*これはセブンスファーアスタリズムの神話でのオリジナル設定(フィクション)です。

◆序文

七つの大罪が世界を覆うとき、
人はその価値を試される。
七つの聖地が暗闇に包まれ、
風は凍てつき、大地は雪に覆われる。
人はその原罪を償うため、
七大蛇(セブンサーペンツ)を倒す宿命を背負っている。

◆ファーアスタリズム神話

『ファーアスタリズム神話』は前皇国暦五十年頃に、
現在のラッセル公国上半島東部、黄半島海峡近くの崖下遺跡から発見された。
当時、皇国は後の南部革命を控えた、腐敗と混乱の中にあり、
遺跡や石版の調査は放置されていたが、
それから約半世紀後の公国暦九年、グレイマーズ調査隊による解読が開始された。

しかしその一部の出土品や遺跡内部の象形文字は失われており、
ルドラ教の古文書やニューノア砂漠遺跡の土板などに見られる、
共通項目の一部羅列という段階に留まった。

その内容が『セブンスファーアスタリズムの伝記』として、
広く人々に知られる現在の形になるきっかけは、それから更に40年後。
第二次グレイマーズ調査隊による前皇国の内部文書の発見、
封印指定書『煉獄騎士団諜報記録』からの特例的な一部抜粋により、
大きく読み解かれることとなる。

◆始祖と原始の世界

始めに無が有った。
そこに最初の有であるものが現れ、
同時に、有と無の間に、力の流れが生まれた。

有は、その波に色をつけることで、
元素という存在を生み出した。

元素はやがて意志(方向性)を増幅させていき、
自然を生み出すもの「精霊」となるのだが、
五大元素、黒、赤、緑、白、青の中で、
最初の存在である「黒」すなわち混沌は、
混沌の元素が収束する地を創り、
混沌の結晶「暗黒物質」を生みだした。
これにより神と混沌の長い戦いが始まる。

(中略)

精霊が生んだ派生元素と、
その進化が自然という存在なら、
神が元素の一部を歪ませ切り取り、
固定させて生まれた「ちり」の進化が物であり、
物が波動にふれることで生まれるのが、
魂の元と呼ばれるものである。

肉体を失い流れ出た魂は星の中心に蓄えられ、
そこには全ての記憶が保管されている。
まれに強力なものは、そこから抜け出て、
新たな肉体に宿ると言われている。

(中略)

神は本来、時間を認識すると同時に、
過去、現在、未来、全ての可能性を同時に認識することが出来た。
もちろん波動に触れ、肉体を得ている間は、
時間の流れに身を委ねるだけの存在であるので、
時間が失われ、未来が見れなくなる。

しかたなく今の世界と同時に存在する異なる可能性の世界、
無限に近い数の世界を生み出した。
これが星である。

――『ファーアスタリズム神話・序章』(グレイマーズ調査隊による意訳)より抜粋