譜面台の陰から



                         >第43回発表会後記<



 7月10日、第43回発表会が無事に終了した。

参議院選挙当日と重なってしまった。

だから何がどうしたということもないが・・・。

この日は珍しいことに246号線がいつもより車が多かった。

去年だとけっこう空いていた道路も、

今年はなんだか前を走る車が多かった。

 前の日の9日のど曜日は雨模様。

少し前の天気予報では、

日曜日が雨との予報で気分がいまいちだったが、

1日ずれたかたちとなった。

やはり雨より天気はいいほうが気分的に全然違う。

荷物も多いこともあって晴れてるとほんと救われた気分になる。

始まりの時間を15分速く設定していたが、

独奏用の椅子がなく、

探したり事務所に電話したりで、

結局、15分前に始めることはできなかった。

この15分という時間が終わりの時間に、

非常に影響することが今回よく分かった。

終わりの予定時が15分遅くなったのだ。

打ち上げの予約の時間もあり少し慌ただしくなってしまった。

去年はだいぶ時間に余裕があり、

早く終りすぎたくらいだったのだが、

今回はちょっとした油断で、

終わりが窮屈になったのは少し残念であった。

アンサンブルの時の椅子譜面台の手際も、

なんだかいまいちお粗末な感じで自戒を込めて反省だ。

もう少し気を引き締める必要があるのかもしれない。

生徒の皆さんの協力がなければ、

とんでもないことにもなりかねなかった。

手伝っていただいた方にはただただ感謝だ。


 生徒の皆さんの演奏のほうはどうだったろう・・・。

写真とビデオを撮りながら全部を聴いた。

一番強く感じたのは、

舞台経験が皆さん豊富になってきたということだ。

人前ということで出てくる人ごとに緊張感があったのが、

今回はずいぶんと落ち着いてるように見えた。

実際は緊張してるのかもしれないが、

見た目そうは感じさせなかったということだ。

破綻してしまったという演奏はなかった。

以前はなにがなんだか分からなくなるという演奏も、

必ず一つ二つあったのだが、

去年もそうだったのだが全くそういう演奏はなくなった。

 結構しつこく言っているテンポの支配力が、

演奏の出来具合の明暗を分けたということはあったと思う。

発表会の舞台での演奏というのは、

一発勝負の色合いが濃い。

舞台の上に乗るとアドレナリンが放出されて、

血流も脈拍も少し早くなるという。

そういう普段とは違う状況に立たされた場合のテンポを、

しっかり考えておかないといけない。

こういう身体的な状況でのテンポはどうなるだろう。

普段より必ずと言っていいほど早くなっている。

舞台上でのリハーサルの時にテンポが速くなっていることを指摘すると、

えっ1という表情をする人が多い。

指摘されたことに戸惑っているような表情になる。

その段階ですでにテンポを支配する状況は失われている。

逆にテンポに振り回されてるという状況だ。

特に左手というのは普段のテンポ以上に、

フレットを早くは押さえることはできない。

普通の人であれば特にその影響は大きいと思う。

 かなり長い曲を弾く人も増えてきた。

キャリアの長い人が増えてきてるから当然といえば当然だ。

技術的にも少し背伸びをした曲に挑戦してる。

それは当然なことだと思う。

ということは特にテンポについては注意が必要ということだ。

普段でも難し曲であるわけだから、

テンポが速くなればどういう結果になるか・・・。

ここでテンポを支配したかテンポに支配されたかの違いが、

演奏結果にはっきり出てくる。

長さを増している曲であればいかにテンポを支配するかは、

演奏の結果を大きく左右する。

うまく支配した人の演奏と、

それがもう一つの人の演奏に差が出てきたのは、

仕方のないことだと思う。

 基本中の基本の姿勢については、

ほぼ申し分のない状況だったと思う。

姿勢は演奏の入り口という立ち位置だが、

個性はあるものの不自然な姿勢というのは見受けられなかった。

これは大きな成果だと結構満足している次第である。

 アンサンブルについてはどうだろう・・・。

直前の練習までいまひとつで、

リハーサルでも今一つだった。

しかし、出る直前にホールロビーで皆で練習したということで、

結果はそれまでで一番の出来となった。

アンサンブルというのは一人では絶対に成り立たない演奏だ。

複数の人の寄り合いで成立する。

皆が等しく弾けてないと演奏にはならない。

直前まで苦しんでいた状況を最後に突破できたことは、

アンサンブルの持つ意味の結果を大にして終わることができた。

独奏にはないアンサンブルのダイナミズムだと思う。

合奏用のギタを使ってのアンサンブルもあったわけだが、

バスギターのスペシャリストが欠席という事態の中で、

なんとかアンサンブル内で代役を立てて演奏できたことは大きい。

とにかく協力して結果を出すというアンサンブルの持つ意味を、

失うことなく成果として出せたのは大きいと思う。

秋にはフェスティバル出演ももあるので、

本番では更なる結果を出してほしいと思う。

アンサンブルは人のテンポ、リズムでは成立しない。

お互い合わせなければ曲にはならない。

その人に合わせるということが、

テンポを微妙にコントロールすることにつながっていく。

自分のテンポだけではテンポを見ることはできない。

自分の持っているテンポとは違うテンポに合わせることによって、

テンポは見ることができる。

見ることというより感じることができるといったほうがいいかもしれない・・・。

同じ刺激の中では、

その刺激がどんなものか感じることはできない。

違う刺激が発生することによってその違いを感じること、見ることができる。

アンサンブルの持つ意味というのは、

演奏するうえでは大きな意味があると思う。

自分の持っている、

テンポ、リズムの世界観とは違う世界に接することによって、

自分の持っているテンポ、リズムの世界観を知ることができる。

これ以外に自分の持っている世界観を客観的に見る方法はないと思う。

発表会というのはこういう経験の集大成的なところがあると思う。

参加するということは少しの勇気が必要かもしれない。

10回のレッスンより1回の本番という・・・。

これはなんの世界でも同じだと思う。

人目にさらされることで人間は成長するわけだから、

成長の機会は大事にしなければならないと思う。

また、44回目の発表会では、

どのくらい皆さんが成長してるのか楽しみにしたい。



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