このHPについて

〜 DELIUSとの馴初め そして 《戴流庵》への道 〜



   私がはじめてDELIUSの音楽に触れたのはもう十数年前も前のことになります。 当時使っていたターンテーブルが壊れ、いよいよ脱LP、CDに乗り換えられる!と小躍りしました。 どうもあのLPの盤をひっくり返すのが面倒くさかったのと、狭い部屋に不似合いな大きさが好きになれなかったので躊躇なくCDに乗り換えました。 どちらかというとFMでクラシックを聞くことが多かったのですが、CDの使い勝手のよさにすっかりソフト購入派になりました。 とはいえ当時高校生だった私にそうたくさんのCDが買えるはずもなく、選びに選んでちょびちょび買い足していました。

   そんなある日に近所のレコード屋で出会ったのがE.Fenbyによる≪日没の歌≫(UNICORN−KANCHANA)でした。 DELIUSの名前だけは知っていましたが、それほど関心もありませんでした(Mahlerと世代が近いというだけ警戒感を抱いていました、あの頃は)。 そんな私が思わず衝動買いしてしまった理由はひとえにそのジャケットの素晴らしさでした。 仮に音楽が好きになれなくてもこのジャケットを飾っておくだけでもいいとまで思って購入したものでした。 そして・・・ジャケット以上に音楽に見せられてしまったわけです。 当時直輸入版に日本語解説をつけて国内流通に乗せていたわけですが、故(と付けなくてはならないのがとても残念ですが)・三浦淳史さんの懇切な解説が私を俄かDELIANに仕立て上げました。

   ちょうどLPとCDの拮抗状態が崩れようとしていたその頃、特に田舎のこととて、黄色いレーベルのドイツ音楽全盛期でした。 今のようにインター・ネットなどで簡単に情報検索のできる時代でもなく(2400bpsのモデム内臓電話が7万くらいでした)、すっかり魅せられてしまったDELIUSの世界がどのくらい広がっているのか、皆目見当もつかず、途方に暮れることすらできない状態でした。 翌年、東芝EMIからBeechamやBarbirolliのステレオ録音が復刻され、やはり三浦淳史さんの解説に導かれながらホンの数枚のCDを何度も何度も繰り返し聴きました。 そして田舎から日帰りで上京し大きめなレコードショップを彷徨いあるき、遊学のために上京してからはさらに探求の足を広げました。 その上京した年に東京文化会館でGrovesと日本フィルによる≪人生のミサ≫を聴き、初の生体験となりました。 またその後、レコード芸術という今や風前の灯火となってしまった雑誌に市川さんのLPコレクションが紹介され、DELIUSの録音がまだまだあることを知り、深みにはまってゆくのでした・・・。

   ところで、このような経験は私を楽しませると同時にまた疲労させることも大きかったと思います。 それは新しい録音はともかくとして、過去の録音がどれくらいあり、現在どれくらいCDで入手できるのか皆目見当がつかなかったためです。 このような経験・感覚をもつ人が今後現れるかはわかりません。 しかし、もしDELIUSのCDが欲しいが、どのようなものがあるかわからない、知りたいという人が現れたときに、せめて自分の手元にあるものだけでもリスト化してWeb上にUpしておけば、多少は裨益するところもあるだろうと思いこのたびのHP作成となった次第です。 もちろん、出先で自分のCDを確認できるという利便性も重要な要素ではあります。 ともあれ、私に能力(経済的なものも含めて)があれば完全なディスコグラフィを作りたいのですが現状ではこのあたりで手一杯です。 ご海容ください。

   以上のような趣旨から、当HPでは「これがお勧め!」的な表現は極力避けたいと思います。 状況の中からの選択はそれぞれの判断にお任せしたいと思います。 ただし、感想めいたものは多少Upしてみたいと思います。

   ところで、DELIUSをどう読むのか? 故・三浦淳史氏のエッセイ「夏の歌」に≪ダリウス≫や≪デリアス≫という読み方が紹介されていますが、一般的には≪ディーリアス≫が市民権を得ているのではないでしょうか。 また、DELIUSの作品を愛好(偏愛?)する人々をDELIANと呼び習わしますが、日本語だと≪ディーリアン≫でしょうか。 これは日本語の話。 ご近所の漢字ばかり使う国ではDELIUSは≪戴留士≫(大陸の方)・≪戴流斯≫(島の方)など必ずしも表記は定まっていません。 ≪戴流庵≫とは、ま、DELIANを単に先の漢字表記にそれらしくあてて整えただけです。 ちなみに≪留≫・≪流≫いずれを選ぶのか少し迷いましたが、若いころのDELIUSのあり方と現在の自分のあり方を鑑みて、≪流≫を選びました。 いずれ私にもグレが見つかりましたら≪留≫に変えてみようかとも考えております(ちなみにイェルカはもうおります)。





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