テクノについて

   テクノミュージックは狭義には1990年代以降に表れたとされ、広義には1970年代からリズムマシン、シンセサイザー、サンプラーなどの電子楽器を用いて作られた電子音楽です。1971年にドイツにて後のテクノやダンス音楽に大きな影響を与えたクラフトワークがデビューします。当時は情熱的に歌い演奏するスタイルが流行していたのに対して彼らは無機的かつ機械的に淡々と演奏するスタイルで多くの人々に無視されます。しかし1970年代中盤には海外で少しずつ話題になり、アメリカでは初期のヒップホップに影響を与えるなどしました。1970年代終盤にはイギリスでゲイリー・ニューマンが一世を風靡し、日本でもイエロー・マジック・オーケストラが人気を呼び、テクノ・ポップもポピュラーな存在となります。1980年代前半にはシンセポップが世界的にヒットするようになります。1980年代アメリカのシカゴでハウスがアフリカ系アメリカ人やゲイのコミュニティの間で大流行しますが、シカゴに隣接する黒人音楽のルーツとも呼べるデトロイトでも1980年代の後半からシカゴ・ハウスの影響下により新しい音楽の動きが生まれてきます。ホアン・アトキンス、ケビン・サンダーソン、デリック・メイ、ジェフ・ミルズといったアーティストがこの動きの柱となります。彼らの音楽はシカゴ・ハウスやディスコ音楽の影響を受けつつも、享楽的なハウス音楽やディスコに対し、厳しい現実を反映したシリアスな音楽を志向し、より実験的な音作りに向かい、機械音を重視し、それまで誰も聴いたことのないような音の世界を作り出していきました。彼らはクラフトワークなどの電子音楽に強い影響を受ける一方、パーラメントなどのファンク音楽にもそのベースラインやSF・未来志向、思想面などで大きな影響を受けていました。やがてこのデトロイトの新しい音楽に注目したイギリスのヴァージンレコードからイギリスにおいてデトロイトのこの音楽に関する編集盤アルバムが発売されたが、この時にこの新しい音楽を表す言葉として「テクノ」が選ばれました。このアルバムは1980年代終わりから1990初頭に大きな社会的現象となったレイブのブームともあいまって大ヒットし、ここに現在一般に呼ばれる「テクノ」が成立しました。音楽ジャンルの定義としては非常にあいまいで、人によって解釈がまるで違うなど、その存在自体があいまいであると言えます。俗に言う「テクノ系」といった呼称はその証明だと言えますが、あえてジャンルとしての定義を一般的なイメージでするならば、「単調(反復・ループ)」「ダンスミュージック」「エレクトロニックミュージック」といったところだろうが、実際にテクノ系と呼ばれているものを聴いてみると、必ずしもこれらの言葉が当てはまるというわけではありません。しかも、これらの定義には「ハウス」や「実験音楽」にも当てはまるのでさらにややこしくなっています。そういった理由や音楽家の顔が見えないといった現状により、なかなかはっきりとした認知がしづらいジャンルであるといえます。1990年代に顕著であった、ジャンルどうしの融合を行おうという流れが強くあり、それらがさらに拍車をかけています。
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