=街道をほんのチョビッと行く=
志馬遼二著


=白峰三山縦走記⑩=

2020年はコロナ禍により旅に出られず・・・。
仕方がないので2008年に登った北岳を盟主にする、
白峰三山を縦走した記録を連載します。
「街道をほんのちょびっと」なんてことはなく、
結構な大縦走だった・・・。
コロナ禍終息まで連載します。
2021年も継続中。






こういう崖の道はやはり要注意!!
これは怖いね・・・。
慎重に歩かなければいけない道だ。
ボケッとはどうみても歩けないですよね・・・。

アルプス系の縦走路には、
こういうところが必ずあって緊張させられる。
油断すると転落、ハイさようならですね。






下降点の「大門沢」への縦走路。
荒々しい上り下りはかなり少なくなって、
長〜い緩やかな下りの道が続く・・・。

もうすぐ下降点だ・・・。






もうすぐ下降点だ。
なだらかな道の向こうに小さく見えてくる。
いよいよ「白峰三山」ともお別れだ・・・。
下降点の向こうに「広河内岳」が見えている。
元気の余ってる人はどうぞ登ってくださいという感じ・・・。






ついに「大門沢下降点」へ到着。
ザックをおろしてしばし休憩・・・。
あとは、まっさかさまに急下降だ。
かなり急な下りが待っている・・・。
なんたって6時間の下りってことだ。

膝はぼろぼろになるだろうな・・・。
覚悟は決めておくしかない・・・。





静かに時間は流れる・・・。
我々以外に周りに登山者はいない。
幾重にも重なった山を眺める。
至福のひと時というのはこんな時間かもしれない。

出発の時間は迫ってくる。
アルプスの風景をじっくり眺めて、
目に焼き付ける・・・。
明日はもう日常に戻って生活している・・・。
なんともこの風景の中ではそのことが信じられない・・・。
いよいよ「白峰三山」を去るときが来た・・・。






「大門沢下降点」を後にして、
いよいよ下りの急坂に入った。
はるか下を見ると、
下るべき沢が見える。
いよいよ南アルプス屈指の縦走路。
「白峰三山」ともお別れだ・・・。

右ひざは踏み込むごとに痛みが走った。
しかし、下らないことには、
「奈良田温泉」の湯船に身を沈めることは出来ない。
やはり山の帰りは温泉だ。
これを省略しては山を登る意味の半分はナシになってしまう。
それだけはなんとしても避けたい・・・!!






この下りの道は怖かった!!
崖にもかかわらず道らしい道がなかった。
鎖はついているのだが、
バランスを崩せば、
この世とおさらば間違いナシだ。
さすがに天下の「大門沢下り」だ。
簡単に下るというのはないね・・・。





下るほどに緑は濃くなり、
草深い南アルプスの顔になる。
南アルプスは森林限界が高いので、
北アルプスに比べると、
下り始めると意外にすぐ、
深い森と背の高い草地が現れる。

高度が下がるにつれて湿度が高くなり蒸し暑さが襲ってくる。
まあ、下る身としては蒸し暑いのはこたえますね・・・。





下り始めて2時間30分。
「大門沢小屋」に到着。
この小屋が山小屋の最後だ。
ここで昼食を食べる。
メンバーの二人はカレーを食べている。
どうも胸やけがしそうなので、
ここは、ざるそばを食べる。

食事はすべて1000円。
山の上は労力を考えると、
やはり割高になりますね・・・。

「大門沢小屋」を出発して、
少し歩いたところで足を滑らした。
崖に転落だ・・・!!

滑り落ちながら、
すぐ止まると思ったのだが、
(止まらないな・・・)
と思ったところで、
太い倒木に引っかかって止まった。
後ろを歩いていたN君が、
「大丈夫ですか、ザックは上がりますか?」
というようなことを言っているのが聞こえる。
半分朦朧としていて判断がつかず、
答えられない・・・。

自分自身は、
めがねがどうなったか連呼していたと思う・・・。

少ししてN君の声がはっきり聞こえてきて、
身を起こそうとするが、
どうも持ち上がらない・・・。
崖の草地のために角度が急で簡単に持ち上がらない。
下手にジタバタすると、
そのまま滑り落ちそうだ・・・。

慎重になって、
体の向きをN君の声のほうに起こしていく。
しかし、急な崖のためか、
体をうまく持ち上げることが出来ない。
N君が手を差し出しているので、
そこまでとにかく三点指示でズリズリしながらもとにかく登る。

N君が手を差し出してくれているところまたどり着いて、
腕を一杯に伸ばしてその手をしっかりつかむ。
思い切り引っ張ってもらって、
ようやく登山道に戻ることが出来た。

落雷といい転落といい、
まあ、いろいろ起こる登山ではある。
太い倒木がなかったら、
どこまで滑り落ちたか分からない・・・。
あまり下まで落ちてしまうと自力では上がれず、
救助ということになってしまう。
ニュースにはなりたくないので、
とにかく倒木に引っかかって止まったのがラッキーというだった。
落ちた瞬間のことは全く覚えていない・・・。

一瞬の油断が大きな事故につながりかねないのが、
アルプス系の登山だ。
要注意だ!!




=つづく=


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