久しぶりに会った友達は何のクッタクもなく笑い、こう言った。

「久しぶりやねー。元気?」と。

また遠くなると思っていたその距離が、
許してくれたんだと思うとどうしても嬉しくて、
涙腺がゆるみそうだった。


好きなバンドのラストライヴで繋がれた、キズナ。
許してくれなくてもいいと思っていた。
むしろやさしく受け入れないでくれと思った。
俺のしたことは絶対に許されない。
大きすぎる後悔の念がいつまでも消えることもない。
誰よりも大切だったメンバーに迷惑と悲しみを与えてしまった。


薬に溺れたのは、俺の弱さだった。


過去の自分を責めても何も生まれないことぐらいわかってる。
復活した彼らのアルバムを聴いたら自然と涙がこぼれて止まらなかった。
訳もわからず子供のように泣きじゃくった。

切ないほどに描かれたハイドの想い。
それはテツもケンちゃんも同じ気持ちでいるだろう。

申し訳なくて謝罪したくてたまらなかったが、いま会っても彼らを苦しめるだけだ。
皮肉にもバンドは順調にトップへと道を開拓してゆく。俺の知らない世界へと走ってゆく。


「なぁ、いっしょにバンドやらん?」


独特のあの声で誘われたときは我が耳を疑った。
 
いい、の?

はにかみながらうん。と答える彼の姿は何も変わっていなくてまた目頭を熱くさせた。


お願いだから許してくれなんて到底言える言葉じゃない。
でもまた同じフィールドに立つことを許してくれたキミたちをもう裏切らない。

こんな俺を受け入れてくれてありがとう。