*これはセブンスファーアスタリズムの神話でのオリジナル設定(フィクション)です。

◆悪魔と邪神

「――なるほど。そちらの話でしたか」

ラッセル王は険しい顔をして答えた。

「はい。厳密にいえば、我が命とは関係ありません。
しかし、籠目海宮の魔星の伝説は、精霊と指輪の伝説に密接に関係あります。
となれば、命約を果たすにおいて、きっと必要になる気がするのです」

「その昔、神との約束を果たすため、
精霊が古代の支配種たちにそれぞれ与えたとされる五つの指輪――
天上の六つの星座より降りしアークアーリの子供たちから、その種を守る――」

「――アーリは邪神です。殿下」

「ああ、失敬。けして混沌を信仰するわけではない」

『セブンスファーアスタリズムの伝記・第一章』(サーカイラムハーツ著)より抜粋



◆籠目海宮の魔星(七星座の悪魔)

槍―騎兵座/Lance-Raider
結婚―指輪座/Marriage-Ring
箱舟―大蛸座/Noah-Kraken
弓ー矢座/Bow-Arrow
番犬―業火座/Kerberos-Inferno
屍術―盤座/Necromancer-Yeth board
※Yeth boardとは造語であり、
YesとHiを語源とした、交霊に使用する文字盤である



◆邪神アーリ

A-riとは悪の創造神Ahriの呼称であり、
人間はその言葉を発音することが出来ないので、
A-ri(アーリ)と発音する。
厳密にはAhriもA○riを無理やり発音しようとした言葉であり、
正確な魔王の名ではない。
魔のものは自らの主への敬意を込めて、
Arch-Ahriと呼ぶ。
またこの世界での総称として、
アークアーリの力を借りた魔法を、
Arch-Ahrienchantと呼び、
人間はそれらをアクエリアン(アークエイリアン)と呼ぶ。

◆そして伝説へ

寝覚めた男には記憶がなかった。
唯一残っているもの…それは罪の記憶。
しかしその具体的な内容は思い出せない。
ただ己が存在することこそが罪だと、死への渇望に囚われる。
しかし彼の体は、貫かれても、炎に包まれても、滅びを知らぬ。
男は自らを殺すため、外の世界へと歩を進める。

声が聞こえた。
男の心に、男の中にいる何かが、直接語りかけてきた。
死への甘美なる誘惑。
そして全てを、その死という美しさへ取り込もうとする示唆。
謎の女の声に導かれて、男は地上へと進む。

呪われし姫がそこへ着いたとき、既に地獄絵図が展開されていた。
男は黒い影のような炎に全身を覆い、伝承の魔人となっていた。
姫は白き指輪の力を用いて、黒き炎を塗りつぶした。
男の体から暗黒物質が落ち、体は崩れていった。
すると男の体から悪魔「鮮血のマリエージュ」が現れた。
一瞬の隙から白き指輪を飛ばされ、姫は危機に陥る。

崩れゆく意識の中…男は姫を守らなければという衝動にかられる。
その衝動がどこからくるのかは分からなかったが、
自分の影から伸びているマリエージュの体を押さえ込んだ。
体はもうもたない様だったが、姫は叫んだ。
そこに落ちている白き指輪をつかえと。
男が指輪をつかむと、指輪は男の心臓に埋め込まれ、
暗黒物質の代わりに、光のエネルギーが、彼の体を補完した。
鮮血の悪魔マリエージュは指輪に闇の力を奪われ、
男の心臓に埋め込まれた指輪にその身を封印された。
観念したマリエージュは、このままお互いに生きるため、
大人しく男を見守り、助力することにした。

呪われし姫は白き指輪を男の心臓に差し出してしまったため、
彼を旅の共として来て欲しいと頼んだ。
男は特に自分が生きたいと思わなかったため、
必要ならば死を覚悟したが、
心のどこかで彼女を守らなければならないという衝動を感じた。
それはとても古い記憶で、
彼の魂の起源に迫るものだとは、マリエージュしか知りえなかった。
1世代前の魔人の素体の魂…それとは違う魂が転生したことを、
マリエージュは気づいていたのだ。

こうして七つの蛇にまつわる呪われし白き姫と魔人の体を持つ男、
それを見守る鮮血の悪魔の旅は始まったのであった。