◇1967年 現代ギター8月号 NO,5より◇

                 

 少し前に古物商のところにあった現代ギター第5号を発見。
1967年ということだといまから51年前ですね。
今の現代ギターから考えられないほど素朴です。
表紙はピカソを思わせるキュピズム系の装丁。
サイズもいまのものより一回りは小さいです、B5サイズですかね。
ページ数もかなり少なめです。

 その中から今回は、
石月一匡ギター室内楽コンサートの演奏会評を読んでみました。


                       

                  
                   室内楽のコンサートで演奏中の石月氏

                  (1) (2)

            >1967年7月3日安田生命ホール<
              ギター室内楽の夕べ


                      =演奏会評(三)=

 石月君がバッハの音楽の性格の中の大前提の一つである、

「建築的構成」を当時存在しなかったギターに適用するために、

その頃存在したあらゆる楽器に共通する普遍的性格として、

そのような発想法を取ったとするならば、

別の意味で問題として考えられなければならないだろう。

 いずれにしても編曲の原譜を単にギターで弾くこと以上に、

石月君がここまで頭を使ったことは注目されていい。

 もう一つ付け加えたいのは、

第一曲のアダージォは各楽器のバランスが非常によく、

曲の気分がしっとりして出ていたが,

この楽章の旋律的な流れをリズムを決めて行ったことで、

その結果として曲が重くなったことである。

 日本人は一般に早いリズミックな動きの演奏はいいが、

遅いテンポの取り扱いは苦手で、待ちきれない傾向がある。

このアダージォでは、そのリズムの難しさを、

リズムで乗り越えようとしたしたように見えるが、

これは考えものでやはり旋律的本質を音量のニュアンスや、

アゴギークで生かすべきではないかと思われる。
=終わり=



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