Le Quattro Stagioni

赤毛の司祭様の《四季》


イ・ムジチの《四季》

 Felix Ayo (vn.) , I Musici
   Rec.1959.1   [ PHILIPS : 416 611-2 ]

  『イ・ムジチの四季』はこの演奏で決定付けられたそうです。 1955年のモノラル録音に引き続いて作られたこの録音、その後ミケルッチ(1969)・カルミレッリ(1982)・アゴスティーニ(1988)・シブルと続く歴代リーダーの録音に互して、ほとんどカタログ落ちすることのない大定番として頑張っています(主としてレコード会社の営業担当者が)。
  流石に今、ビバルディをこういう演奏で聴くことはほとんど出来ないでしょうから、その意味では「大時代的」とも言えるかも知れません。 しかし、解釈よりも歌うことに重点を置いたその演奏姿勢は、多くの非古楽系の演奏に根付いているのではないでしょうか。
  ところで、手元のCD盤は些か問題のある代物です。 左の小さく不鮮明なジャケット・スキャンからご賢察いただけるでしょうか?

 Roberto Michelucci(vn.) , I Musici
   Rec. 1969.9   [ PHILIPS : 28CD-5001 ]

  カルミレッリ盤がCD時代のPHILIPSにおける「一軍」扱いだった頃、「二軍」みたいな扱いの廉価盤の「四季」は、同じイ・ムジチのミケルッチ盤でした。 とは言え、懐かしのシルバーライン・シリーズのトップ・バッターとして発売されたのは、ステレオLP時代の代表盤なればこそ。 いかにも廉価盤でございという雰囲気で当時は馴染めなかったシルバーのジャケットとフィリップス・レッドのケースも、今見れば結構渋い。
  演奏はまさに70年代。 古楽器演奏の勃興を横目に見ながらも、伝統墨守。 歌うヴィヴァルディの姿がここにはあります。

 Pina Carmirelli (vn.) , I Musici
   Rec. 1982.7   [ PHILIPS : 410 001-2 ]

  四季といえばイ・ムジチ、イ・ムジチといえば四季、このジャケットが全てを物語っています。 この圧倒的な自信は、単にPHILIPSレーベルの販売戦略を反映しているだけではありません。 演奏も実に堂々とした、古楽器演奏なんて全く問題にしていない、自分達こそが伝統であるという、ひたすら明るい楽曲表現です。
  とはいえ、アーヨ盤に比べれば、かなりすっきりした演奏になっている点、時代の変化を感じさせます。 音盤史に名を残すアーヨ盤や、新コンマスの就任のたびに出る新機軸の新盤の中で、やや陰が薄くなりつつありますが、安定感と美感のバランスで光を放つ存在なのではないでしょうか。

 Mariana Sirbu (vn.) , I Musici
   Rec. 1995.7   [ PHILIPS : PHCP-3430 ]

  現リーダーのシルブを迎えての録音です。 新しい四季への挑戦・・・なのでしょうが、「古き良きイ・ムジチ」の響きからは結構離れたところに来てしまったようです。 古楽奏法の影響なのでしょうか、少々キツメのアタックが、この団体の持ち味と・・・どうなのでしょうか。 いい意味でのマンネリズムというのもあるはずなのですが・・・。


ピリオド楽器による《四季》

 Alice Harnoncourt (vn.) , Nikolaus Harnoncourt / Concentus Musicus Wien
   Rec. 1976.10&1977.3   [ TELDEC / DAS ALTE WERK : 4509-93267-2 ]

  古楽器演奏の定番的存在。 同じ顔ぶれでの《水上の音楽》あたりに比べれば、まだ仕掛けの少ない印象も受けますが、それでも充分に知的な刺激を含んでいます。 ただし、極端な演奏が増えた現在からすれば、やはりややおとなしい部類に入ってしまうのかもしれません。 それはそれで幸せな位置付けなのかもしれませんが。
  ときどき感じられるちょっとした無機質さが、所謂「学究的」な響きというものなのでしょうか。 しかしこれがあるからこそ、聞き飽きさせないのではないでしょうか。 厭味にならない程度のまじめさは、時に心地よさにも通じます。

 Franzjosef Maier (vn.) , Collegium Aureum
   Rec. 1977. 2   [ deutsche harmonia mundi : BVCD-8507 ]

  ミュンヒンガー盤と通底するテンポの硬さ。 これがドイツ風ってことなんでしょうか?
 Simon Standage (vn.) , Trevor Pinnock / The English Concert
   Rec. 1978   [ BRILLIANT CLASSICS : 99416 ]

  ARCHIVE専属になる以前、CRDに入れた録音を復刻したもの。 ARCHIVEのアーティストの中でもおとなしい印象があるこのコンビですが、この録音からはさらにおとなしい印象を受けます。 おとなしいといっても、決して演奏そのものが小さくなっているわけではありません。 良くも悪くも、「古楽器演奏だから・・・」という言い訳の下で好き勝手をやるような趣味を持ち合わせていないのでしょう。 ただ、こういった演奏からは、退屈な印象をいける人もいることでしょう。
 Christopher Hogwood / Academy of Ancient Music
   Rec. 1982.11,12   [ L'OISEAU-LYRE : POCL-2501 ]

  バロック・ギターの通奏低音にいきなり驚かされ、また、コントラストもハッキリ系で時々妙なアクセントを付けたりしますが、全体としては非常に安定感のある演奏。 結構イロイロな試みをするヒトですが、あんまり世間を驚かせることが無いのは品性が邪魔しているせいでしょうか? この暴れん坊になり切れない品のよさは、その分、繰り返し繰り返し聴きかえすのには向いているのかもしれません。
 Nils-Erik Sparf (vn.) , Drottningholm Baroque Ensemble
   Rec. 1984.6.7&9.10   [ BIS : CD-9006 (KING RECORD : KKCC9096 )]

  DBEの結成は1971年とのこと、30年以上のキャリアを誇る古参の古楽器団体です。 活動拠点はストックホルムに、古楽器アンサンブルとしては最北の存在かもしれません。 話題に挙がることもあまり多くないように思えますが、BCJ以前のBISレーベルの古楽を一手に引き受けていた実力派です。
  演奏は実に知的。 かなり自由な解釈を取り入れているのですが、押し付けがましさや、乱暴さとは全く無縁な絶妙なバランスの上に音楽を成り立たせています。 1990年代に続々誕生した古楽器アンサンブルとは一線を画す品格は、他に代えがたいものがあります。
  特に《冬》の第2楽章、有名なラルゴで聴かせる豊かな表情付けは絶品です。 判っていても何度でもハッとさせる絶妙な間合いからは、奏者達の曲への思い入れと共に、自分達の生活の中での四季の移ろいへの、デリケートな感性がうかがえます。
  曲にしろ、季節にしろ、冬を愛する人にとっては、かけがえの無い一枚になるはずです。
  ちなみに手元にあるのはBISオリジナルのカップリングではなく、日本向けにアイネ・クライネ等と組み合わせたモノ。 別にリュート協奏曲と併せて2枚組みにしたモノもありました。

 Monica Huggett (vn.) , Nicholas Kraemer / Raglan Baroque Players
   Rec.1988.12   [ Virgin : 7243 5 61668 2 0 ]

 Fabio Biondi (vn.) , L'europa Galante
   Rec.1991   [ Opus111 : OPS55-9120 ]

  Opus111(ワン・イレブンと読むそうです)の名前を一気に古楽ファン以外にも認知させたビオンディの代表盤。 『四季』の録音は指揮者名や演奏団体名で覚えられるものも多いのですが、これは文句なくソリストの名前で人口に膾炙しました。 こういった例は古楽以外で多いように思いますが(ムターとかケネディとか)、まぁ、それだけのインパクトがある演奏です。
  いろいろな意味でギリギリのバランスの上に成り立っている演奏だと思います。 近年までの古楽奏法研究の蓄積を踏まえた上で、どこまで自由な表現が許されるか、人によってはこの演奏は既に踏み越えてしまった演奏と感じるかもしれません。 その方が健全かもしれません。

 Enrico Onofri (vn.) , Giovanni Antonini / Il Giardino Armonico
   Rec.1993   [ TELDEC : 0630-14877-2 ]

  クラシック・ファン以外にも結構売れたそうで、アーノンクールやブリュッヒェンを生み出したTELDECレーベル内の古楽伝統ブランドである《DAS ALTE WERK》の肩書きをめでたくも外されました。
  現在の《DAS ALTE WERK》でもっとも勢いの有る団体による演奏ですが、果たしてアーノンクールの与えた衝撃と同じだけの価値があるのでしょうか? 一聴すると、単なる雑な演奏にしか聴こえないかも知れません。 二聴以上しても印象の変わらない人も少なくないのではないでしょうか。 一方であたかも、古楽ならココまでやっても許される!みたいな印象を受けかねない奔放な演奏姿勢に共感を感じる人も少なくないのかもしれません。 が、もはやそういう問題を超えているような気もします。 少なくとも近年の古楽演奏の行き着く果てを示しているという点で、実に意味ある一枚です。
  ちなみに、この盤はビオンディ盤と対照的にソリストの名で語られることは少ないようです。 演奏団体の共同責任ということではないと思いますが。

 Enrico Casazza (vn.) , La Magnifica Comunia
   Rec.2006. 6   [ BRILLIANT : 93155 ]

  ピノック(CRD原盤),バルハル/チェコ室内管(OPUS原盤),カルミニョーラ(DIVOX原盤)と、借り物音源だけで少なくとも3種類も《四季》をリリースしているBRILLIANTレーベルが、あえて自社録音をしてまで世に問うた演奏。 もちろんイマドキの古楽演奏なので仕掛けも刺激もいっぱいですが、下卑た演奏に堕さない知性と品性のバランスは絶妙。


モダン楽器による《四季》

 Otto Buechner (vn.) , Kurt Redel / Orchestre Pro Arte de Munich
   (P)1987   [ ERATO : R25E-1001 ]

  (P)1987と書きましたが、LPの初出は1961年10月だとのことなので、1960年前後の録音でしょうか。 このころまでのERATOは録音データの曖昧な音源が多数あり、管理がいいかげんなのかと思えば、意外と保存状態は良かったりして、不思議な雰囲気を醸し出しています。
  閑話休題。 これは楽しい演奏です。 独奏ヴァイオリンを受け持つのは、あのオットー・ビュヒナーです。 リヒターの『音楽の捧げ物』であれほど崇高・謹厳な響きを聞かせた彼が、ここれではレーデルの棒の下で、自由闊達に歌いまくっています。 いささか原楽譜からの逸脱もあるようですが、この演奏でそういうことを言うのは野暮というものでしょう。 四季の移ろいが、かくも明るく楽しいものであったら、人生は実に気楽なものでしょう。
  ERATOにはパイヤール盤があったため、なかなか日の目を見ることの少ない録音ですが、飽きずに聴き続ける人がそこそこいるのではないでしょうか。 
  ところで、このシリーズのジャケット、欧米人には蝶と蛾の区別がほとんどないということを再認識させるような「ギョッ」とさせるものもありましたが、この盤はまだまだマシなほうでした。 ついでに同じころ《BONSAI》という日本の盆栽をジャケットにあしらったキワモノ・ジャケットもリリースし、なんだかヤケッパチな廉価盤戦略に邁進していました。 その後ERATOはBMGからワーナーに鞍替えし、人気のあったレギュラー盤のデザインを思い切って一新したのですが、《BONSAI》シリーズだけは装いを新たにしながらもカタログを充実させ続け、伝統の健在ぶりを誇示していました。 廉価盤をここまで遊び尽くすレーベルも他にはないと思います。

 Werner Krozinger (vn.) , Karl Münhinger / Stuttgart Chamber Orchestra
   Rec.1958.5   [ DECCA : UCCD-7010 ]
 Susanne Lautenbacher (vn.) , Jorg Faerber / Württenberg Chamber Orchestra
   (P)1988   [ Allegro : ACD8002 ]
 Henryk Szeryng (vn.) / English Chamber Orchestra
   Rec.1969.1   [ PHILIPS : DMP-222 ]
 Pinchas Zukerman (vn.) / English Chamber Orchestra
   Rec.1971   [ SONY CLASSICAL : SRCR1511 ]
 Sir Neville Marriner / Academy of St. Martin-in-the-Fields
   Rec.1972   [ LONDON : POCL-5004 ]

  このスタイリッシュさはいわゆる古楽演奏が選ばなかったもうひとつの道なんじゃないでしょうか? 曲のディテールをくっきりと示しながら、それでいて無味乾燥に陥ることのない、実に品の良い演奏です。 このころのマリナー/ASMFの与えたインパクトを思わざるを得ません。 但し「アク」のような個性はないため、こういう演奏が長く好まれる・・・というマーケットがはないことも重々よくわかります。 私はこういう演奏は好きなのですが・・・。 ちなみに初出時はargo名義だったんじゃないでしょうか?
 Issac Stern (vn.) / Jerusalem Music Center Chamber Orchestra
   Rec.1977.10   [ CBS : 30DC793 ]
 Arthur Grumiaux (vn.) Arpad Gérecz / Les Solistes Romands
   Rec.1978.11   [ PHILIPS : PHCP-9645 ]
 Gidon Kremer (vn.) , Claudio Abbado / London Symphony Orchestra
   Rec. 1980.2   [ DG : 431 172-2 ]

  なにか仕掛けてくるかと身構えて聴くと肩透かしを食らいます。 古楽演奏がイロイロやってるのを知ってしまうと、まぁ、それほど奇抜な演奏には聴こえません。 ちょっとテンポが忙しないかな? ともあれ、クレーメルもオケもモダン楽器の機能美を最大限に見せ付けてくれます。 クレーメルに絡むリーダー(コン・マス)のマイケル・ディヴィスも負けてはいません。
 Joseph Silverstein (vn.) , Seiji Ozawa / Boston Symphony Orchestra
   Rec. 1981.10.10   [ TELARC : CD-80070 ]
 Anne-Sophie Mutter (vn.) , Herbert von Karajan / Wiener Philharmoniker
   Rec.1984.6.18,19   [ EMI : CDC7 47043 2 ]

  皇帝陛下と女王陛下が精鋭部隊を率いての《四季》。 実に恐れ多いことで・・・。
 I Solisti Italiano
   Rec.1986.7   [ DENON : COCO-70328 ]

  イ・ムジチの向こうを張るイタリアのアンサンブル。 合奏の精度はこっちの方が上で、その実力は誰もが認めるところ。 その分、イ・ムジチに比べて大衆性が薄くなるのは仕方ないかな。
 Viktoria Mullova (vn.) , Claudio Abbado / Chamber Orchestra of Europe
   Rec.1986.12   [ PHILIPS : CDC7 47043 2 ]

  新世代の女王陛下、即位前の若かりし日の録音。 PHILIPSがDECCAの一部門となってしまうまで、国内盤では廉価盤として何度再発されてもこのジャケット写真を基本としたがデザインが踏襲されました。 ちなみにバックも帝王の後継者として即位して・・・やがて退位なされました。
 Franco Gulli (vn.)
 Riccardo Chailly / I Filarmonic del Teatro Comunale de Bologna

   Rec. 1990.4   [ LONDON : POCL-9815 ]

  往年の名手を迎えたシャイー/ボローニャ歌劇場は、まさに名歌手を支える歌劇場の雰囲気のままに・・・なんて書くと胡散臭くもなりますが、先入観コミで彼方此方にオペラ的な響きを楽しむことが出来ます。  グッリの美音も健在です。
 Riccardo Muti / I solisti del L'orchestra filarmonica della scala
   Rec. 1993.12   [ EMI : TOCE-4031 ]

  スカラ座のオケをムティーが歌わせまくっている一枚。 このイタリア風味あふれる演奏には、古楽演奏からは得られないウキウキ感があります。 ほとんどのアルバムで「四季」+オマケの収録順をとっているのに対して、オマケ+「四季」という収録順になっているのも、個人的には気に入っています。 オマケと書きましたが併収の「海の嵐」・「夜」ともにレベルの高い演奏で、スカラのソリストたちの名人芸を十分に堪能できます。
 Gil Shaham (vn.) , Orpheus Chamber Orchestra
   Rec.1994  [ DG : 439 933-2 ]

 探せばあるもので、こんなものまで我が家にはありました。 現役の若手の中でも有数の実力者ですし、そのことはこの録音からもわかります。 また、古楽奏法の見直しが、現代楽器の演奏に―たとえそれが《四季》のような有名曲であっても―与えた影響も充分に聴き取ることが出来ます。 ただそこから先に・・・聞くべきものが見当たりませんでした。 私の「耳」の限界を感じます。
 オマケのようにはいっているクライスラーの《ヴィヴァルディの様式による協奏曲》も、お遊び程度にしか響きません。 お遊びとして充分に面白いのですが。
 なお、このCD盤、出自は上記のアーヨ盤と「おなかま」です。
 Anne-Sophie Mutter (vn.) , Trondheim Soloists
   Rec.1999.5  [ DG : POCG10227 ]

 女王陛下再臨。 CDを取り出すのに一手間かかる無駄に豪華なジャケットも女王陛下のお召し物だと思えば・・・。
Royal Philharmonic Orchestra
[ Reference Gold : RGD3624 ]

 謎のCDです。 指揮者も独奏者も記載されていません。 ただ、どうやらRPOコレクションからの音源のようです。 だとすると指揮者はジョナサン・カーネイということになりそうです。 詳細は矢部さんのHPをご覧下さい。
 演奏は抱腹絶倒。 なんでこんなに通奏低音が頑張るのか、ヴァイオリンソロはいったいどうしちゃったのか? RPOはこんな演奏もするのか〜と感心してしまいます。 古楽とは異なった自由奔放な演奏で、ビュヒナー/レーデル盤を上回る自由度です。 しょっちゅう聴くと飽きるかもしれませんが、たまに聴くにはよい演奏です。

 


日本人の《四季》

 徳永二男 (vn.) , 東京弦楽合奏団
   Rec.1984.5.13 - 15  [東芝EMI : CC38-3226]
 長谷部雅子 (vn.) , 東京ゾリステン
   Rec.1989.3.24  [第一生命 : ACD-0072]

  《春》と《秋》のみの収録です。 編成のせいか、少々響きが薄いのが気になる部分もありますが、厭味の無い素直な演奏です。 良い意味で教科書的で、素直に楽しんで良い演奏だと思います。 録音もライブの雰囲気たっぷりに収録し、日本の小規模ホール特有の鳴りの良さが良く取れています。
  CDとしての欠点は、《春》・《秋》2曲合わせて1トラックという、やたらと思いっきりの良いトラックうちでしょうか。 そのわりには各楽章毎の詳細なT.T.がついていたりするのですが・・・。
  ちなみにコンサート当日のスポンサーであった第一生命の作成による非売品のようです。

 大谷康子 (vn.) , 深山尚久(vn.) , 藤原浜雄(vn.) , 田中千香士 (vn.)
 コンサートマスターズ・クラブ・オブ・ジャパン
   Rec.1994.5.27  [萬有製薬 / NAMI : LN3133 (NAMI-173)]

  現・元のコンサートマスター(オーケストラ・リーダー)達の集団による演奏です。 結構聞いた名前が並んでいたりしますが、特に《春》のソロを担当している大谷さんは東京交響楽団の定期会員だったころからなじみ深い名前です。
  演奏団体の性格を反映しているのでしょうか、Vnの合奏パートがやけに太い演奏です。ソロとVn合奏と通奏低音だけ・・・ではないのですが、ちょっとそんな印象を受けてしまいました。
  萬有製薬の80周年記念のCDのようです。



編曲による《四季》

 János Bálint (fl.) , Weiner - Szász Chamber Orchestra
   Rec.1996.6.28-30   [ HUNGAROTON : HCD31661 ]

  フルートで聴く《四季》はとてもたおやかです。 ひょっとしたら日本の「四季」の雰囲気にはこちらのほうが近いのかもしれません。 ちなみにカップリングはパガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番《ラ・カンパネラ》のフルート版。 バカテクです。
 Eugenia Lissitsina (Org.)
   Rec.1992.9   [ Artis : ARCD055 ]

  オルガン編曲版。 編曲は演奏者自身によるもの。 演奏者の名前はどこかで聞いたことがあるような気がしないでもないのですが、イタリア語の解説を眺めてもさっぱり見当がつきません。
  赤毛の司祭様はオルガン弾いて生計を立てていたりもしたのですから、それなりに相性は悪くないはずですが、この編曲はその辺のことはそれほど気を使っていないようにも聴こえます。 むしろオルガンという楽器を、その奏法を聴かせる部分の方が多いように感じます。 これは決して悪い意味ではなく、ブルックナーの交響曲のオルガン版、そのスケルッツオ楽章を思い出させるような、快活な春の始まりから、ちょっと芝居がかったような冬の終わりまで、一気に聞かせるだけのものはあります。

 Johen Brusch (vn.) , Seven-Ingvart Mikkelsen (Org.)
   Rec.2000.4  [ CLASSICO : CLASSCD333 ]

  ヴァイオリンとオルガンによる演奏です。 もちろんヴァイオリンがソロ、オルガンがバックを受け持ちます。 オルガンだけの演奏よりずっと楽にこの曲がこなせているのだから、もうチョット、ヴァイオリンが個性を発揮しても・・・と、思わないでもないですが、予想以上に清々しい響きを個性として尊重して聴いています。
 Tetra Guiter Quartet [ S.Goss , P.Howe , G.Roberts , R.Storry ]
   Rec.1996.5.28&29   [ CARLTON : 30366 00692 ]

  イギリス人4人組によるギターカルテット版の『四季』。 4人のメンバーが一曲ずつ編曲を担当しています。 演奏は古楽器以前の伝統的なスタイルを踏襲・・・したいところが、ヴァイオリンとギターとの奏法の相違に起因する難所が所々にあるため、突如として耳慣れぬ響きに代わってしまうのは、ご愛嬌でしょう。
  原曲が内声的な響きを大事にしていることが、この編曲からは浮かび上がってきます。 一聴以上の価値はあります。

 
CORRETTE : Laudate Dominum

 Jean Jakus / Orchestra Sinfonica Siciliana , Coro delle Comunita' Europee
   Rec.1985.5.8   [ ITALCABLES : ITC9204 ]

  コレットは《イェルサレムを讃えよ》に思いっきり《春》を転用しています。 歌詞付きの《春》として十分に楽しめます。