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[ エログロ大好き睦月ちゃん ]
[ Brain deep,not skin ]

こんなの本当は私の全部じゃないんだ
それでもみんなの目の前で
今日は子猫を殺して見せたんだ
生暖かい期待と
自分では手を汚さずに褒め殺して
やがて飽きて見放す視線に囲まれて

真夜中 部屋で一人 嘔吐くんだ
このまま何もかも吐き尽くせたらいいのに
でも明日になれば
作り上げてきた卑屈な笑みを浮かべながら
自分を削っていくのだろう

私ほら 嬉しいとか 悲しいとか思い出せないよ
こんなに醜くて卑しくて汚くて小さすぎて
だけど
いつの日か 私でも 晒しても受け容れられたいな
その時は 貼り付けた この嫌な笑みを脱ぎ捨てるんだ

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[ お話背景(表) ]

両親は離再婚を繰り返し、近藤姓となった睦月。
クラスメイトは「コンドーム付き」と揶揄した。
よう、スキンが人並みに絵描いてんじゃねーよ。
どうせ孕まねぇだろう?お前ゴム付きだからさぁ
おいゴム、早く給食費払えって先生言ってたぜ。
何度目かの転校の果て、いつか睦月は決心する。
ありもしない属性を自分に与え、道化と化そうと。
ダメージを受けるのは、後付けの、付与した外側。
私の核には、誰にも触れさせはしない。
「はじめまして。近藤睦月ですっ コンドーム付き、じゃないですよ〜」
睦月は人気者になった。いや、名物といった方が適当か。
漕ぐのを止めたら直ちに倒れる一輪車にも似た危うさで。
そう、いつか、名前で呼んで欲しい。
誰でも、いいから。

[ ネタバレ(裏) ]

それは、やがてできた恋人に睦月が話した自己申告。
多少の揶揄はあったのかもしれない。
性格まで歪むには程遠い、微笑ましい程度には。
恋人の全身に残る火傷その他虐待の痕跡と、
それでも真っ直ぐで誠実な人格品格が、
私可哀想な物語を創造して悦に浸ってきた睦月を、
今度こそ本当に追い詰める。
どうして、救済を必要としている人ほど、他者を救おうとするのだろう?
どうして、謝罪されて然るべき人ほど、他者に謝ろうとするのだろう?
私は、醜い。
私は、卑しい。
私は、汚い。
私は、小さい。

(2010.11.02 15:53)

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