■夜のストレンジャーズPROFILE99年に前のバンドやめてからというものたまに働いては酒ばかり呑んでるという怠惰な生活からの脱出、社会復帰へのリハビリとしてミウラとテツオが近所の呑み友達ヨーホーを誘って結成。当初はスウィング、ロカビリー色が強かったが最近は地金 が出てブルース、リズム&ブルース、オールドジャズ、60年代ソウル等もともと3 人の好む音楽全般の影響が幅を利かし始めている。酒の量は減るどころか増える一方。 | ||
ミウラの好み 作詞作曲、ギブソン、ビール、アイリッシュウヰスキー、たまに焼酎、ジャンゴ、ロ バートジョンソン、すき焼き、ジェイムスエルロイ、オダサク、トムウェイツ、ペプ シ、団鬼六、オーティスクレイ、松屋のカレー、萩原朔太郎、吾妻光良、エルモア ジェイムス、ブコウスキ、ペレケーノス、ポーグス、ハーレムハムファッツ、金子光 春、猫さん、トミーマクレナン&ロバートペットウェイ etc... ヨーホーの好み ビール、ウヰスキー、ライブ、ジョニーサンダース、トムウェイツ テツオの好み ビール、アーリータイムス,寿司、夜のストレンジャーズ、ドラム、美咲(愛娘)、 自由、昼寝、オーティス、MG's、ストーンズ、ボンゾ、ガリバルディ、ミーター ズ、スライ、JB,フリー、セッツアー、ルイジョーダン、ガッド、ポンタ、パー ディ、ルーファス、ダニーハザウェイ、STAX,ATLANTIC,スタット、UFO etc... | ||
Beautiful Life
[DCRC-0050] \2,310(税込) 2002.10.22 out 収録曲
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国立のブギ大臣ミウラ率いる、最高のロッキンブギ楽団、「夜のストレンジャーズ」! 時には捨て鉢に、時には哀しいくらい陽気に、時には照れながらもロマンチックに! オールドジャズ、ブルース、ロカビリー、パブロックからの影響がうかがえるSOUNDに乗せた珠玉の全14曲が収められている本作には、ジャンルを超えて伝わる人生の喜怒哀楽が、押し付けるワケでもなく心の中に流れるように入り込んでくる2003年秋の名盤でアル。「Boogaloo Joe」(M-1)のような思わず腰が動いてしまうようなダンスナンバーや、「俺が便所に行ってる間に俺のビール飲んだのどいつだ」(M-3)で聴けるエキセントリックなブギはお手の物。Baby Blue(M-5)や「Big Fat Saturday Night」(M-7)「Itsユ A Beautiful Life」(M-14)に代表される唄モノでは、ほんの2分間程度の時間の中で、まるで気の利いた短編映画を見終えたような後味を残してくれる。 楽しさと哀しさが背中合わせの毎日。頼りになるのはアルコールとブギ、そして気の置ない仲間たち。週末になればいつもの場所でいつもの曲をリクエスト。何にも変わらない毎日。でも結構うまくやってるよ。いつまでも子供じゃいられないけど、大人にもなりきれない。奇跡を信じてボトルに神頼み。そして泥酔朝帰り。でも何かが変わった気になれた。それが、夜のストレンジャーズ。 「ブギで踊りたいあなた 酒飲んで踊りたいあなた 夜のストレンジャーズはそんなあなたを裏切らない! ブギで踊れないあなた 酒が飲めないあなた 夜のストレンジャーズがそんなあなたを救ってくれます!」 コヤマシュウ(スク-ビードゥー) 「ただただロッケンロール!ホント不思議なバンドだ。夜の高円寺とビールが必要だな。トイレに行く時は気をつけなよ。キミのビールはすでに飲まれてるぜ。」 Mr.PAN(ザ・ニートビーツ) 「夜ストのブルースはミジメ<憂鬱>なだけじゃない。少しハッピーになれるブルース<優歌>だから、オレは好きだ。あのブルースの主役はオレかもしれないし、キミかもしれないよ。21世紀のブギ大臣にオレも1票!」 パッチ(ヴァイオレッツ、レディオキャロライン) | ||
●超早いブギにしてくれ
by KINGJOE (SOFT,HELL!) アイ・エヴァー・トーク・トゥ夜のストレンジャーズ。 可愛いあの娘をちょいと口説いて、柱の陰でキスをしよう、 …そんな事思いながらビッグでファットな土曜の夜を求めて俺はいつもの店に向かう。金曜に給料をもらったばかり、ポケットを膨らますのは給料袋、ネオンサインを思い浮かべるだけで胸がうずいてくるんだ。HEYブルースマン、超早いブギをくれ!ブギにあわせてあの娘のケツが揺れるのを見るのが好きだ。そうさ、今夜、土曜の夜とあの娘をこの手に掴むんだノ夜のストレンジャーズは、中央線沿線をねじろに活動を続け、客とライブハウスの店員とDJと対バンのメンバーに熱狂的な支持を受けている、酒とブギの好きな愛すべき3人組(みうら、ヨーホー、てっちゃん)だ。 もうすぐDECKRECから10月22日に発売の彼らのアルバム「BEAUTIFUL LIFE」(仮)についてお知らせしたい。1曲1曲が、無国籍な酒場が舞台の短編小説のようなジャジーでブルージィな味わいを持つ珠玉のアルバムである。 「俺が便所に行ってる間に俺のビールを呑んだのどいつだ?フーストールマイビヤー!」みうらが目をむき出すエキセントリックな超早いブギもいいが、泣きのナンバーはもっといい。筆者にとって夜ストは夜と酒と音楽と可愛い娘と失意の徹夜明けを喚起させ、果てしなく気の許せる存在である。酔いどれ詩人みうらの書く曲にはどれも根底に「生きることの哀しさ」が、一貫して流れている。それがしみったれたブルースにならないのは、もたれあいや押し付けがなく、本来ならば負の感情に位置されるべき「哀しみ」さえもある種のいつくしみの心で捉えているからであろう。本アルバムに収録の『BABY BLUE』という曲はこんなことを歌っている。 ♪涙ふいたらベイビーブルー 遊覧飛行にさあ出かけようヘイ オモチャの雲をかっぱらって きらめく星たちを蹴飛ばしに行こうぜ デタラメなルートで夜間飛行 さらってゆくさ おまえだけを 暗い空切り裂いて…! (『BABY BLUE』) この曲を聴くたびに、みうらの、役立たずで駄目な優しさをいとおしく感じる。甘いダミ声となんともいえない音色のギター、そしてバックをささえるヨーホーとてっちゃんのリズム隊とが渾然一体となって聴く人の心の奥深くに寄り添ってくるのだ。そこが、夜のストレンジャーズというバンドが、ファンのみんなに「我こそが他のファンの誰よりも世界一彼らのことを愛してる」と思わせるゆえんなのだろう。 『BIG FAT SATURDAY NIGHT』では、泡のような週末、俺も夢見る土曜の夜を大合唱と手拍子で賑やかに唄う。いつもの店、陽に焼けたポスター、古い仲間ノだらしのない自分を、いつもそうやって笑って迎えてくれる場所に思いをはせると、なぜだか知らんが涙が出てきよる。そして、ゲスト・ピアニストのマボのプレイはこの曲に最高の彩りを添えている!特に、エンディングにおけるピアノソロは、楽しくも切ない余韻でいっぱいだ。 彼らの古くからのレパートリーであり、もっとも人気の高い名曲中の名曲が12曲目の『FLY ME TO THE (LIQUER STORE ON THE)MOON』だ。この曲に出会ってもう3年くらい経つが、未だにこの曲の呪縛から逃れられない。曲が始まり、「ルディのホテルで10時に逢おう」と、みうらが唄い出すともうどうしていいのかわからない。選択肢が、泣くか酒呑むしか無いので、俺は両方をとる。すなわち、ライブでべろべろになって何回も泣いたってことさ。 「酔っ払いだけが真実を口にする」と言ったのが誰だったか忘れたが「若い奴ばかりの店なら出ちまおう」という歌詞には稲妻のような衝撃を受けたし、「明るい表通りで最高の千鳥足」というサビがどうしようもなく胸を締め付ける。酔っ払った夜の帰り道はいつもこの歌を口ずさんでる。せつなさとだらしなさと溝の中の月のような美しさとかわいい狂気がある…彼らこそ最後の、というか最新の無頼派だ。傷心も挫折も孤独も夜ストにかかれば、なんとなく贅沢な心のアクセサリーに思えてくるし、たいがいのことは酒さえ呑めば何とかなるんだよな、と、何とかなったことなんか無いのに自販機へ向かう…ここまで原稿書いたとこで夜ストのBBSを覗いてみたら、泥酔したみうらが今朝未明に15年来の愛機ギブソンを紛失したということで大騒ぎになってて、気の毒だけどちょっと笑ってしまった。で、へこんでそうなんで、みうらの携帯に電話したら、もう終電間際というのにヨーホーと一緒にへべれけで、吉祥寺駅周辺の酒コンビニを探してる最中だった。「早よ帰れよ!」と思ったが、その懲りてなさに「さすがだわい」と頼もしくも思ってしまった。 夜のストレンジャーズ。 夜を、さまよい続けろ。 (クイックジャパンvol.50搭載分より一部加筆) | ||