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Abrasive Thunder




Genre:INDUSTRIAL TECHNO BPM:150



 Sound / FT 718 as "SAMPLING_RT3"

8月5日は「ハードコアテクノの日」。2017年に「Toy-Like "Cardy"ans」を出し、2018年にそれをBMS化したわけだが、 2019年以降は、現在関わっているNPO法人が7月末〜8月にかけて局所的に立て込む「教育」業界のため、8月5日あたりは毎年プライベートを削って業務に当たるレベルの立て込み具合になり、創作活動どころではない状況になっている(汗)。

 

本作を着想したきっかけは、2019年の秋頃に紙やすりで珪藻土バスマットを240番の紙やすりで研磨していた際、裏に「ABRASIVE」とかすれた印字があったのを見て「無駄に[E]なw」と思ったことと、同時期に「DEP AFFECT - INDUSTRIAL HARDCORE」って素材集のデモ7番に一目惚れ(?)したことである。「スクラッチに本来のスクラッチ(研磨)音を当てたハードテクノでも作ってみたら面白いかもな〜」と同時に思いついた。

 

研磨機材のことを「サンダー」と呼ぶことにかけて、曲名にThunderという中二病ワードをつけることも思いついた。(なお、ベルトサンダーなどのサンダーは「sander」、つまり「砂」が語源である)

 

後で調べたところ、研磨にはゴシゴシこすって磨いたり、微細な砂や研磨剤を超高速で吹き付けたりするだけではなく、(中学・高校の理科・化学基礎Iの「化学電池」のような要領で)電気と化学変化を利用して金属表面を滑らかに加工する「電解研磨」という技術も実用化されていることを知った。
…タイトルをThunderとつけても「研磨に関連した単語」には変わりなかった。(後付だけど)

 

紙やすりの音以外にも、(硬貨で削る)宝くじのスクラッチ音や、先述した「電解研磨」の加工音を無理矢理トップスやアンビエンス用ループ素材に加工したものなど、「普通そんな使い方しないだろう」というアプローチの音ネタをふんだんに盛り込んでいる(聞こえるかどうか分からぬ程度だが)。

 

なお、Abrasiveという単語には「研磨」の他に「耳障りな・強引な」などのネガティヴな意味もあるが、今回はあくまでも「研磨」という意味のみに着目している。(ミックスが耳障りにならないよう、素人ながら最大限配慮したが…)

 

着想した当時、IIDX界隈で丁度「HARD BRAIN」が出現した頃だったことにも影響されている。そのため、当初は「HARD TECHNO」として制作していたのだが、「お、これ使えそうだな」とストックしていった音ネタが工場関係の音声ファイル・フリー素材ばかり溜まっていったことや、参考資料として研磨工場・業者の動画ばかり観ていたことから、自分の脳裏に浮かぶコンセプトに「工場」の要素が強くなった。その結果、制作途中(本来2020年8月5日に出す予定で間に合わなかった)でハードテクノから「INDUSTRIAL TECHNO」にジャンルを鞍替え。

 

楽曲の展開が16小節ごとに大きく変わるのも、「工場見学」を意識したものである。時間がなくて強引に繋げたという事情もあるが(汗)
私が新卒で入った会社では、中国の製造工場や仕入元の部品工場へ出張することが多く、出張中は毎日好きなだけ工場見学(またはアルハラを受ける)、という環境だった。そのため、1つの広大な敷地内に、複数の工場が存在しており、それぞれの建物が大きく異なる作業をしている様子を、現地のスタッフに連れられて目にしていた。
こうした記憶を基に、「作業棟を巡っていく」イメージを表現してみた。

 

「工場」は「危険・汚い・キツい・暗い・臭い」といった「5K職場」と言われてきたが、中で行われていることは物理・化学・テクノロジーの集大成である。
スーパードンキーコングの「Fear Factory」、カービィ64の「こうじょうけんがく」、カービィのエアライドの「スチールオーガン」には及ばないかもしれないが、5K職場という偏見の解消に少しでも寄与できれば幸甚である。

 

ちなみに、BPMは当初「Attack the Music」と同じ140にしようかと考えていたのだが、BEMANIのハードテクノとしては比較的異色な「good high school」に感化されたことと紙やすりの番号(目の粗さ)に由来し150とした。

 

<新名義について>
元ネタは古いBMS曲。サンプリング素材のみで構成した楽曲に使用していく方針。

「RT3」というのは「Artisan」(職人)という英単語を日本語でもじったもの。
「(アカウントは非公開だが)SNSでせめて3回はRTされるくらいの楽曲を作る」「おこがましいのを承知の上で、その名に恥じないような楽曲を作る」 といった意味・意図(もとい自らへのプレッシャー) を込めている。

楽曲内元ネタ一覧>
冒頭SE:トミカ絆合体アースグランナー(変身バンク冒頭)
イントロ・アウトロで鳴っているサイレン:號/YAMD/戦國(03年)
紙やすりスクラッチ地帯:キスケテク/.deco (キスケ)/BOF06
0:55〜1:17の金属音:メトロイドプライム(仕掛けタイマー音)
1:08〜1:17で鳴っている電撃音:R∞tAge/HuΣeR+/IIDX26
1:52〜2:36で鳴っている金属音:PAIN HACKER/yujurie/Individual Shred-Core・BOF15
2:38〜3:01で鳴っている機械音:スチールオーガン/カービィのエアライド
アウトロ直前のフィルイン:ヴィジュアル2・Cry Out/good-cool feat.KoHey/PM4+白い星光/おみー/無名戦10
展開・フィルインの一部:拙作Hyperlink