『BOUNCE』/BON JOVI

 とうとう、BJの待望のニュー・アルバムがリリースされた。日本でのリリースが「9・11」にあわせてなされたことからもわかるように、「アメリカ世界同時多発テロ」から大きな影響を受けて書かれた曲が大半を締めている。
 しかし、アルバムに収録された曲群は、決して悲壮感漂うものではない。事件を乗り越え、それでも僕たちは目の前にある日常を生きて行かなければならないんだ、前進しなくちゃならないんだ、そんな前向きな気持に裏打ちされた曲ばかりである。

 さて、前置きはこれくらい。アルバムはというと、1曲目からいきなりヘヴィなイントロから始まる@「UNDIVIDED」だ。BJのアルバムは毎度の事ながら、一発目からヘヴィな曲でくるなぁ(しかもアルバム中、一番ヘヴィな曲だったりするんだよ)。たまにこれでビビッちゃうんだけど(笑)。しかし、この『BOUNCE』では結構ギター・リフがヘヴィに刻まれている。外部ライターを多く起用したためか、ロック・ソングでは曲調が幾分、現代的になっているかもしれない。
 Aはシングル・カットされた「EVERYDAY」。ポップかつ洗練されたカッコよさがある。B「THE DISTANCE」はアコースティカルで大きな青空を天井に、風に吹かれるような爽快感がある。オーケストラ・アレンジがそれをより効果的に演出している。この3曲で一気に畳み掛ける。
 CはBJお得意「青春グラフィティ・ロック・ソング」(笑)。俺はこういった曲、歌詞、好きなんだよね。青春時代の生き方の迷いだとか、おぼろげながらそれが見つかる、動き出す瞬間を歌にした曲がね。
 
 さて、今回のアルバムはバラードが3曲収録されている。BJとしては「3曲はちょっと多いかなぁ」と思っているらしい。確かに、バラード調のスロー・テンポの曲もあるため、製作者側としては気にするかもなぁ、と思えるところ、ちゃんとバラードの間にヘヴィなロック・チューンを挟んで緩急をつけているので気にならない。
 「NEVER SAY GOODBYE−PARTU」とも言えるようなE「ALL ABOUT LOVIN' YOU」、I長く付き合った恋人同士を歌った「YOU HAD ME FROM HELLO」、ジョンが「アリーMyラブ」に出演したことがきっかけで生まれたアルバムを締めくくるK「OPEN ALL NIGHT」。
 この中でやっち。のお気に入りはI!
 なんか、歌詞がぐっと来るんだねぇ。ちょいと引用。

 「鏡の中の君は髪をいじり 化粧をする
 まだ何を着ていこうか君は迷ってる
 僕は完璧だと思うけどな

 特に迷っている時の君はステキだよ
 8時半 そろそろ時間だけど
 大丈夫 好きなだけ時間をかけていいよ」

 いいじゃないっすかぁ(笑)。「イケてなーいっ」て鏡を見てる彼女。でも、「十分、かわいいのに」って思ってる男。でも、それすらステキだと思える関係。いいじゃないっすかぁぁぁーーーーーーーーーーーーっ!!!(←オイ

 (んでも、この曲のこの部分、歌詞カードの歌詞と実際聴こえるジョンの歌と違うように聴こえるわ。多分ホントは違う意味になってるんだろうねぇ。)

 はぁ(溜息)。さてさて、もう1曲。やっち。が大好きな曲はアルバム・タイトル・トラックJ「BOUNCE」!!前作の大ヒット・チューン「It's My Life」に通じるような、カッコよさをもつロック・チューン!!後半のハイ・ライトでしょう、これは!


 ほとんどの曲が3分半くらいに作られているので、一気に聴き通せてしまう。
 前作『CRUSH』のような、御気楽な雰囲気がないが、逆に、聴き入ってしまうような、包み込むようなスケール感のある曲が多いため、地味に感じるかもしれない(ジャケットがグレーだからなおさらねぇ・・・)。でも、曲によっては前作より遥かに「ハード・ロック然」とした曲もある。悲壮感を飲み込んで前進していく、そういった精神が織り込まれた奥深いアルバムになったのではないだろうか。




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