WIRE02 2002/08/31@埼玉スーパーアリーナ
今年もこの日がやってきた。そう、一年に一度のテクノ祭り。それがWIRE!!
 
 
PROLOGUE〜出発から会場まで
 
WIRE会場までどうやって行くべきか。交通手段は毎年の悩みの種だ。一昨年は新幹線で、去年は高速バスで行ったが、今年は結局、友人達と数人で、青春18切符を使って普通電車乗り継ぎで行くことに決定。乗り換え駅やダイヤの調査は全部僕の役目だ。なぜなら、鉄道には少しばかり詳し…コラそこ!! [鉄ヲタ]って言うな(爆)
 
当日、名古屋駅に9:30に集合。そして、カワムラさん・ca10さん・アカポリ君・僕の4人で名古屋を出る。豊橋でまきちゃん・ゆかりちゃんの二人組と合流し、6人で東京へと向かう。途中、豊橋→熱海間の電車で全く席が空かず(結構混んでる区間なのに電車たったの三両!! もう少し考えろよJR!!)、3h立ちっぱなしになったりとか、更に僕らの目の前の乗客が席を二人分占拠して居眠りしてるなどかなり腹の立つ出来事もありつつも、結構楽しい電車の旅。つうかやっぱみんなでワイワイやって旅するのってイイね。
 
東京駅で軽食を取ったりしつつ、会場には17:00くらいに到着。そう言えばここ来る途中、京浜東北線の駅で[王子]って駅があったような…(笑) まあどうでもイイことなのだけど。会場の埼玉スーパーアリーナは駅の間近だった。…でかい!! 去年までの会場だった横浜アリーナなんかよりはるかにでっかく見える。ここで今からWIRE…いやがおうにも気分は盛り上がる。
 
 
PM18:00 開場〜SHIN NISHIMURA
 
会場着いてすぐにカワムラさん達とは一旦別れ、僕はca10さんと二人で行動をする。クローク等の所用を済ませ、列に並んで会場へと入る。去年とかは会場入るまでに結構待たされた記憶があるのだが、今年はすんなり入れた…と思ったのだが、アリーナの中へ入ってからが様子が変だ。奥へ行けども行けども入り口が見つからない。もう時間は18:00をまわっている…もう始まってるじゃないか!! とりあえずでも奥へ進むしかない。と、かなり奥まで行ったところで、ゼンタ氏・RUKIA嬢・ムラサメ総長の関西組にばったり遭遇!! お互いにビックリする。そして僕は、ゼンタ氏のTシャツに二度ビックリ。KANZLRAMTのTシャツ…!? なんかDIEGOにもらったとか…イイなぁちくしょう!!
 
と色々話したりしてるところで突然人の流れに動きが。どうやらまだ始まってはいなかったらしい。時間は18:20くらい。約20分押しのスタートだ。
 
とりあえず側の入り口からフロアへ突入。自分のチケットに記してあるBブロックへ行くと、みんないた!! 一緒にここまで来たメンバーはもちろん、てつを君・王様・Kazuhikoさん…。とりあえずカワムラさんに買っておいてもらったWIRE02タオルを受け取り、それを首に巻いて踊り出す。早くも気分が高まって来てバカ踊り炸裂。みんなに「飛ばし過ぎ!!」と注意される(笑)
 
シン・ニシムラのプレイは、やっぱり一番手と言うこともあってかそんなにゴツくない音の感じ。ピッチも早過ぎず遅過ぎずにちょうどいい具合。ミニマルを中心に、でも合間合間でエレクトロに行ってみたり、みんなの知ってそうな曲とかかけてみたり。やっぱり有名な曲がかかった時は盛り上がる。と、途中で知ってるフレーズ。「あ、EVERGREENだ」 しかし、自分のよく知ってる[EVERGREEN]とはどこか違う。あの独特のヴォーカルはそのままに、もっとダビーで深い感じのトラック…隣で踊っていたてつを君が教えてくれた。「エヴァーグリーンのクロード・ヤングremixだよ」 そんなのが出るのか…これは、欲しい!!
 
シン・ニシムラのプレイ終盤になってきたところで、僕はBブロックの最前列へと移動を開始する。理由はただ一つ。この次のスケッチ・ショウのライブをまん前で見たいからだ。シンさんのプレイ、ラストの方は上モノ綺麗系なトラック多めで、かなり好みな感じだった。本当はもっとガシガシ踊りたかったけど、スケッチ・ショウに備えて僕はひたすら前へ。人ごみをかきわけて前へ前へと進む。
 
 
PM19:40 SKETCH SHOW
 
スケッチショウのライブの時間が近づくにつれ、ライブブース目前のブロックは凄い人だかりに。もう身動きすら取れないほどの混雑だ。僕もなんとか最前列から3番目位まで来たが、もうこれ以上は進めそうにない。これ以上の前進をあきらめてここを定位置とする。
 
シンさんのプレイが終了すると同時に、ステージには細野晴臣・高橋幸宏両御大の姿が。その二人の姿を見ただけで僕はもう、失神しそうだった。YMOでテクノを知った僕。しかしYMO世代では無い僕。もちろん生のYMOを見たことなどない。いやもう、金輪際見れることなど無いだろうとあきらめていた。だがしかし、それが今、こんな形でかなっているのだ。このWIRE02と言う、日本最大のテクノイベントのライブアクトとして、ステージにYMOの二人が立っているのだ。…何と言ったらいいのだろう。この時の僕の気持ちを表すのに、どうしても的確な言葉が見つからない。いや、言葉で表しようがないのだ。感動? もちろんそれもある。でもそんな単純な気持ちじゃないのだ。
 
期待感と妙な緊張感と…そんな中で始まったスケッチショウのライブ。1曲目は、ノイジーな電子音がひたすら繰り返される、実験エレクトロニカと言う感じだった。細野・高橋の二人も、ステージ上で、手探りする様に、本当に実験でもするかの様に次々と音を紡ぎ上げていく。音楽実験としか言い様の無い、独特の空気が漂う。続く2曲目は、うって変わって綺麗なメロディの曲だった。少しだけ切なげな、美しいメロディが、広い、埼玉スーパーアリーナの会場中に響き渡る。フロアは凄く混んでて体を揺らすことすらままならない。でも、音をただじっと、黙って聴いているだけでも僕は充分に幸せだった。そして、途中から入った高橋氏のヴォーカル。生で聴く幸宏さんのヴォーカルは本当に素晴らしかった。僕はただもう、うっとりしていた。
 
こうして、4曲か5曲やっただろうか。曲はどれも、エレクトロニカ色の濃いものだった。雰囲気的には、再生YMOのアルバム[テクノドン]。その中でも実験色の強い[NOSTALGIA][DOLPHINICITY]あたりの曲のイメージ。それをもっと内向的で実験的にした感じなんだろうか。音は高橋氏の音が色濃く出ていて、坂本氏がいない分ポップ色が無くなり、変わりに細野氏の趣味世界が全開!! 僕はそんな印象を受けた。
 
そしてラストにかけたのは、YMOの[PURE JAM]だった。これをスケッチショウ風に(?)リメイクした感じで、途中には[RYDEEN]のイントロだけが一瞬入ると言うサービスも。フロアも凄い反応だった。こうしてスケッチショウのライブは終了した。本当に、本当に素晴らしいライブだった。この時はもう、「今日はこれで帰ってもいい!!」 本気で心からそう思った。
 
それにしても、高橋幸宏はカッコいい。本物を見てますますそう思った。スマートでいつもお洒落だ。僕もあんなおじさんになりたいと思う。
 
 
PM20:10 小休憩
 
スケッチショウのライブですっかり放心状態になったのでとりあえず休憩。この時間はメインではタサカ、セカンドフロアではフランクムラーのDJだけど、僕的にはどっちもどうでもいい(笑) アカポリ君と二人でスケッチショウの感想とか話しながらロビーへ出る。でとりあえず僕はビール。やっぱりこれだ。散々汗かいた後で飲むビールはやっぱり美味い。
 
そのままセカンドフロアへ行ってみる。ムラーのDJは思ってたほど下手でもなかった。やっぱりハコだとそれっぽく聴こえる。…でもじっくり聴くとやっぱヘタかも(汗) セカンドフロアはブース分けとかされてなくて、一昨年に幕張メッセで体験したエレクトラグライドに似た雰囲気だった。こっちの方が開放感があってメインよりもいいな〜なんて思ったりもする。それに天井がやたら高いことに気付く。
 
こっちにも飲み物の屋台が出てたので、またビールを買う為に並ぶ。するとここでカワムラさんと再会。
 
 
PM21:10 KAGAMI
 
と、ビールを買う為に並んでいたら突然音がフェードアウト。しかもかなりヘタなフェードアウト(笑) ?と思っていると突然、カガミの[PERFECT STORM]。しまった…カガミのライブが始まってしまった。実は密かに今回楽しみにしていたのだ。
 
ビールを買って、慌ててフロアへ突入。するとアカポリ君とかKazuhikoさんとかもいた。ブースからはかなり離れている位置だったけど、音は充分に聴こえるし、何よりあまり混んでいない。とりあえずここで踊り狂う。
 
カガミのライブは、きっと凄くカッコいいものになるだろうとは思っていたが、正直言って期待以上だった。カガミ=ディスコなイメージが強いけど、でもこのライブはかなりハードだった。曲はディスコな曲が多かったのだけど、何と言うか、音の聴かせ方がハードミニマル的?とでも言えばいいんだろうか。ヒットトラックと知らない曲(新曲? ライブの為のトラック??)とを次々と織り交ぜて繰り広げていく。そして終盤。ついに来た…東京ディスコ!! 一昨年のWIRE裏アンセムと言われたこの曲。やや使い古された感もあったこの曲だけど、でもやっぱり本人が、しかもライブでかけると音が違う!! フロアの盛り上がりもそれまでに無い位のテンションへ一気に上がる!! サビの[東京ディスコミュージックオールナイローン]が出ると同時にフロアは大爆発!!!! 周りを見るとみんな激しく踊っている。肩車してる人とか、いろんな人がいる。僕も負けじと踊る。踊る。
 
そして最後に1曲、聴いたことのない曲へと繋いでカガミのライブは終了。てっきり最後は[東京ディスコ]→[Romantic Time Slip]へ繋ぐと思っていたのでこれは意外だった。あとで聞くとみんな同じことを言っていた。きっと誰もが予想しちゃうことだからあえてやらなかったんだろう。
 
しかし、これだけ凄いライブがやれるのになぜ今までライブやらなかったんだろうか。この人、DJよりライブの方が絶対に凄い気がする。
 
 
PM22:00 MONIKA KRUSE
 
カガミのライブの後はセカンドフロアは田中フミヤ。ノンビートの歌モノで始め、そこに徐々にミニマルトラックをかぶせていく形でスタート。かなりディープな展開になりそうでそそられたが、しかしやっぱり、モニカ姐さんのDJを楽しみたい!!と言うことでメインフロアへと戻る。
 
メインへ戻ると、まだノーザンライトのライブがやっていた。ふとライブステージの方を見て目を疑った。え…?? ヴォーカリストにギターの人までおる??? 意外だ。テクノのライブって、ただ黙々と機材いじってるイメージがあったけどまさかギタリストが出てくるとは…。
 
ちょっと興味を引かれたものの、モニカのDJを間近で見たいが為に僕は一人、Eブロック目指して歩く。と、途中でまきちゃんと、それにエリちゃんにバッタリ出会う。彼女らもモニカを近くで見たいとのことで意気投合し、三人でEブロックへ。
 
モニカのDJ、最初がいきなりグリーンベルベットで始まった。この人って、ミニマルじゃなかったっけ…。続いてもダークなエレクトロをかけ、そして3曲目。ヨハネスヘイル[PARANOID DANCER]のヘルリミックス。これがかかった時点でいきなり僕、壊れる。「うぉ〜ッ!! ヨハネスヘイルだぁぁ!!!!」 まさかWIREの大会場でこれ聴けるとは思いもしなかった。しかもまさか、モニカ姐さんがかけるとは…。とにかく、これで僕の変態踊り魂に火が付いてしまったことだけは間違いない。
 
そして、[PARANOID DANCER]に段々とミニマルな曲がかぶさってくる。そしてピッチも少しずつあがっていき、ハードな盛り上げミニマル大会へと突入。ここからは本当にミニマル選曲連発だった。でも、ミニマルなんだけど単なるツールものじゃない、ブレイクとかがあって派手な曲が中心。そして1曲1曲のブレイク毎にフロアは大爆発。あたりからは「モニカー!!」のまるで怒号にも近い声援が飛び交う。ふと周りを見て気付く。そう、このブロック。異様なまでに男子率が高いのだ。やっぱりモニカ姐さんは男に人気あるんだなぁ…まあ自分もその一人なワケなのだが(苦笑)
 
しかしこの人のDJは、何て言うのだろうか…ミニマルなんだけど、他のミニマルDJとはちょっと違う感じがする。ミニマルDJて言うと、とにかくやたらと何でもかんでも曲混ぜまくる人が多いのだけど、それとはちょっと違うミックスをしている。1曲1曲の展開を大事にして、凄く丁寧にピッチを合わせ、なおかつ綺麗にロングミックスをしている。後でエリちゃんとも話をしたのだけど、この人のスタイルは、曲はミニマルなんだけど、ミックスはハウスやトランスに近いやり方をしている。そんな気がする。タンテ3台4台使ってツールトラック混ぜまくるスタイルももちろんカッコいいのだけど、でも僕は個人的には、モニカみたいな綺麗なロングミックスをするDJの方が好きだ。
 
ふと、知ってる曲がかかる。アダムベイヤーの[RIPPIN' DIPPIN']のモニカミックスだ。この曲、途中で長いブレイクがあるのだが、そのブレイク部分でなんと姐さん、両手を音に合わせて左右へ振ると言う振り付け開始。そしてフロアもみんなつられて振り付け開始(笑) しかしこの振り付けしてる時の姐さん、めっちゃ可愛かった。と言うか、Eブロック内にはこの振り付けにすっかりヤラれた男ども多数だったに違いない。いや僕もそうなのだが(笑)
 
この後もラッシュの[GET ON UP]だとか、ミニマルのヒット曲とでも言うべきトラックがたくさんかかる。選曲は、去年がとにかく大バコ向け選曲だったのに比べればかなりストイックでハードな感じだった。でも去年よりもだんぜんいい。それにこの人は、ミックスCDで聴くより本番のプレイを聴いた方が間違い無くいい。僕ももう、かなりの勢いで踊り狂っていた。多分、今回のWIRE中一番踊り狂っていただろう。すると、このブース内で出会ったエリちゃんの友人達がみんな笑っていた。ウケていた。…キミ達、そんなに僕の踊りがおかしいか!!(笑)
 
ハードミニマルでフロアを散々に煽りまくったところで、フェードアウト…ああ、これでモニカのプレイ、終わってしまうのか…そう思ったところで嬉しい誤算。突然聴いたことのあるフレーズが入ってきた。なんと、アンダーワールドの[REZ]だ!! フロアに歓声が沸き起こる。そして僕は…自分でもビックリした。僕の目からは、勝手に涙が溢れてきていたのだ。僕は別にアンダーワールドが好きなワケでも無いし、ましてやこの曲に特別な思い入れがあるわけでも何でもない。でも、この瞬間の僕は、確実に感動していたのだ。モニカのかけた[REZ]に。…DJって素晴らしい。人を躍らせたり、楽しませたりするだけでなく、時としてそのプレイは人を感動すらさせることが出来るのだ。
 
この日のモニカ・クルゼのプレイ。間違い無く今年のWIREのベストアクトだった。素晴らしいDJを本当にアリガトウ!!
 
 
 
→後半編へ続く