April 16th,2004-Osaka "Nanba HATCH"

<set list>

1 We All Fall Down
2 Cautionary Warning
3 Billy
4 Bad Boys
5 Cold Sweat
6 Crying In The Rain
〜Tommy Aldridge Drum Solo
7 Jelly Roll
8 She Knows
9 Defcon 1
10 I Don't Wanna Live My Life Like You
11 Is This Love
12 Still Of The Night

-encore-

13 Please Don't Leave Me
14 Look In His Eyes
15 Thunder And Lightning


John Sykes(Vo&G)
Marco Mendoza(B)
Tommy Aldridge(Dr)
Derek Sherinian(Key)

 開演は予定では18時だったが、開催者側の事情で40分ほど遅れ会場。そのため、開演も予定より30分遅れの7時30分からとなった。
 会場の「なんばHatch」は1階オールスタンディング、2階指定席に分かれていた。1階は9割方埋まり、2階指定席も、開演時には空席があったが、しばらくすると満席となった。
 開演前、ステージはブルーのライトに照らされており、まさしく"BLUE MURDER 降臨!!"を思わせた。
 7時30分、ジョンをはじめ、メンバーがステージに登場。オープニングは誰もが期待していた"We All Fall Down"でスタートした。
 トミーの稲妻のような鋭いドラミング、ジョンのディスとーションの効いたギター、ファンにとっては「これ以上ない」オープニングだった。オーディエンスも大きな歓声でジョンを迎える。ジョンは笑顔で、楽しそうにギターをかき鳴らした。
 ソロもアルバムに忠実で、久々のジョンのマシンガン・ピッキングを目の当たりにしたオーディエンスは再び大きな歓声をあげた。

 
 やばい。やっぱカッコイイ。

 
 2階席でメモをとりながら思った。
 久々のジョンの姿を見て、正直、少し涙腺に、きた。

 ジョンに色々な思いを抱きつつも、いざ、ジョンが目の前でギターを掻き鳴らせば、それは圧倒的だった。あぁ、やっぱジョンはスゲェ。


 "We All〜"を終えると、MCなしで間髪入れず「20th CENTURY」から、"Cautionary Warning"に突入。アップテンポのハードロック・チューンだが、"We All〜"に比べると、オーディエンスのノリは良くない。おかしいなぁ、改めて聴くといい曲なのになぁ。
 曲が終わると、初めてジョンのMCが入る。「長い間待たせたね。」手短に言って、"Billy"のイントロが始まる。静かで緊張感溢れるイントロにあわせて、ステージ・ライトも最初はステージからの赤と青のライトのみ。メンバーのシルエットだけを見せる演出はカッコイイ。ギターソロとドラムの「ツッタ・タタッタ、ツッタ・タタッタ」の絡みは大好きなパートだ。ここもジョンとトミーは難なくキメる。そしてオーディエンスとの掛け合いもまじえてエンディング。
 この曲が終わると、ジョンがメンバー紹介をする。まず、今回、ジョンとは初めてライブをすることになった、Keyのデレク・シュレニアンを。次にマルコ、トミーを紹介する。
 
 次にジョンがコールした曲には、オーディエンス全員が驚いたであろう。あのWHITE SNAKEの"Bad Boys"だ!!
 やはり、この曲は、というよりファンにとってのジョンのWS時代というのはスゴイな、と思ったのは、この曲が始まるやいなや、さっきまでほとんど座っていた2階席のオーディエンスを全員総立ちにさせたのだ!!
 ジョンはソロもアルバムに忠実に再現しようとしてた。それにしても、トミーのドラミングはスゴイな。本当に稲妻のような鋭さだ。

 WSの名曲でのオーディエンスの反応の凄さを、ジョンも感じたのか、「Thank you!!」とMCを入れ、続いて"Cold Sweat"。マルコがオーディエンスを煽る。ジョンのソロでのタッピングに対しても凄い歓声だ。
 圧巻のソロを見せつけて曲を終え、ジョンは「帰ってきたよ!」とMCをいれる。次の曲はなんだろう?と思ってると、なんと、またもWS時代の"Crying In The Rain"だ!!オーディエンスも驚きの歓声をあげる。WSのVoは、もちろんデイヴィッド・カヴァディルである。はたしてジョンにWSの曲が歌いこなせるかのか?と思ったが、ライブの勢いもあり、ジョンなりに歌いこなしていた。ソロもエモーショナルで弾きまくりだった。
 曲のラストで、ジョンはトミーの名前をコールし、そのままドラム・ソロへ。ドラム・ソロが始まってすぐにデレクがミネラル・ウォーターを取りに戻ってきた。DTをクビになったのも、そんなようなことをしたからじゃないの?とか思ったり(笑)。ソロは、おなじみの素手でのドラミングに移り、ラストにはジョンがステージに現れ、トミーのためにオーディエンスを煽る。
 そして、ライブの定番となっている"Jelly Roll"へ。ジョンのライブとしては初めての試みだと思うのだが、サイド・ギタリストがアコギを持って、デレクの隣のステージ脇にあらわれた。なにかのトラブルか、アコギの音は全然聴こえなかった。まぁ、ジョンのギターだけで十分だったということもあって、とくに影響は無かったのだが。上手くいっていたら、いつものライブよりもサウンドに厚みが出て良いものになったかもしれないと思うと残念だ。ジョンは特にサイド・ギターのトラブルを気にする様子もなく、演奏する。ラストのソロもエモーショナルだ。オーディエンスの反応・手ごたえを感じ、久々に自身の曲を演奏する喜びに浸っているようで、楽しそうに弾いているのがわかる。
 曲が終わると、ステージ中央に2脚のイスが用意され、トミーが下がる。中央のイスにはジョンとマルコが座り、デレクとの3人で、これもライブではすっかり定番となったスローなバラード、"She Knows"が、ジョンによるタカミネ12弦のアコギの美しいアルペジオで演奏された。この曲の中間部でデレクが少しだけソロを弾く。デレクがソロのようなフレーズを弾いたのはこのときくらいだったような気がする。せっかくHR/HM界でのキーボードの名手、デレクのソロ・タイムもあってもよかったのに、と思った。マルコも少しだけ、この曲の中でソロを弾いた。
 曲が終わり、イスが片付けられると、「20th CENTURY」から"Defcon 1"が演奏される。アップテンポな疾走チューンだが、やはり往年の(?)名曲に比べると、オーディエンスの反応は薄いか。結構いい曲なんだけどな。ファンは疾走チューンはそこそこに、BLUE MURDER時代のヘヴィで荘厳な曲を聴きたかったようだ。
 薄いといっても、比較の問題でオーディエンスはのっていた。このアップテンポ・チューンでつけた勢いをさらに加速させるためか、「OUT OF MY TREE」の疾走メロディアス・パンク・チューン(笑)"I Don't Wanna Live My Life Like You"に。この曲ではデレクはステージからいったん降りた。この曲はアルバム発売当時、ホントよく聴きながら歌った曲で、メロディもキャッチーだから、思わずジョンと一緒に歌ってしまう。
 他のオーディエンスもサビを歌ったためか、ジョンも曲の後のMCで「歌ってくれてアリガトー!!」と謝辞を述べた。デレクがステージに戻ってくる。そして、次の曲は、やはりここでもオーディエンスは大歓声をあげた―WS時代の超名バラード、"Is This Love"だ!!
 以前からファンの間で「ジョンの歌う"Is This Love"を聴きたい(他のWSの曲も聴きたい。)。」ということも言われたことがあった。僕は、それに対して、「ま、そんなことはないだろうけど、あったいいよね。」くらいの考えでいた。しかし、今、こうしてジョンが歌う"Is This Love"が聴けるとは!!
 WSの曲はこの後、演奏された"Still Of The Night"も含めて4曲。前3曲をまさかジョン自身が歌う姿をこの目で見られるとは―多くのファンはそう思ったに違いない。まぁ、そういうことになった背景を考えると複雑な思いもしないではないだが。。。
 とにかく、ジョンの"Is This Love"はギター・ソロも含めて素晴らしかった。
 そして、これはWS時代の曲だが、ライブでは定番だった"Still Of The Night"へ。ヘヴィかつグルーヴィなリフ、中間部の静かなパート、そしてラストの引きまくりのジョンのソロ。ここでもジョンのソロは圧巻だった。若干、多すぎるかなとも思えるチョーキングで「泣き」を演出する。最後はトミーの怒涛のドラミングで曲は終了。オーディエンスも大歓声をあげ、BLUE MURDERを称えた。
 この曲で本編はいったん終了。「すぐに戻ってくるよ。」との言葉をジョンは残し、メンバー全員がステージから降りた。

 もちろん、これではオーディエンスは満足できない。アンコールの声が会場を一杯にした。そうして、ジョンたちは再びステージに姿をあらわす。「日本に戻ってこれて嬉しいよ!」とジョンがMCを入れる。そして次にコールされたのは、前回の来日公演では演奏されなかった、ジョンを語る上では外せない、あの超名バラード、そう、"Please Don't Leave Me"がコールされた!!この曲を聴くために、今日、大阪に来たようなもんだった。ジョンの感情のこもったヴォーカルは感動的だった。ただ、ギター・ソロがこの日は短めで、それが唯一残念だった。
 アンコール2曲目は、「20th CENTURY」から"Look In His Eyes"がコールされる。これもアップ・テンポなHRチューンで、ソロも弾きまくっていた。ソロを弾くとき、ジョンは少し前に出ていた。この曲に限ったことでは、勿論ないが、目をつむり、スポットライトを浴び、ソロに没頭するその姿は、まさしく「ギター・ヒーローの雄姿」であった。そんじょそこらのギタリストにはない輝きが、ジョンのソロを弾くその姿にあった。

 そしてTHIN LIZZY時代の名曲"Thunder And Lightning"!!この曲はガッツィーなHMチューンだが、マルコがノリノリで踊っているのを見ると、疾走ダンス・チューンか!?と思ってしまう(笑)。この曲ではさすがにデレクのキーボードが目立つかな?と思ったが、せっかくソロ・パートを弾いても、なんか目立たなくて残念だった。ラストはジョンの弾きまくりの長いソロで終了。メンバーはオーディエンスに手を振り、ステージを降りていった。時間は8時50分。オーディエンスは皆、まだやってくれるものと信じていたが、客電がついてしまった。物足りなさに「えーっ」という声が漏れたが、それでもオーディエンスは、今日の意外な選曲に十分満足していたようである。こうして、1時間20分の「BLUE MURDER」のライブは終わった。僕は、胸の中で、これが単なる「BLUE MURDERの久々のライブ」で終わるのではなく、新たなジョンの音楽活動の始動となることを願って、家路についた。


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