【2000.04.01 渋谷ON AIR EAST】


M01. PIERROT
MO2. 記憶の中
M03. Don't Look Back
M04. WALL
M05. 絆
M06. LOVE DESTINY
M07. MIDNIGHT FLIGHT
M08. Dr. SOLO
M09. 失われた7224
M10. EARTHSHAKER
M11. FUGITIVE
M12. 走り抜けた夜の数だけ
M13. RADIO MAGIC
---Encore(1)---
M14. SHINY DAY
M15. WISKY & WOMAN
---Encore(2)---
M16. MORE
M17. COME ON

アースシェイカー完全復活から数ヵ月。東京復活ライブの熱狂は冷めることなく、僕の中で沸々と燃えたぎっているはずだった。だが僕はいつものありきたりな日常を過ごすうちに、そんな熱ささえも忘れかけていたようだった。せわしなく流れてゆく日々の暮らしに埋没しそうになっていたと言ってもいいかも知れない。十代特有の鋭く尖った視線も、危なくも儚げな独特の雰囲気もいまはすでにないかも知れない。そうぼんやりと考えながら、時々<LOVE DESTINY>を口ずさんだりしていた。そんなとき、アースシェイカーの久々のツアーの話が届いた。ザックコーポレーションからのチケット予約の葉書には、リクエスト曲の欄があった。僕は迷うことなく<LOVE DESTINY>と書いた。思えば、高校時代の同級生がお別れ会に弾き語りしてくれたのが<LOVE DESTINY>だった。僕がアースシェイカーにのめり込んでいくきっかけを与えてくれたのも彼らだった。それぞれ銘々の余興が異様な盛り上がりを見せ、学級担任のK先生のひと言でそろそろ会もお開きという頃合いに、最後に何かやってくれ、という声が彼らにかかった。じゃぁ、ということでギター1本でやったのが、ほかならぬ<LOVE DESTINY>だったのだ。歩き続けた戦士のように、というフレーズを最後はみんなが唄っていたのをいまでもはっきりと覚えている。あれから15年。僕はずっと歩き続けてきただろうか? 戦い疲れてしまっていないだろうか?

2000年4月1日。年度末の有給の消化休暇と大学での打ち合わせのため、3月末から僕は東京の自宅にいた。翌朝早くに北海道の職場へ出勤しなければならなかったため、品川の京急ホテルにチェックインし、渋谷へと向かった。渋谷は相変わらずの人混みでごった返しており、かき分けかき分け進むという表現が似合う。道玄坂を上り、渋谷ON AIR EAST前に出る。そのときすでに開場時刻から40分が経過しており、10月に見たような長蛇の列はなく、すんなりと入場できた。入り口で、買いそびれていたマーシーの新譜<OUR WAY>を買う。会場内は満員で、熱気が充満していた。大きなホールでは味わえないこの空気、雰囲気こそがライブハウスのよさだ。

午後6時。メンバーがステージに登場。バックライトが、後光が指すかのように4人を壇上に浮かび上がらせる。オープニングは7th アルバム SMASHからの<PIERROT>。意外だった。久しぶりに聴くと、ミディアムテンポのシェイカーらしい楽曲であることがわかる。トシのキーボード不在が悔やまれた。続けざまに、2ndから<記憶の中>。マーシーは、またここに帰ってきたぜ、とひと言。<Don't Look Back><WALL>と続けて、会場はテンションを上げていく。盛り上がってきたところで新曲<絆>の披露。前回マーシーは、新曲やると盛り下がりがちだけど、しっかり着いてきてなぁ、みたいなことを言っていたが、この曲はじっくりと味わうことができた。早くニューアルバムを出てし欲しいと思わせるいい曲だ。そしてそのまま<LOVE DESTINY>。印象的なシャラのギターフレーズから、マーシーのビブラートへ続く。鳥肌が立った。高校時代へタイムスリップしたかのように僕は唄っていた。大音量の中で、ほかの人の声はおろか、自分の声さえも聞き取れなかったが、周りを見渡すと、誰もが唄っていた。これほどにファンの思いをのせる曲があるだろうか。いや、はじめて聴く者にさえ鮮烈な印象を与える曲なのだ。現に妻はこの曲をはじめて耳にしたにも関わらず、涙があふれたと言っている。その後、マーシーが何度か歌詞を忘れるハプニングもあったが、テンションを維持したままライブは進んでいった。

総じて思うのは、メンバーひとりひとりが実に活き活きとした嬉しそうな顔をしていたということだ。あの笑顔に逢えるだけで、僕はライブに行く甲斐があると感じている。おそらくあの笑顔はファンひとりひとりの笑顔を写した姿なのかも知れないとも思う。ライブでのファン層を見てみると、僕と同年代の20代後半から30代前半をメインに、スーツ姿の40代から10代と思われる若い世代も垣間見れた。着実にファン層は広がっている。

シャラはオフィシャルサイトで述べている。ライブが大好きなのだ。マーシーはステージ上でも言っていた。まだレコード会社も決まっていないけれど、ファンがいる限りライブは演り続けていく、と。

こうやって至福の時を過ごせるのも、アースシェイカー復活したからこそだなぁと喜びを噛みしめつつ、僕はON AIR EAST をあとにした。

(記・波寧米兵衛)

Posted: Sat - April 1, 2000 at 09:30 PM      
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