Love and Realism
Mujika Easel

AnN-shitsu Records [ANST-001]
2006, CD, Japan

1. Intro "Round 'n'round" [2:19]
2. To Be Sure, It Exists [6:54]
3. Foolish Woman [3:03]
4. No [2:01]
5. Answer [4:06]
6. Happy [4:46]
7. Like A Bud [7:42]
8. "Love and Dream", Sergei [3:04]
9. A Liar's Lie Is Not A Lie [6:04]

 『Love and Realism』は教会(大阪/島之内教会)での録音となっていますが、このアイデア自体はムジカさんのものだったのでしょうか。また実際の録音時のエピソード、思い出などがあれば教えてください。
 どうだったでしょう・・・。エンジニアの林さんやAnN-shitsu Recordsのfucaらと話しているうちにどこからか出て来たアイデアでした。島之内教会のピアノは、一度、AnN-shitsuでイベントをした際に使用した事があり、気に入っていたので特に問題はありませんでした。
 録音時のエピソードとしては、朝から夕方にかけて一通り録音した後、その晩に引き続き同じ場所で公開レコーディングをしました。なぜ、そうしたかとい うと、このアルバムに証人が欲しかったのだと思います。特にこの頃の私は現在と過去と未来の境目の良くわからない所に生存していたのだと思います。証人を置く事で、出来上がった時に現実としての強度が増すのだと直感していたのだと思います。一般の聴衆が居るか、居ないかでは、当然、演奏者の音も変わります。空気の質や密度も変わります。アルバムに限らず、何においても自分の内部だけでは完結できません。自分ではコントロールが出来ない外部の偶然性を持った環境(=影響)を必要としていました。確か、20名程いらっしゃったと思うのですが、その時の音は、6曲目の"Happy"の中に生きています。 (歌は後で重ねています。)

 録音の順番としては『Love and Realism』〜『マグノリアの白に染める』〜『引力と重力』(さらにMono&WEG作品への参加に)なると思うのですが、ムジカさんにとってこの時期(2005年)の収穫は何だったので しょうか。
 たくさんありすぎるような、何にもないような・・・、考えた事が無いのでよくわかりません。ただ、どの音も、その時の自分と向き合った結果、零れ落ちた音です。それを出来るだけ鮮度のあるうちに発表していくようにしました。その時の自分を後で言い分け出来ない状況に追い込む為に。そして、また新たに深いところへ進みます。その繰り返しなのだと思います。私にとって作品作りは、収穫というよりは次へ進む為に"どうしても通らなければいけない道をただ通っているようなもの" なのだと思います。なので、2005年の収穫は何だったのかと言えば、「進めた」という事ですね。

 アップライトベース、ピアノ、ギター、ヴィオラ…それぞれの楽器へのこだわりの違い、愛着の違いといったものはありますか。楽器を持ち替えることで何がどう変わっていくのでしょうか。
 こだわりは全くありません。然し、私が日増しに愛しい想いを抱く相手はピアノです。ピアノは大きいので持ち運べません。訪れる先の私のでは無いピアノと出会った時、まず何の音も無い空間にピアノの鍵盤をひとつ触れて出た音と、自分自身の心に静かに耳を傾け、ゆっくりと響かせ合い調律していきます。優しく触れれば優しく答えてくれる、強く求めたなら強く答えてくれる・・・。ヴィオラについては、まだはじめたばかりなので、大好きですが、恋人になるか、ならないかの曖昧な関係です。

 ジャンル、性別、国籍を問わず、ムジカさんの感覚で「歌声が好き」と思えるアーティストを何人か挙げてください。具体的にこの作品というのがあれば。
 最近は、トム・ウェイツ。やっぱり素敵だなと思います。他にも色々大好きな歌声はありますが、きりがなくなりそうなのでやめておきます。みんなそれぞれ個性的で素敵だと思います。

 音楽に関わらず2006年以降、今後の目標&計画があれば教えてください。
 今から次の春に間に合うように2ndアルバムを製作します。秋頃、パリやベルリンに行ってみます。冬はAnN-shitsuのイベント「シキのコンク リートシリーズ」の為にレクイエムを作る事になると思います。そのうち、フランスのグランドピアノと庭のある家に棲んでみるのだと思います。おそらくヴィオラでオーケストラに入ります。ついでに素敵な恋人が出来るのではないかと思います。毎年アルバムを1枚作りたいと思います。
 いつも流れに乗ってゆくだけなので、計画は特にありません。今迄通り、生きている限り、日々勉強し続けたいと思います。

 最後は流行の話題で締めさせていただきます。『Love and Realism』をムジカさん自身のイメージで成分解析するとどうなりますか?
 其の一 『Love and Realism』の100%は"LOVE"で出来ています。
      『Love and Realism』の100%は"REALISM"で出来ています。
 其の二 『Love and Realism』の100%は"私"で出来ています。
      『Love and Realism』の100%は"あなた"で出来ています。
 ありがとうございました。
2006年4月13日