=街道をほんのチョビッと行く=
志馬遼二著


=白峰三山縦走記⑥=

2020年はコロナ禍により旅に出られず・・・。
仕方がないので2008年に登った北岳を盟主にする、
白峰三山を縦走した記録を連載します。
「街道をほんのちょびっと」なんてことはなく、
結構な大縦走だった・・・。
コロナ禍終息まで連載します。






北岳山荘を出発して、
40〜50分で「中白峰」に到着。

山頂の手前で人影を見つけ、
もうすぐそこだなと勇んで歩くが、
実際はなかなか到着しない。
山の七不思議というか、
もう目の前に目標が見えてるにもかかわらず、
目視の距離よりはるかに時間がかかる・・・。

そんなことだろうと、
長年の経験で分かってはいるが、
まあ登りからは早く開放されたいという気持ちがあるから、
気持ちは焦る・・・。






「中白峰」到着直前の草むらの上に、
岩ひばりが遊んでいた。
さして人間を怖がるふうでもなく、
チョコチョコ動き回っている。
カメラを向けると、
こちらに向かってポーズ・・・。
「いいよぉ!!いい・・・」
思わず胸の中で言葉が出た。

おかげでしっかり撮影することが出来た。
雷鳥とともに良い出会いとなった。






去り際に再びカメラを向けると、また動きを瞬間止めて、
横向きながら目線がこちらに来た・・・。
「おぉ!いいねぇ・・・」





「中白峰」から見る「北岳」は、
富士山のように優美な形をしている。
巨大な山塊にもかかわらず、
優美な品というものを湛えて「北岳」の特徴だと思う。

これから向かう「間ノ岳」など、
巨魁では「北岳」に並ぶ迫力だが、
いまいち野暮ったいと思うのは自分だけではないと思う・・・。





「中白峰」を後にして、
岩の道を「間ノ岳」へと向かう。
道はなかなか険しい・・・。






切り立った山肌に続く登山道を注意深く歩く・・・。
雲が山肌を駆け上ってくる。
この「間ノ岳」への道はなかなか険しい・・・。





「間ノ岳」山頂に到着。
3189メートル。
「北岳」よりわずかに低い・・・。

空は雲に覆われて、
先ほどまでの太陽は隠れてしまった。
天気は下り坂なのだろうか・・・。
山の天気は瞬時に変わる。





レインウェアで身を固めた一隊が、
われわれより先に「間ノ岳」を後にして、
「農鳥岳」方面へ歩き始めていた。
まだ雨が本降りという感じはない。
この余裕というか見通しの甘さが、
この後とんでもないことにつながっていく・・・。

無事でよかったと、
今でも恐ろしくなる出来事が待っていた・・・。




雨が降ったり止んだりしている中で、
昼食。

この食べてる間はまったく雨は降っていなかった。
まあまあ、いつものことだと、
まったく気にも留めていなかった。
実際、山で雨に降られるということも、
過去に何度か経験していて、
特にどうという気にはならなかった・・・。

しかし、今回はそれだけではすまなかった・・・。




=つづく=

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