ハープの基礎練習1

ここでは、一番ポピュラーなハーモニカ「ブルースハープ」について簡単な練習方法を紹介します。
 これは知っておかないとダメだぞと言う事柄を紹介します。
 もう少し掘り下げたテクニック面についてはハープの基礎練習2をご覧ください。


□ブルースハープの持ち方と姿勢

ハープの持ち方の基本を解説します。
背筋を伸ばし、やや上を見るように姿勢を整えて下さい。

まず左手の親指と人差し指でハープのお尻の方を持ちます。
また他の指は、上部を密閉するようにくっつけ、丸みを持たせて下さい。【図1】

  

              【図1】姿勢とハープの持ち方

そのままハープをくわえてみましょう。
口に持っていくとき、ハープを水平保ち、手首は自然な角度にしておいて下さい。すると左腕はややひじを張るような格好になると思います。【図2】

右手の添え方ですが、指の間はくっつけて、左右の掌で卵かボールを包むように丸身を持たせて密着させます。丸みを持たせるのは、中の空間を保つことで音に響きが出てくるからです。【図3】

掌の手前側は隙間ができてしまいますが構いません。向こう側に隙間ができないように気をつけましょう。

左手はそのままで、右手を動かし掌を開閉してみましょう。
「プーワー」と音色が変化します。それが
「ワウ効果」で、「ハンドビブラート」の基本でもあります。
閉じたときに、少しでも左右の掌に隙間ができれば、ワウ効果は半減しますので、開くことより閉じることをまず注意して練習しましょう。
 


□呼吸法

・呼吸法の重要性
吸って吐いて…その通りなのですが、簡単に書いてもなんじゃそりゃなので、もう少し掘り下げます。
呼吸法には胸式と腹式というものがありますが、歌手や演劇の役者、吹奏楽奏者など、共通して腹式呼吸を用います。
ハープ演奏においても、腹式呼吸は大きな要と言っていいでしょう。
胸式に比べ、腹式の利点は、たくさんの空気をため込むことができるし、音色が安定してきます。
特に初心者にとって難しい1・2番の低音部、8・9・10番の高音部が比較的出しやすくなります。
また、特に2・3番の全音ベンドなどは腹式がきちんとできていないと難しいと思います。
さらに付け加えるならば、胸式呼吸だと肩に力が入りやすくなり、なめらかなパッセージやハンドビブラート等もできにくくなります。
以上のように腹式には演奏上数々のメリットがあり、また健康にも良いので、普段の生活でも是非習慣にしてほしいものです。

・腹式呼吸の方法
まずよくある方法として、お腹に手を当てて確認というのがあります。吸ったらお腹が膨らんで、吐くとき引っ込んでいますか?
無理に膨らましたり凹ましても意味はありません。呼吸に合わせて自然にお腹が動くように訓練してください。
また、腹筋の強さとも無関係とは言えないかもしれませんが、腹筋ばかり鍛えても、腹式呼吸は身に付きません。
違う角度から見てみると、喉の奥を解放するということも言えると思います。
わかりにくい人は、鼻の奥を解放して口と鼻の両方で呼吸してみてください。腹式呼吸になっていませんか?
それでも出来ていない人は、鼻をつまんで呼吸してみてください。
また、あおむけに寝転がって呼吸すると腹式になりやすいですので試してみましょう。
目安としては、2番穴を吸ってみる方法もあります。正しい吸い方ができていれば、綺麗な音が出るはずです。
結局のところ、鼻と口との呼吸のバランスがハープを吹く上で重要なポイントだと思います。

・ハープと歌の関係
ハーモニカの中でも、10ホールズは特に「歌う」事と密接なかかわりがあると思います。
うちの奥さんが、聖歌隊の仕事をしているんですが、ときどき発声練習に僕も参加させてもらいます。
というのが、普通の人は歌を「喉」で歌ってしまいがち。僕もそうです。
一般的に歌うことを本分とされている方(オペラ歌手や、聖歌隊、合唱団など)は、お腹(腹筋)で支えて、喉を開放して頭から声を出すと言う複雑な歌い方をしています。
音楽の時間の先生の歌い方を思い出してみてください。
この歌い方をハープに応用すると、あら不思議!音に一回り厚みが出てきました。
近くに歌をされている方がいない場合、ハープの教本と共に、声楽の教本なんてものも参考にされるといいとおもいます。
お腹と喉と口と鼻すべての呼吸器系をフル活用してワンランク上の音色を身につけてください。


□パッカーリング

最も基本的な単音の出し方です。口をすぼめて単音を出すのですが、初心者の方はここが壁になりがちです。
まずは、単音で出すとどのような音か、任意の穴の両隣の穴をセロハンテープでふさいで、正しい音を確かめてみましょう。最初は4番の穴が音が出やすくていいと思います。
感覚がつかめたら、セロハンテープ無しで単音が出せるように練習してみてください。
ちなみに、いくつかの音を一緒に吹く方法をコード奏法といいます。
 


□音階の配列

・音階の配列と12種のキー
ブルースハープの基本的な音階配列は、【図1】のようになっています。


  
      
【図1】キーがCのハープの場合

1〜10番穴にそれぞれ吹・吸があって計20音、3オクターブあります。しかしよく見てみると1・3オクターブは不完全であることが分かります。1オクターブ目はファ・ラが無く、変わりにソが2つあります。3オクターブ目はシがありません。
この配列にはちゃんと理由があるのですが、それはまた後ほど。まずはこの音階の音を正しく出せるようになってください。
また、ブルースハープは12のキーに分かれているのも大きな特徴です。ハープをよく見てみるとA.B.C.D…という表記があると思います。これが全部で12種類あるわけです。(機種によっては14種類。Hi-G、Low-Fがあるため)
初めてハープをする方は、まずCのハープを買うといいでしょう。Cのハープはニュートラルキーで、シャープもフラットもついていない、いわゆるハ長調なのです。
スコアブック等で練習される方は、まず使用されているハープのキーを見分ける必要があります。【図2】を参考にしてください。
 
      
【図2】キーの見分け方

練習していくと気付くのですが、ブルースハープがこのように12のキーに分かれているのは、半音階が出せない(厳密にはベンドという技法で出す方法もあります)ことなど不便に思うかもしれませんが、実のところキーさえ合っていれば、比較的簡単に探り吹きができてしまうという大変ありがたいものなのです。

・スケール練習
ドレミの音が出せるようになったら、色々曲を吹いてみたくなると思います。色々コピーしながらでも実践してほしいのが、スケールの練習です。この練習をしっかりとやっておけば、自分が次に吹きたい(吸いたい)と思う任意の音階に、スパッと移れるようになるからです。何を隠そう、僕もまだまだ下手くそなので、スケール練習はやっています。
スケールは、適当にやっていてもある程度は身に付いてきますが、正しいスケーリングをマスターするのが近道には違いありません。
スケールの練習方法としては色々あると思いますが、僕がプロハーピストの石川二三夫さんに直接教えていただいた練習方法を2つ紹介します。ちなみに石川さんは、アメリカで修行していた頃、テクニシャンとして有名なハーピスト、シュガー・ブルーにこれを習ったそうです。 
○三連譜での練習
これは順番にドレミと吹いていくのですが、三連譜と名の付くとおり、3音をひとまとまりとし1音ずつ上げていきます。
ドレミ・レミファ・ミファソ・ファソラ・ソラシ・ラシド…で、最後までいけたら今度はドシラ…と下げていきます。
1・3オクターブ目のように欠けている音がある場合は、最初はその音を抜かして練習してください。
そして、ある程度上手くなって、ベンドができるようになったら全ての音階で練習しましょう。
また、別にブルースなんてしないよっていう方、8ビートメインだぜっていう方なんかは、4連譜での練習が良いかと思います。
○オクターブでの練習
これは、各音階のオクターブ間を往復す
る方法です。
1.ドレミファソラシドシラソファミレド
2.レミファソラシドレドシラソファミレ
3.ミファソラシドレミレドシラソファミ…
という風に各音階で練習します。