=街道をほんのチョビッと行く=
志馬遼二著


=白峰三山縦走記⑪=

2020年はコロナ禍により旅に出られず・・・。
仕方がないので2008年に登った北岳を盟主にする、
白峰三山を縦走した記録を連載します。
「街道をほんのちょびっと」なんてことはなく、
結構な大縦走だった・・・。
コロナ禍終息まで連載します。
2021年も継続中。






>沢沿いの道に出ると、
今度は沢を渡るための丸木橋が出現した。

この手すりもない、
細い木が打ち付けてあるだけの橋を、
バランスだけで渡らなければならない。
しかも、見るとおり傾いている・・・。

下には沢の急流がものすごい勢いで流れている。
その流れを足の下に見ながら渡るのは、
かなり緊張する・・・。

まあ、覚悟を決めて渡らないと足がすくみますね。






大門沢小屋」から下ること2時間30分。
三つあるつり橋の最後のこのつり橋を渡ると、
もうすぐ登山道ともお別れだ。

このつり橋も板を渡しただけの状態で、
長さが結構あるので、
渡り始めると左右上下に揺れる揺れる・・・。

眼下の急流は濁流になっている。
ユサユサ揺れる足の下から見てると、
これはなかなかのスリルだ。






最後の吊り橋を渡って、
しばらく歩くと登山道の出入り口があった。
外に飛び出すと、
森が切れて視界がパッと開けた。
いよいよ現実の世界へ舞い戻ってきたというわけだ。

「奈良田温泉」に浸かるには、
40分道路を歩かなければならない。
>帰る電車の時間を考えると、
あまりのんびりも出来ない・・・。

少しの休憩の後、
「奈良田温泉」に向かって歩き出す。
舗装された道路を歩いていると、
もちろん都会に比べれば、
まだまだ緑豊かな場所であることにはかわりがない。

しかし、ついさっきまでの山の世界が、
すでに遠くなったような気がした!!
今、歩いている空気感が、
山道を歩いている時と、
あまりに差が大きいということだろう・・・。

温泉に近づくにつれてますます距離感が出てきた。
と同時にまた登ろうという気持ちがわいてくる。
きりがない堂々巡りだ・・・。






「奈良田温泉」到着。
温泉道具と思うのだが、
着替えはTシャツ一枚が、
雷雨から免れていた。
あと奇跡的に靴下一足。

あとはすべて水浸しだった・・・。





ひと風呂浴びると庭に出た。
ビールを片手になんとも大満足!!
このひなびた雰囲気の温泉宿も、
ホッと緊張をほぐしてくれる。

呼んでおいたタクシーが、
思っていたより早く到着してしまって、
ビールがまだ残っている状態で急がされた。
ま、ちょっとそがれた部分があった・・・。






ちょっとあわただしく、
タクシーで「奈良田温泉」を出発。

身延線「下部温泉駅」に到着。
背後に山が迫っているこの駅も、
雰囲気があってなかなかよかった。
ただお土産やさんがまだ明るいというのに、
早々とシャッターを下ろしたのにはちょっと驚いた・・・。

しかし、ここから甲府までが結構長い・・・。






駅の改札口の横に、
この石碑があった。
ここに書かれている言葉がなかなか気に入って、
写真を一枚撮ってきた。

いよいよ列車に乗って横浜へ向かう。
山のイメージは、
少し曇ったガラスケースの中に納まってしまった・・・。






甲府から帰りの「特急あずさ」に乗り、
一路八王子を目指す。
車窓の外を見ると、
そろそろ夕闇が迫ってきていた。

日本屈指の縦走路を無事帰ってきたことにホッとして、
この「白峰三山縦走記」を終わりたいと思います。

長らくお付き合いいただきありがとうございました。

今日いきなり福田首相が辞任というニュースが流れた。
ちょっと驚いたが、
新たな時代が始まろうとしている。

年末に向かって気を引き締めて、
滑落しないように気をつけたい・・・(^_^)v




=完=


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