エイリアン日記

Sigur Rosのお話 [2003年04月14日(月)]
東京国際フォーラム・ホールCで行われたSigur Rosの東京初日に行ってきました。早くも3度目の来日になるのだが、2年前に悩んだあげく見に行かなかったことを後悔していただけにやっと念願かなったという思いだった。

仕事から直行で会場に行ったのだが、まわりを見渡すとスーツ・ネクタイのサラリーマンやいかにも会社帰りといった感じのOLさん系な服装の人も多く安心。と!油断していたら、会場へ入るエスカレーターの途中で大好きな某バンドの女性ボーカリストにばったりに会ってしまって少し焦る(汗)。あぁ、そう言えばSigur Ros気に入ったってサイト日記に書いていたんだ♪

座席はZwanのLIVE時に会場で買った1階9列となかなかの良席、両隣も一人客だったし、同じZwanを見ているんだと思うと話しかけたい衝動にかられたが、しばしフライヤーを読むふりをして時間をつぶした。

開演はぴったし19時で、まずはオープニング・アクトの高木正勝が一人で登場し、自ら制作した映像をステージ後方の大型スクリーンに映しながらエレピとMacでエレクトロニックな演奏を聴かせてくれた。これが約40分くらいだったろうか?興味のあった人だったのでちょっと得した気分(笑)。

そして20時少し前、客電が徐々に落ちていよいよSigur Rosの登場!飾りっ気のないシンプルなステージに左からキーボードのkjarri、ボーカル・ギターのjonsi、ベースのgoggi、ドラムスのorriは今はキーボードを出してそこに座っている。そして後方にamina string quartetと呼ばれる女性4人組が配置。S.E.と入れ替わるように3rdアルバムの1曲目「vaka」から静かにLIVEが始まった。ヴァカ?(笑)。全ての音を聴き逃すまいとシーンと静まりかえった場内の空気と緊張感が気持ち良い。

とにかく静寂がとても美しく、澄みきったjonsiのボーカルと相まって夢見心地の時間が続く。ただし、orriの叩き出すリズムはとてもパワフル!それに併せてバンドも大音量になる部分も何度かあるが、基本はあくまでも透明感ある弦と鍵盤の深く深く静かな音。

3rd収録曲を中心に日本でのデビュー盤でもある2ndに混じり、未だ入手困難な1stからの曲や次作が楽しみなるような新曲で静粛かつ幽玄な時間が流れる。各メンバーはメインの楽器以外も器用に演奏するらしく、ちょこちょこと演奏をチェンジしていたし、サポートのストリングス・チームの女性もキーボードやグロッケンシュピーゲル(ヴィブラフォーンかも?)までこなしてCDの完全再現に近い演奏が続く。唯一ベースを手放さなかったgoggiの音色が指弾きやスティックなどを使い分けてバンドの大きなアクセントになっているのが印象的。

ラスト近くに演奏された「svefn g englar」のサビに入ったところで、突然jonsiがギターのボディを口元まで持ち上げた!「まさか口弾きするのか(汗)?!」と動揺してしまったが、もちろんそうではなく、なんとピックアップをマイク代わりに歌い始めた!決して軽くはないレスポールを持ち上げたまま、延々と高音で歌い続けるその姿を見て、頑なに音響に拘る彼らの姿勢を見たような気がした。と同時に「口弾き」を想像してしまった自分が情けなくなり、静かに座布団を3枚返上した。

最後まで立ち上がることなく静かに聴きこんだ満員の観客は、「outro」の音が消えゆく中、次々と立ち上がり割れんばかりの拍手とスタンディング・オベーションで彼らを称えた。それに応えるように2度もカーテンコールに現れ、深々とおじぎをする8人。いやいやスペシャルな夜だった。ホント行って良かった!座席ありも大正解。

終演後、ミキシング卓にいるちょっと怖そうな顔をした黒人スタッフに感動を伝えてみた。親指を立てながら返事をくれたスタッフさん。むぅ好感触♪、チャンスとばかりに「セットリストきぼん」とお願いしたら、つい今しがたまで自分が仕事に使用していたリストをそのままくれた!卓の上で約2時間働いたその紙の感触は、さっき返上した座布団を忘れさせてくれる温もりだった。

−完−

左がそれ、曲名は略されているし英文表記なのでオリジナルとは若干違う。地味に写っている謎の物体がエイリアンでないことを気にしてはいけない(笑)。そう!ここは世界の果て、「宙也 -KINGDOM-」