邦楽レビュー

 

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たんぽぽ畑でつかまえて / 宇宙三銃士 スターボー Chaser

1.プロローグ 2.月世界ナイト 3.TOKYOベイブルース

4.火星のプリンセス 5.100億光年の旅

6.ハートブレイク太陽族 7.エピローグ

9.たんぽぽ畑でつかまえて 10.踊れLA・TA・TA

11.センチ メタリック ナイト 12.摩天楼パラダイス

13.テレパシーライダー 14.CAN'T SLEEP 15.WA・KA・RE

 細野晴臣プロデュースでデビューした、宇宙からやってきた三人組アイドルの唯一のアルバム。スターボーの恐ろしいところは、宇宙人でありながら、1983年という時代に太陽族にかぶれてしまったことだろう。太陽族といえば、石原裕次郎全盛の時代。弟で作家の石原慎太郎の代表作「太陽の季節」にインスパイアされた若者のことを言うのだが、80年代に、なぜ太陽族なのか。そして、なぜ歌い方がやさぐれた不良風なのかは、まったく持ってわからない。しかも、デビュー曲の中で、「太陽の季節」を賛美している心酔ぶり。さすがに、デビュー当時から、マニアックなファンからしか支持がなかったそうだ。このアルバム、LPのA面にあたる前半は、全部やさぐれテクノだが、B面にあたる後半部分は、清純派アイドル風に変化している。やはり、宇宙人でありながらも、太陽族は違うぞと気がついたのだろう。ジャケを見てのとおり、このころから、やさぐれテクノとは決別をはかり、清純派で売り出したようだ。しかし、当時は結局売れずに、今になってカルトアイドルの代表格としてもてはやされることになる。

 

No Picture

セクシーポエム / サンドラ・ジュリアン

1.モノローグ〜ジュテームはさよならの始り 2.恋するサンドラ

3.経験 4.ジュリアンの恋 5.モノローグ〜サンドラの森

6.サンドラから愛をこめて 7.セックス・オン・ステージ 8.雨がやんだら

9.ライヴ・セックス 10.フランスのポエム 11.ジュテームはさよならの始り

 日本で活躍していたフランス人のポルノ女優が出した企画アルバム。カタコトの日本語での歌のオンパレードなのは当然なのだが、無論ポルノ女優だけあり、それ以上の恐ろしさを秘めている。中でもセックス・オン・ステージというもうタイトルからしてヤバメな曲は、驚愕すること請け合い。まず、侍とサンドラの会話から始まり、突然シーンが変わると、姫とサンドラによる愛についての問答が始まる。しかも、急に姫が「おお、サンドラ!」と言うと、二人の喘ぎ声が始まる。これには、恐れ入った。ライブセックスは、いきなり喘ぎ声から始まり、そこに軽快なインストが絡み合うという、曲に喘ぎ声が絡むカルト系の定番曲。しょうもなさ満点ながら、ライブセックスの曲やサンドラの森など、曲のほうも案外良くできている。なんと、荒木一郎プロデュース。

 

衝撃のUFO / 平野威馬雄

SIDE:A

1.マンテル大尉事件 2.UFO歴史のナレーション 

3.宇宙交信器(円盤への呼びかけ) 4.UFOを呼び出す儀式

5.UFO観測会 6.宇宙交信器(円盤からの声)

7.UFO目撃体験 8.宇宙の歌・宇宙語

9.宇宙からのメッセージ

SIDE:B

1.宇宙周期音 2.変光星音 3.円盤の詩

4.また来て円盤 5.電波望遠鏡による宇宙音 6.平和の詩〜祈り

 今までで、もっとも衝撃を受けたアルバム作品。アルバム全体の電波度、狂いっぷりで、この作品を超える物はないだろう。このアルバム、UFO研究家がまじめにUFO研究者向けに作ったUFOレコードというだけで、すでにカルト度はMAXだが、内容を聴くとさらに恐ろしい世界が展開される。まず、有名なUFO事件の再現から始まる。すでに、ここからかなりヤバイ。しかし、次のトラックに進むと、さらに驚愕する。なんと、一人の男が、UFOを呼ぶ呪文を唱えているところが収められているのだ。他にも、輪になって呪文を唱えさせられている子供たちや、UFOを見たときに感動して作った子供の歌、どう聴いても町に一人はいるあやしいUFO研究家の平野威馬雄先生による講義の実況録音や、そのときUFOを目撃した人々の大興奮の声、明らかにうさんくさい宇宙人からの返答の再現、平野威馬雄先生による詩の朗読など、聴けども聴けども、尋常じゃない物の連続。レコードA面はUFOに慣れ親しむためのトラックで、B面は研究者向けのトラックだそうだが、どちらも、笑い所満載の内容。一度、CDで発見したことがあるのだが、なぜかそのとき買わなかった。それからというもの、一度もCDを見かけない。あの時、なぜCDを買わなかったのかと、後悔している。

 

落語現在派宣言 / 桂文珍 桂三枝

1.シンセサイザー落語「スペース・ウォーズ」 / 桂文珍

2.新世界 / 桂三枝

 このアルバム、メインは桂文珍によるシンセサイザー落語。シンセサイザー落語というタイトル通り、シンセサイザーと落語の融合という、新しい落語の形を世に問うた作品。シンセサイザーを使った落語は、きっと前衛的でカッコイイ物なんだろうなと思い買った人も多かったのではないだろうか。私は決してそんなことにはならないだろうと、事前に予想して買ったので、まったくがっかりはしなかった。そう、実際にはそれほど斬新なことをしているわけではなく、ちょっとした効果としてシンセサイザーを使っているに過ぎない。文珍が格好良くシンセサイザーを演奏していたりするわけではなく、あらかじめ打ち込まれたシーケンサーのボタンを押す程度のことしかしていないと思われる。しかも、文珍はシンセサイザーの使い方が良くわからずに、途中でつまる場面まである。肝心の落語の方も、とってつけたようなSFストーリーで、ほんとうにしょうもない。B面の桂三枝の落語のほうが、落語の内容的にはよっぽど面白い。

 

だまってJAGUARについてこい / JAGUAR

1.だまってJAGUARについてこい! 2.勝手にしやがれ

3.かっこうばかりつけるんじゃない 4.めそめそするな

5.砂浜 6.ガスライト 7.ロックするんだ

8.お前だけでいい 9.笑い事じゃない 10.STOP OUR DREAM

 本八幡在住の宇宙人ロックスター、JAGUARさんのメジャー第一弾。地球での仮の姿である「洋服直しの村上」の経営者として、1億円という資金を投じてスタジオを作り(なんと、フェアライト・サンプラーまであったとか)、メジャー発売なのに、宣伝費、プレス費をほぼ自分持ちで発売したというとんでもない作品。内容もとんでもなく、ボゲェ〜声の連続。日本語で歌っているのに、歌詞を見ないと何を言ってるのか理解不能。その中でも特に代表曲「だまってJAGUARについてこい!」の恐ろしさは特記物。いきなり「バカァ〜!」で始まるのには、正直やられたと思わせられる。歌の内容は、悪魔がCD聴いてる人を狙ってるから、JAGUARについてくれば守ってあげよう、そんな趣旨。さらにジャガーさんは、頼んでもいないのに、歌の中でJAGUARAパワーやJAGUARAテレパシーを駆使して悪魔と熱い戦いを繰り広げるのだ。銃を構えたサイボーグの怪獣が出れば「つかまえたぜぇ〜!」と逮捕し、妖怪が出ればファイトして「やつーけーたぜぇ〜!」と瞬殺する。ここまで強引にこられたら、もうついていくしかないのかもしれないが、現在は芸能活動をしていないので、ついて行きようがない。ちなみに、ブックレットの歌詞が部分、部分太字でかかれているが、なぜその部分が太字なのかは誰もわからない。

 

 

 

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