譜面台の陰から



                        >立ち位置を考える・・・<



2016年も残すところあとわずか・・・。

一年というのは全く持ってけしからんほどすぎるのが速い。

もう少しなんとかならないかと思うのは自分だけではないと思うのだが・・・。

大晦日の除夜の鐘が近づいてくると、

なんとなく一年を殊勝にも振り返ってしまう。

短いと感じつつ結構いろんなことが起こってるのだなと思う。

やはり短いと感じるのは立ち位置の問題で、

実際は結構長いのかもしれない・・・。


立ち位置ということが気になった一年でもあった。

教室に通ってくる方というのは、

もちろんほぼ間違いなくアマチュアギター愛好家ということができる。

はっきりプロを目指すという方はまずいない。

それが健全な街の教室ということもできるのですが・・・。

では、アマチュアのギター愛好家というのは、

どういうところを気にして演奏し練習したらいいのかということがある。

もちろん上達することを目標にしてるのは当然だ。

一番最初に弾くメロディーだけで満足ということは、

だれもい考えてはいないと思う。

初心者として一番最初に弾くメロディーを、

どう広げて発展させるかというのは大きな課題だと思う。

その課題を考えながら練習していくのだと思う。

発展させていく上で一番最初の第一歩は非常に大事なことだと思う。

この第一歩から大きく可能性を広げていくことになる。

その過程でCD、You Tubeなど聴いたり見たりすると思う。

こういう演奏を聴きながら技量が上がっていくと、

少しでもプロの演奏に近づこうとしていくと思う。

それがまた練習の原動力になるのだと思う。

それは当然なことだと思う。

人間というのは目標がないと馬力はでないものだという現実がある。

しかし、一歩待って欲しい。

アマチュアギター愛好家がプロと同じ土俵に上がることが可能だろうか・・・。

ジョン・ウィリアムスと同じ土俵に上がることが可能だろうか・・・。

それはどうもなかなか不可能ということができる。

それが不可能であれば練習しても意味がないのではないか・・・。

ま、そう言われそうな気がしないでもない。

だいぶ前、ギターのお店で外人さんと遭遇したことがある。

その人がギターを借りてなんの曲だか忘れたが演奏している。

「あ、弾いてる」と思って聞き耳を立ててると、

なんだか結構音を省略して弾いている。

それも結構堂々と省略したまま演奏している。

そこへお店の人が来たので近くに寄って、

「音をだいぶ抜かしてるんですね」というと、

日本語を理解してて返事をしてきた。

「この曲は自分には難しくてなかなか弾けないので」

「そうですか・・・」というと、

「完璧に弾くのはプロがいるじゃない」と言っていた。

「メロディーがいいから弾けるところで弾いている」

そのあとも何か言っていたがそれは忘れた・・・。

そのときは「ふ~~~ん・・・」と聞いていたが、

なんか外人さんらしく合理的だなとは思った。

しかし、これは今になってみると、

結構心理を突いてるのかもしれない。

普通のアマチュア愛好家がプロと同じ立ち位置で演奏しようとすると、

大体はうまくいかない・・・。

相手は演奏する才能があってプロになってるわけだから、

それと同じ土俵に上がって勝負といってもまず勝負にならない。

そういってしまうと、

じゃ、練習する意味がないではないかと言われそうだ。

しかし、やはりギターの名曲というのは魅力的だし、

なんとか弾いていきたい。

そうなると問題なのはどういう立ち位置で自分を見るかということだ。

音楽というのは非常に許容範囲が広いと思う。

たとえプロのように弾けなくてもやはり名曲は名曲だ。

でも、それをプロの演奏がすべてと限定してしまうと、

なんとも面白くもなんともない・・・。

それこそ音楽の面白みが全くなくなってしまうと思う。

百人いたら百人の音楽があるから面白い。

ラ・グリマという名曲がある。

非常にメロディーがきれいな曲だと思う。

思うじゃなくてきれいだと断定できる。

聴いて嫌いになる人はそうひないと思う。

この曲、プロの人の演奏を聴いても結構それぞれ違う。

まずテンポが違う、表情も違う。

この曲にしてもプロと同じように演奏するのは難しいと思う。

そんなことよりプロでもいろいろある演奏の中に、

自分のスタイルをくわえてみたらどうだろうか・・・。

プロの演奏を追いかけるのではなく、

演奏する音楽を自分中で消化し自分の音楽として発表してみる。

同じ音楽でも感じ方千差万別。

それぞれの一人ひとりの個性の表現がある音楽が面白い。

プロの演奏以外は認めにという人もいるのですが、

音楽の聴き方を狭めてるとしか言えないと思う。

こうなると音楽を面白いと感じることはないだろう・・・。

プロの演奏会というのは数限りなく聴いてきましたが、

やはり技術は常人では考えられないレベルです。

しかし、面白くもなんともないというのもかなりあることも確かです。

むしろアマチュアの方の演奏のほうが面白いというのがかなりの部分あります。

機械的に陥る音楽というのは面白くありません。

プロであれアマチュアであれ自分の音楽として演奏される音楽は面白いのです。

発表会などを聴いていると、

音楽の難しさ、音楽に向き合う姿勢、演奏する音楽に対する感じ方。

一人ひとり全部に違いがあり聴きごたえがあるのです。

プロの演奏と同じ土俵に乗ろうとするのではなく、

自分の音楽にして演奏して欲しい。

聴きごたえのある音楽とはそういう音楽ではなかろうか・・・。

また、聴き手としてプロの演奏と比べるのではなく、

その人の音楽に対する感性を楽しんで欲しい。

アマチュアの方が技術的にプロに及ばないのは当然です。

毎年秋には金氏を招いてコンサートを開催してますが、

どう見ても同じ同表に立って競うなどということは不可能です。

そういう意味のないことにエネルギーを使うより、

自分の中でどう表現するかを考えて練習したほうがより意味があると思います。

YouTubeを真に受けて練習してはいけません。

それこそ全く意味がない。

演奏というのはミスをしたらダメとかそんな単純なものでもありません。

ギターはそもそもミスしやすい楽器です。

ミスは当然として演奏し聴いていれば、

聴こえ方は全然違ってくると思います。

演奏するということ、聴くということ・・・。

プロの演奏から離れてみれば、

また楽しみ方というのは広がっていくと思います。




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