*これはセブンスファーアスタリズムの神話でのオリジナル設定(フィクション)です。

◆『始まりの楽園と七匹の蛇の伝説』

その昔、世界には楽園とされる一つの地しか存在しなかった。
ある日、神はちょっとしたいたずら心と好奇心から、人間の進化を試してみたくなった。

神は蛇に姿を変え、男に知恵の実をかじるようそそのかした。
忠実な神のしもべで、何も考えぬこの男がどうするであろうか?
予想に反し、男は悪びれもせず、知恵の実をかじった。
しかし、その後、彼の変化に神は絶望した。
蛇として欲望を彼に提示し、同時に神が常々言っている、節制を提示する。
すると男はまよわず欲望を選ぶようになった。
まだ生まれたばかりの幼き知恵で、なぜ節制や道徳がいいのかと考えることもできず、
男はどんどん堕落した。

その夜、神は一晩悩んだが、男を壊し、新しく人間を作り直そうと考えた。
そこで驚くべき光景を見た。

男が女に知恵の実を食べさせ、女も理に反し、知恵を得ていた。
神はもはや諦めていたが、一応、女にも男と同じように蛇として接し、その心を試してみた。
しかし女はすぐに蛇を神と見抜き、泣きながら謝った。
私達の罪をお許し下さい。自分を抑えられるように頑張ります。
これからも私達を導いて下さいと。
神はその女の様子に心打たれ、彼女を一晩抱き、愛でた。

しかし、男はその様子を見てしまい、嫉妬に狂ってしまった。
蛇の姿のまま寝ている神を7つに切り刻み、
もっとも天に近い山の頂から遠くに投げ捨てた。
そして蛇に抱かれた女を激しくののしり、乱暴に犯した。

女はわけが分からないようだったが、蛇がバラバラにされ殺されたことを知ると、
泣きながらそれが神であったことを伝えた。
男はショックを受け、亡骸を捜そうとしたが、
海に落ち、流されていった遺体は島中のどこを探しても見つからなかった。
彼は絶望し、罪の重さに耐え切れず、天高き山の頂から身を投げて死んだ。

女は一人、神の亡骸を集めるため、島から出ることを決めた。
そのとき彼女は男により孕ませられていたが、そのときは気づくはずもなかった。
神はバラバラになりながらも、その一つ一つが意志を持ち、海の底で事の顛末を眺めていた。
神はもう疲れてしまっていたが、女の行動と新しい命に配慮をせずにはいかなかった。

七つになった神は七つの蛇へと姿を変え、七つの大陸と自分が眠りにつく七つの秘境を創った。
もしあの女の新しい命が数多くの欲や弱さに負けず、強い存在へと進化し、
七つの私達の元にたどり着き、その力を示せば……それまで神は眠ることにした。
同時に神はその七つの体に七つの大罪を刻み、それが徐々に大陸を包み、
はびこっていくように仕向けた。
女とその子供たちが、その欲望に打ち勝てるか試すために。

――『セブンスファーアスタリズム伝記・序章』(サーカイラムハーツ著)より抜粋

◆セブンスファーアスタリズムの伝記

目覚めたとき、男は牢獄に繋がれていた。
自分が何者かという記憶はなく、
なぜそこにいるのかも分からなかった。
体はボロボロであっても、何故か痛みは感じなかった。
男がなんとはなしに腕を動かしてみると、
一瞬、黒い炎が浮かび上がり、手枷は溶けて落ちた。
男はよく分からないまま、全ての鎖を外し、
閉ざされた地下牢の扉を開け、進んでいった。

始まりの王国に女が来ていた。
七つの秘境を巡り、
贖罪の命を背負った約束の民の末裔――約束の巫女。
またの名を、
この世全ての悪とも呼ばれる7つの呪いを背負う、呪われし姫君。
王との謁見を済ませた彼女は、
城の地下牢に封印された魔人の話を聞いた。
六の悪魔の一人と契約し、
その肉体に悪魔と人間の二つの魂を宿した魔人は、
死してなお、その肉体は滅びず、地下深くの聖域に封印された。

運命の二人が出会うとき、
七匹の大蛇は胎動を始める……。