1.frantic
2.st.anger
3.some kind of monster
4.dirty window
5.invisible kid
6.my world
7.shoot me again
8.sweet amber
9.the unnamed feeling
10.purify
11.all within my hands
METALLICA "st.anger" 2003

 METALLICAの新譜「st.anger」は前評判通り、スゴイ。

 確かに、正直、聴いてて疲れる。聴きやすいアルバムではない。だから万人に薦められるものではない。(なーんか、常套句的で嫌だけど)
 では、「聴いてて疲れる」とはどういうことか?それは1曲1曲の情報量の多さ、である。
 もともとメタリカの曲の特徴の一つに、目まぐるしく、かつ複雑に展開される曲構成のダイナミズムが挙げられる。2ndアルバム「LIGHT THE LIGHTNING」で完成された緩急を織り交ぜた曲構成がメタリカの「売り」であったわけだが、本作では「緩」の部分が以前のようなクリーンでメロディアスな構成ではなくて、「急」の中でリフの押し引きがなされ、「緩急」が演出されている。
 ゆえに、常に「急」の中で、しかも複雑に曲が展開することから、「聴いてて疲れる」とも言える。

 でも、「バンドってのは、ここまでできるんだ」と違った意味での感動を覚える。これを聴くと、「ああ、○○や△△はここまでできないよな」と諦めの境地になってしまう。あぁ、やっぱHAREM SCAREMの復活劇なんか、METALLICAに比べれば・・・、なんて思うのさ。ま、HSも張り合うつもりもないだろうし、比較の対象として妥当ではないかもしれないけど。

 ジャケットから受ける印象からは、なにか乾いた、機械的なサウンドで満たされているのか?と思った。しかし、実際のサウンドはどちらかというと、中ジャケットの(あとはシングルのジャケットの)黒魔術的な絵から想像できるようなサウンド、言い換えれば、地下世界からふつふつと湧き上がってくるような、かつてのNWOBHM、そしてSLAYERにも似た匂いを、アルバムの音から感じられる。それは本作でも話題となっている「スネア・ドラムのサウンド」について代表されるが、サウンドが生々しい。演奏が生々しい。まさしく「モンスター」だ。地下世界で暴れ狂う野獣を思わせるサウンドだ。これがメタリカの真骨頂なのだ。
 このことは、「LOAD」、「RELOAD」で希薄になっていた、NWOBHMの影響、リスペクトが本作で強烈なインパクトをもたらしている、とも言える。

 「St.Anger」はスゴイ。「MEALLICA」はまだ生きている、とかそんな次元じゃない。「METAL」はまだ生きている、そう実感した。


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