譜面台の陰から
>見る、聴く<
演奏する文化というものがどういうことから成り立っているのか。
文化というと範囲が広すぎるような印象を受けると思う。
しかし、一つの国の文化もどんどん分解していけば、
一人一人の持っている文化の集合体だと思う。
一人一人の持っている文化が多種多様であるがゆえに、
一つの方向だけに流れないですんでいるというか・・・。
一人一人が全く同じ文化に統一されてしまうということは、
一つの考え方に流されていくわけで、
いわゆる過激な原理主義に流れやすくなると思う。
話は少し大げさになっていきそうなので、
音楽文化というところに縮めたいと思う。
我々の文化の発露というのは、
ギター演奏ということになるが、
そのギター演奏というのを下支えしているのは何か・・・。
なんとなく演奏しているということは誰もあり得ない。
ここでテーマになっている見る聴くが出てくる。
ギターを演奏する前の段階で、
なぜギターを弾こうという発想に行き着くのか・・・。
偶然弾くなんてことはおおよそあり得ない。
「いやいやなんとなく」という答えもありそうだが、
なんとなくという裏側にも、
なんとなくでギターに向かわせる力が働いてると思う。
なんtなくではなく主体的な意志の力でギターを弾き始めたとしても、
その行為に向かわせる何かしらの力が働いてると思う。
そのエネルギーの源は何だということになる。
その大きな源は、やはり見る、聴くによって形作られた、
一人一人の文化だと思う。
楽器を弾いてみようなどというエネルギーが、
なんとなく湧いてくるわけがない。
見る、聴くというのは人間の感性を形作っていく上で、
非常に大きな力を持っていると思う。
ギターを弾くにもクラシック、ポピュラーなどなど様々だ。
では、同じクラシックを演奏している一人一人が、
同じ感性を持っているかというとそんなことはおおよそあり得ない。
全員バラバラだ・・・。
ポピュラーの世界でも何のジャンルの音楽の世界でもそれは同じことがいえる。
なぜバラバラな感性の一人一人が同じジャンルの音楽を演奏するのか・・・。
これは見る、聴くが大きくかかわってるんだと思う。
例えばクラシックギターをどういう状況で見る、聴くを積み上げてきたか・・・。
実は完全にクラシックギターというジャンルの音楽をしいて、
弾き始めた人って少ないのではないかと思う。
ギターという楽器を弾いている映像を繰り返し見て、
また、ギターという楽器から出てくる音を聴いて、
ならばやってみようかなというところがほとんどではないかと思う。
クラシック、ポピュラーとジャンルは分かれていくが、
一人一人の持つ文化に大きくかかわってきたのが、
見る、聴くだと思う。
ギターを弾くとその音と音楽が耳から入ってくる。
耳から入ってくる音というのは人間の感性を形作る大きな原動力になる。
聴く音が大きく影響するというのは確かに具体的にわかることだと思う。
では見るということがどんな感性に結びついていくのかということだ。
目から入ってくる情報というのは、
形、色彩というのがダイレクトに入ってくる。
そしてこれが一番大事なことと思うが、
目から入ってくる情報というのは雰囲気を形作ると思う。
どんなジャンルにしてもプロいという名がついて活動する人間には、
まず個性的と言える雰囲気をもっていると思う。
雰囲気というのは漠然としていて掴みどころもないものだが、
これは一人一人の感性で掴んでるんだと思う。
見る、聴くことによってこの雰囲気は伝わるものだと思う。
見る、聴くことによって多様な雰囲気と出会いながら、
その人の持つ文化というのは形作られていくと思う。
金氏を招いて教室主催のコンサートを主宰しているのも、
この見る、聴くが原点になっている。
クラシックギターを目の前で聴けるチャンスというのはそうはない。
ほかのジャンルだと結構見て聞いてのチャンスは多くあると思う。
しかし、クラシックギターというとなかなか身近で聴く機会というのはないと思う。
演奏する姿勢、スタイル、音色・・・。
これはCDでは絶対に無理。
得意クラシックギターの音は全く別物になってしまう。
You Tubeで見て、聴いて満足というのは間違いだ。
ここから伝わってくるものはほとんど何もない。
メロディーを知ることくらいだと思う。
人間の文化というのは空気感から伝わっていくものだと思う。
見る、聴くというのは人間の五感の中でも特に重要で、
しかも多様性があるものだと思う。
ここからその人の持つ文化というものが形作られていくんだと思う。
自分の持つ音楽文化の幅を広げていくということであれば、
実際に見て、聴くことを積み重ねなければ、
自分の持っている音楽文化を広げ積み重ねていくことは難しいと思う。
自分の音楽文化の幅を広げていくということは、
自分の持てる楽しみを広げていくことでもあると思う。
ぜひ自分の持つ音楽文化の幅を広げて、
楽しみを増やしていってほしいと思います。
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