ENTR@NCE 3rd ANNIVERSARY
2003年3月14日(金)。世間ではホワイトデーとか何とか言う日らしいが、とりあえず僕には全く関係ない(苦笑) いやまあそれはどうでもいいとして、この日はENTR@NCEの三周年パーティがあるのだ。
 
思えば、ENTR@NCEの一周年記念の日にこのサイトを立ち上げたのだった。そんなワケでこのコーナーも、第一回のレポはENTR@NCEの一周年パーティ…。何かと個人的に思い入れのあるパーティだ。いや僕だけじゃあない。このENTR@NCEに特別な思いを持っている人間は、名古屋のテクノ好きの中には少なからずいるハズだ。このパーティには確かに、人を魅き付ける[何か]があるのだ。
 
そして今回の三周年パーティ。ゲストに何と、FRANK MULLERをDJで、そしてDr.SHINGOをライブで迎えての特別編。これはきっと何かが起こるに違いない…。いつも以上に行かないワケにはいくまい。
 
 
僕が栄のJB'Sに着いたのは22:00ちょっと前くらいだっただろうか。中ではDJ KANEDAがまわしていた。いつもながらのキックの強い、トライバル風味なミニマル。フロアを見ると、まだ早い時間にも関わらず人もそこそこに入っている。しかし、いつもつるんでいる友人達はまだ来ていない様だ。とりあえずカウンターでビールを買って一人飲みつつゆったり体を揺らす。そしてDJのca10さんを見かけたので「三周年おめでとう!!」と挨拶を交わす。
 
DJ KANEDAのプレイ、ふとそこまでのミニマルから明るい音が入ってきた。FUNK D'VOIDの[DIABLA]それもSLSのリミックスの方だ。彼がこの曲をかけたのはなんだか凄い意外だった。更にそこから歌モノだとか色々とかけてプレイ終了。…普段の彼からは想像もつかない選曲だった。あとで聞いたところ「一番手ということだし色々とやってみた」とのコト。彼のプレイの前半はどんな感じだったんだろうか。凄く気になる。こんなコトならもっと早く来るべきだったか、と少し後悔。
 
そして始まったのはSYUHEN-KIKIのライブ。彼の創る曲は凄いアッパーでハイテンションなミニマル…と言うイメージだったのだけど、これまた様子が少し違っていた。以前聴いた時よりもBPMも落し目で、ちょっとダークな感じ。「なんか暗黒ぽいな」って印象を受けた。ハイハットの音とかがちょっとヨハネスヘイル風味かな、なんて思いながら踊る。
 
後半になると次第にアッパーな感じに。でもいつもよりは下げ目な感じ。時間も浅いからあえて抑えているのかもしれない。この頃には友人達も続々とやって来ていた。お互いに挨拶を交わし、そして缶ビールで乾杯。名古屋の仲間だけじゃなくて、東京方面から来た子とかもいた。
 
30分のライブが終わって、次はDJ SEKOGUCHIのプレイ。しばらくENTR@NCEでのDJ活動を休止していた彼のプレイ、個人的にも聴くのは凄い久しぶりだ。この人の音、派手でアッパーでハードなイメージがあったけど、この日は少し違っていた。トライバルな感じで、だけどハード過ぎない。割と音数も少な目、そんな感じの音で曲を繋いでいく。さっきまでの二人もそうだったけど、もしかして今日は、「いつもと違う音でプレイ」そんなのがテーマだったりするんだろうか。
 
ちょっと疲れてきたので、この頃にはフロアよりもバー側の方でまったりしてる時間の方が多かったかもしれない。カワムラさんとか、神奈川から来たチヒロさんとかと喋ってた。OZONやMAGOでDJをやってるカズミさんを掴まえて、「髪型が変わってて誰か分からんかった!!」とかそんなどうでもイイ事を話す。
 
DJ SEKOGUCHIのプレイ、後半の方はCHESTER BEATTYの[LEVANON]とかがかかってかなり盛り上げていた。
 
そしてENTR@NCEの大将、DJ TETSUWOにバトンタッチ。DJ TETSUWOのプレイは安定してイイ音が出ていた。僕はフロアで踊ったりバーでまったりしたり…。正直DJ TETSUWOがどんな曲をかけたのかあまり覚えていない…。もしかして少々飲み過ぎているのかもしれない。でもそれも仕方がない。[3rd ANNIVERSARY]と言うハッピーな雰囲気にあてられては、お酒が進んでしまうのもムリの無いコト。
 
DJ TETSUWOのプレイ、後半の方はかなりフロアも盛り上がってきていた。時間もかなりイイ時間になってきているし、次はゲストのDr.SHINGOのライブと言うのもあって次第に客は前の方へと集まってくる。
 
そしてイイ具合にフロアを盛り上げてDJ TETSUWOのプレイは終了。DJブース前に設置された、ライブ用のテーブルにスタンバイするDr.SHINGO。今日のENTR@NCE、実は僕的にはこのライブが一番の目当てだった。そんなワケで僕もライブブース前に噛り付く。
 
テーブルの上には4.5台の色々な機器。ノートPCに、CD-Jに、エフェクターの様なもの。ミキサー…。何がどうなのかよく分からない。隣にいたnagai君曰く、ノートPCに曲のデータが入っていて、それをエフェクターで色々いじるんじゃないか、との事。
 
始まったDr.SHINGOのライブ、最初の方は結構ダークな感じだった。でもそこから段々と音が広がっていく。テレビゲームっぽいピコピコした感じの音が入ったり、フワーっとしたシンセの上音が入ってきたり。そしてたまにヴォコーダで声をミックスする。僕はこの人のアルバムやEPは持ってないし、だからどんな曲を創っているのかもよく知らなかったのだけど、でも音の雰囲気はかなりイイ。結構好きな感じだ。そして、この人の所属している[FORTE]レーベルの音の特徴が凄く出ている気がする。
 
周りを見ると、踊っている人間半分。そして興味深そうにDr.SHINGOの手元を覗く人間半分と言った感じ。ブース最前列に集まった人間はみんな手元をじっと見ている。僕もそう。ほとんど踊らずに、いやそれどころかほとんど微動だにせずに(笑)、Dr.SHINGOの手元ばかりを見てしまう。おかげでカワムラさんとチヒロさんに注意されてしまった。「じっと見過ぎ!!」だと。まあ本当は踊るべきライブなんだから注意されても仕方が無いか(笑) でも、どうしても音を聴いて踊りたいと言う気持ちよりも、好奇心の方が勝ってしまうのだ。それ位に興味を魅かれるライブだった。
 
あっと言う間の一時間でライブ終了。客の大半はまだまだ聴きたそうだった。でもアンコールに対して、ヴォコーダボイスで「モウ、ナイヨ…」(笑)
 
まあライブの場合は仕込みも大変だし、アンコールは事実無理だろう。あともまだ控えているし…。しかし久々に面白いライブを観たと思った。心からそう思えた。[FORTE]と言うレーベルは個人的にはかなり好きなレーベルだし(C.MORGENSTERNが本当に好きなのだ)、Dr.SHINGO自体の音もかなり好みだった。今度レコ屋で作品見かけたら買ってみようと思う。
 
続いてDJ T2O。ライブの後と言うことでいきなりスクラッチでプレイ開始。この人のスクラッチとか凄いと前から思っていたけど、久々に聴いた彼のスクラッチは前よりももっと音にキレが出ていた。プレイ自体も安定したイイ感じ。スクラッチに2枚がけ、色々なテクニックでフロアを沸かせる。ゲストとゲストの間と言う大変な時間なのにも関わらずしっかりフロアを盛り上げている。踊りたい、とも思ったけど疲れてきていたので友人達と一緒に外へ出る。フロアからは、さっきDJ SEKOGUCHIもかけていた[LEVANON]が聴こえてきていた…。
 
友人達とコンビニへ入り、アイスや飲み物だとかそれぞれ買う。僕は前々から気になっていた新製品の某豆乳飲料を買った。たった125mlで100円とはなかなかの値段。大豆の写真そのままのパッケージもインパクト大。しかしこれが…(絶句) 味の好みと言うのは人それぞれだと思うので、ここでは美味いまずいとは言わない。でもこれ、どう考えても飲み物の味じゃあないぞ!? 友人達にも飲ませたのだけど、誰かが「醤油をかけた方がいいんじゃ…」と言っていた。まさにそんな味だ。確かにあるイミで「スゴイ」。
 
結局そのまま、僕らはフロアへはしばらく戻らずに話し込む。と言ってもバカ話ばっかりだ。でもこんな時間がたまらなく楽しい。クラブ以外ではほとんど会わない友人だったり、ほとんど初対面の相手だったりしても話が盛り上がるのは、きっと[テクノ]とか[音楽]と言う共通の趣味・嗜好が根底にあるからなんだろう。
 
時計を見るともう2:00。ゲストのFRANK MULLERが始まっている。でもまだ戻らない。個人的には今日のメインは終わっているし、MULLERはそんなに聴きたいワケじゃない。友人達も皆戻らず、結局それからも1時間くらいずっとハコの前で話していたんじゃないだろうか。
 
3:00くらいになってようやくフロアへ戻る。フロアは結構空いていた。
 
ブースのMULLERはすらっと長身で、結構イイ男だ。そして着ていたTシャツがカッコ良かった。
 
MULLERのDJは…と言う話をよく聴くし、ミックスCDを聴く限りでは確かに…だ(苦笑) でもこの日のプレイはそんなに悪くない感じじゃなかった。どんな曲がかかったのかはほとんど全くと言っていいほど覚えていないのだけど。
 
後で知った話では、プレイ前半とかに結構テクネジアとかかけてたらしい。それと、東京ディスコのベロシマミックスとか、[WATCH YOUR MOVIN' BODIE'S]のセルウェイリミックスとかもかけてたとか。この辺の曲は本人かけたら確かに盛り上がるだろうな…。ちょっとしっかり聴いてみたかった気もする。
 
そしてDJはラストのDJ ca10へ交代。MULLERよりもちょっと音をソフトな感じに落し、そしてそこから段々と彼独特のハッピーな選曲へと持っていく。初めてENTR@NCEでこの人のDJを聴いた時は、途中で[虹]のマイクヴァンダイクREMIXがかかったりして、とにかく[ハッピー]な印象を受けた。それは今もずっと変わっていない。気持ちのイイ音に身をまかせ、ゆらゆら体を揺らしてみたり、お酒を飲んだり…。
 
もうかなり深い時間でフロアは人もまばらだったけど、でもガラガラと言うワケでもない。イイ感じに人がいる。そしてca10さんのDJの時、どこから来たのか、60前後(!)と思われる初老の夫婦がとても楽しそうに踊っていたのが印象的だった。(後で聞いた話ではこの初老の夫婦、マツヒコ君がハコの前で話し掛けられてJB'Sに連れて来たらしい)
 
おおよそクラブとかに縁の無さそうな、こんな人が何の違和感も無く楽しそうに踊っている…。それはとても素晴らしい光景だと思った。そしてそれは、本来パーティのあるべき姿なのかもしれない。来るものは誰も拒否せず、皆で楽しい時間を分かち合える…。僕はこのENTR@NCEと言うパーティの関係者でも何でもない、一介の客に過ぎないけど、でもこの光景を見てて何だか胸が熱くなった。
 
 
そして5:00過ぎにパーティは終了。今日の[ENTR@NCE 3rd ANNIVERSARY]。ラストはDJ ca10とDr.SHINGOのバックトゥバックだった。このバックトゥバックも最初から予定にあったものでは無いとのこと。最後にバックトゥバックをやって終わりたい。ゲストDJをそんな気持ちにさせた、そんなパーティだったと言うのも何だか素晴らしい。