譜面台の陰から



                        >アンサンブルって・・・<



ギターという楽器は独奏楽器という位置づけで語られることが多いのですが、

アンサンブル楽器で語られることというのはほんと少ない。

なぜかなと思わせることも多いのですが、

やはり独奏曲から入っていくというのが背景にあるんだと思う。

習いに来てまず一人で弾くことから始める。

ある程度上達するとギターという楽器は伴奏つきでメロディーが弾けるようになる。

一台でピアノのように伴奏つきの曲が弾けてしまう。

一人で伴奏つきで独奏曲が弾けてしまうというのは、

ギターの最大の強みではある。

ヴァイオリンでもフルートでもメロディー楽器は伴奏者が必要だ。

無伴奏というのもあるが、

これはいよいよ難しい。

大体はピアノの伴奏を前提に独奏曲となっている。

ギターはその伴奏もメロディーと一緒に弾けてしまう。

そのせいでアンサンブルというイメージは跡形もなく消えてしまう。

独奏曲はあれこれ弾きたいという要望は出るが、

アンサンブルをしたいという要望はまず出ない。

独奏曲が弾けることで自己完結してしまうせいだと思う。

メロディー楽器は常に伴奏者がいて演奏する。

最初からアンサンブルをしてるということだ。

ま、アンサンブルすることが普通の状態なわけだ。

伴奏者と合わせるということは、

テンポ、リズム、音程、まずこれはしっかりできないと合わせられない。

自分なりのリズムテンポでお互いが弾いたらどうなるか・・・。

まさに地獄の沙汰の音楽が出現するのではないかと思う。

どうするか・・・。

お互いのテンポ、リズム、音程を理解して合わせていくことになる。

そこでテンポ、リズム、音程というのが見えてくると思う。

この三つのどれが合わなくてもアンサンブルは成立しない。

お互い不愉快になるだけだ。

実は曲を演奏する力をつけていくことは、

アンサンブルするということと密接に関係している。

テンポ、リズム、音程を相手に合わせるというjことは非常な注意が必要だ。

自分勝手というのは成立しない。

テンポを合わせようとすればメトロノームが必要だ。

お互いが勝手なテンポで弾かないように中性なテンポ感を得ることができる。

テンポに関しても自分だけの独りよがりなテンポでは相手は合わせることはできない。

お互いが独りよがりなテンポで弾けば曲にはならないのがアンサンブルだ。

音程も片方が高く片方が低いという状況で演奏すれば、

これまた不愉快になるだけということになる。

アンサンブルするということはこの三つがきちんとそろわないと曲にならない。

この三つを揃えるということが独奏にどんな影響を与えるのか、

ということが疑問に出てくるわけだが、

まず音程に少し敏感になって、しっかり合わせなければならなくなる。

これは習慣としてそうなるということだろう。

最も影響を受けるのがテンポとリズム。

アンサンブルの相手のテンポが速くなっていけば、

早くなっていくのを感じることができると思う。

要するにお互いのテンポを監視しあっているようなものだ。

自分が弾けても相手が弾けなければアンサンブルの曲というのは成立しない。

ということはテンポにも注意しなければならないということだ。

リズムにしても自分なりのリズムでは通用しない。

相手としっかり合わせるリズムでなければならない。

お互いにメロディーを弾いたり伴奏を弾いたりする中で、

リズム、テンポ、音程が鍛えられていくということがある。

もうひとつ、アンサンブルは縦の線を合わせるということがある。

独奏というのはメロディーを弾きながら演奏する。

当然のことではあるのですが、

これは横への流れを強調しながら演奏してるわけです。

ギターは伴奏も一緒に弾いているので、

実は横への流れというのは非常に苦手な楽器です。

音と音の間隔が不ぞろいになりやすいのです。

しかし、横に流れているということは、

この音の間の不ぞろいというのは意外なほど感じてはいない。

弾き手も聴き手もこれは同じだと思う。

意外とメトロノームに合わせようとすると、

どうも合わせられないということがそれを物語っている。

結構ズレズレになって弾き通せないということが普通にある。

ところがアンサンブルにおいて、

この音の間隔がそろわないというのは、

第一ギターと第二ギターがずれて聴こえる原因となる。

とても聴いてられる音楽にはならない。

独奏だけで弾いてるとここのところに気が付けない。

アンサンブルは横にも流れないといけないが、

同時に縦の線もそろえなければならない。

このトレーニングが音楽の質を向上させると思う。

練習を重ねれば技術の上達は確かにある。

しかし、質の上達はなかなか難しい。

不可能ということはないかもしれないが、

やたらと大変でモチベーションを下げる原因にもなりかねない。

しかし、これも一人より二人三人となれば、

まず心強い。

集中力も全く違うものになるだろう。

ギターという楽器は一人で伴奏つきの独奏曲が弾けてしうまうだけに、

質の向上というところには目が向きにくい。

音楽、演奏の質を上げるにはアンサンブルというのは、

間違いなく上達するうえで大きな力を発揮すると思う。




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