がその世界の空気感を作り出してるのだと思う。
ピカソの絵と他の絵との違いは実はそれが一番大きいのかもしれない。
うまい絵は数々あるのは事実でそれがなぜ簡単に世に出てこないのか。
一番大きな要素がこの空気感を創れているかどうかだと思う。
偉大な芸術というのは場の空気を創れたかどうかと、
言ってもいいのかもしれない。
音楽も同じではないだろうか。
同じ曲を演奏しても空気が創れてなければ、
なにも残らないと思う。
凄い技術の持ち主の演奏でも、
なんだかシラケて帰るなんてことも結構ある。
逆にやっと演奏してるような演奏でもなんだか余韻が残る演奏もある。
そこに空気感を作られていれば、
それが余韻になるんだと思う。
これは意識して創るというたぐいのものでもなく、
かなり難しいものだと思う。
この二重奏が印象に残ったということは、
その場の空気が創られていたからだと思う。
こういうものは意識して生まれるものでもないので、
本人たちもまったくわからないことなのだと思う。
演奏というのはミスがないことにこしたことはないのかもしれないが、
それだけで語られるほど単純でもない。
もちろんこの二重奏で何も感じない人も多くいる。
これが良い演奏だったと決めつけられるものでもない。
しかし、そこに作られた空気感を感じることができればそれはそれで、
演奏を聴く楽しみも増えるわけだ。
聴く楽しみというのは実はそういうところにもあると思う。
演奏によって作られる空気というのを感じながら聴くのも、
演奏を聴く醍醐味というわけだ。
こういう場所で演奏される演奏というのは、
一人一人に独特の空気感があって、
それを感じながら聴くのが大きな楽しみだ。
この動画は実際の空気感を反映してはいない。
その場にいて聴いてないと伝わってはこない。
今年も発表会など演奏を聴くこともあります。
演奏してる一人一人の創り作り出す空気感を感じながら聴くのも、
聴く楽しみを増やすということだと思う。
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