Mort aux Vaches
Tim Hecker

Staalplaat [13586]
2004, CD, Netherlands

1. Untitled (40:38)

 裏音楽世界のジョン・ピール・セッション(違うか)、オランダ国営放送で企画されている恒例の《モール・ト・ヴァシュ》にヘッカーが参加。
 40分1曲の構成となっていますが、雰囲気の違う幾つかのパーツでできています。冒頭、細かく爆ぜるような砂状のノイズが敷きつめられ、深いディレイをかけたデジタル・シンセの揺らめきがかぶさってきます。
 遠くからゆっくりと、聴き手の側に迫ってくる轟き。揺らぐように動き始める音のオーロラ。変調した声で紡がれていく独白、対話。断絶。限りなく無音に近づいたかと思うと再び音が開き、メロディが準備されていく。
 「ある種のクライマックス」が始まるのが32分。ノイズの層が背景に退き、シンセ音が輝く旋律として誕生し、ゆっくりと育ち始める一瞬です。37分目、聴き手の呼吸を切断するようにふっと旋律が途切れた後、最後淡く盛り上がってフィニッシュ。
 ライブ音源ということもあり、一度に使われている音の数は多くても3〜4程度なのですが、途切れることの無い緊張感で大きな物語を語りきっています。《ノイズの語り部》の面目躍如、といった感じの好盤です。