この大地の下で
[2000]
グレゴリー・シャトンスキー

Sous-Terre : The Subnetwork
[2000]
Gregory Chatonsky

http://incident.net/works/sous-terre/

 「子供の頃、地下鉄に乗った僕はちょこちょこと面白い動きなどして乗客を笑わせたりしていた」
 シャトンスキー作品でも随一の映像美を誇る『この大地の下で』。落ち着いた群青色がとても綺麗です。
 大都市の地下を動いていく迷宮、その薄暗さと深さをそのままオンライン作品化。ワンクリックで異なった場面に飛ばされるのですが、それも地下街道でふっと角を曲がったような面白い感覚につながっています。
 「地下鉄の最初の思い出って何?」
 「地下鉄で他の乗客に話しかけたことある?」
 時々画面から質問がきたりもします。後年の『この地上で.net』(06年)では見られない初期作品特有のインタラクティヴな感覚です。逆に「登場人物」の発想がなく、物語風の展開はありません。
 画面のひとつひとつが丁寧に構成されています。古典的なデジタル美学を丁寧になぞっていく感じ。作家本人が撮った写真・動画と、かなり古い映像を混ぜ合わせ、過去=現在=未来を結びつけていくような発想もあり。
 2000年に発表。あちこちで話題となり、メディアアート関連の賞を複数獲得。シャトンスキーという作家を一躍有名にした作品で、今見ても全く古びていません。