◇1967年 現代ギター8月号 NO,5より◇

                   

 少し前に古物商のところにあった現代ギター第5号を発見。
1967年ということだといまから51年前ですね。
今の現代ギターから考えられないほど素朴です。
表紙はピカソを思わせるキュピズム系の装丁。
サイズもいまのものより一回りは小さいです、B5サイズですかね。
ページ数もかなり少なめです。

 その中から今回は、
石月一匡ギター室内楽コンサートの演奏会評を読んでみました。


                       

                   
                   室内楽のコンサートで演奏中の石月氏


             >1967年7月3日安田生命ホール<
              ギター室内楽の夕べ


                      =演奏会評(一)=

 4年ほど前、未知の石月君から招待状をもらったので、

ギター室内楽演奏会を聴きに行き、

大変魅力的なものだと思ったので

それから一昨年まで3回聴きに行った。

その間にこのギター五重奏団は次第に進歩を見せ、

一昨年の曲目中ハイドンに至っては特に好演で、

一般の弦楽四重奏団の演奏と比べて遜色のないところまでいっていた。

その大きな原因の一つは石月君がその間ずっと鳩山寛氏の率いる、

弦楽四重奏団とのコンビで演奏していたことで、

そうしない以上ギターと弦楽四重奏団とが、

音色、音量、その他それぞれの持つ表現力の性質をよく理解しあい、

お互いに調和を保ち、溶け合うことが難しいからで、

今回は若い人たちからなるハウゼル弦楽四重奏団だったため、

その点で前よりしっくりいかない傾向があった。

 けれども第一曲目のボッケリーニの五重奏曲第三番は、

全奏者がお互いの調和に非常に神経を使っていることがよく分かり、

第二曲のミハエル・ハイドンの独奏ヴァイオリンと四楽器のための協奏曲以下、

次第に統一が取れ、四番目のカルリのアレグロイ長調では一層上手くいって、

円満で温厚な彼の音楽性格を、

たいていのギター独奏の場合よりしっかり打ち出していた。

そして、カステルヌオーボ・テデスコの五重奏では作曲手法、楽想とその取扱い方、

模倣を盛んに使ったテーマの展開のさせ方、多彩な楽器法、

テンポ、リズムの変化や対称の効果による近代性(ただし行き過ぎない)と、

新鮮味を味あわせるのに十分だった。
=つづく=



                 topへ