通り過ぎる雨の向こうに 夏を見てる


「ねぇリハーサルっていつから?」

「曲、できた?」

「セットとかどうなんの?」

こんな疑問符ばかりがついた言葉が飛び交う。
夏が来れば僕たちは全国へと旅に出る。
GRAND CROSSと銘打った大規模なツアー。


シトシトと外は雨、傘の花が色とりどりに咲いている。
その横で紫陽花は澄まし顔で我関せずとばかりに一等美しく咲き誇る。
四季を感じるには充分だ。
「ark」「ray」と名付けたアルバムがもうすぐ世に放たれる。
箱船、と、放射線。
深い意味はないがどこかクセがあって語感もよくて気に入ってる。
もちろんアルバムのクオリティにだって自信を持ってる。


スタジオに籠もりっきりの作業には気が滅入るときがある。
レコーディング、ツアーの打ち合わせ、アルバムに伴う各種プロモーション・・・
それに雑務だってある。
ある種、一つのプロジェクトと化したバンド運営。
もう僕たちだけものじゃない。何百人もの人生が、生活がかかっている。
少々嫌気も差しながら全てを進めていく。
こんなに肥大させたのは僕たち自身でもあるのだから。


ファンの子は純粋に愛しいと思う。
中には不愉快な人間もいるけれどそういう輩は切ればいい。
こちらの嫌悪に顔をしかめるのなら聞かなくていい。来なくていい。
嫌な思いしてまで来たくなんかないでしょ。そう、思ってる。



うっとうしい雨。
この雨が上がればすぐに夏だ。虹の季節は手を伸ばせば届く場所にいる。



君たちの元へと会いに行くよ。その笑顔にパワーを、心をつなげ!


song by「SOUL LOVE」from GLAY