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Taming Mustang Revised ダイナミックトレモロの調整 改訂版

Introduction

ダイナミックトレモロとの出会いは,実はムスタングではなく,Charモデルがスタートでした。CM-180。いわゆるCharIIですね。これね、わざわざ大阪まで買いに行ったんですよ。プレイヤー誌の広告見て。18万が9万位だった。交通費出してもおつりがくるなとか思って(^^)。今思えばコンディションのことは考えてなかった(笑)。「Charモデルが安く買える!」それだけ。今から考えると勇気あるというかアホというか(^^;

お店に行って「ラッキー!!すげえきれいじゃん!!」…早速試奏。

「…!?」アームを使った瞬間,ひどく狂う音程。「あら?なんだこりゃ?」

「あのー…これ、なんでこの値段なんですかね?(訳:なんできれいなのにこんな安いの?もしかして壊れてるから?)」おそるおそる。

「こういうアーティストモデルはその人のファンじゃないと手出さないですからねー(たしかに)。あとですね、一個前のモデルっていうのもあって委託した人がはやく売りたがってるんで安く設定してるんですよ…」なるほど。一応納得できる理由(笑)。

何にも考えずに買いにくるのもかなりアホだけど、ここまで来て、買わずに帰るのももっとアホだなと思い。

「これ買ったら調整とかしてもらえます?」一応聞いてみる。

「いや、それはそういうものですから」(笑)。

「…」

しばらく考えたものの、どう考えても乗りかかった船はいまさら戻れないところまで来てると判断(笑)。頭の中で、ギターマガジンでCharさんが「どうせこんなもんは狂うって決まってるんだから」って言ってた一言をループさせて(笑)、結局購入。

その時点で初めてダイナミックトレモロというものを生で見た。実際にはそれまでにもCharさんが使ってるの見てるんだけど、そのユニットそのものを意識していなかったわけですね。ダイナミックトレモロについての知識は当然皆無。ほんとに「なんだこりゃ?」っていう気持ちは強かったですね。あの頃はフロイドローズのファインチューナー付の時代だから、そもそもこのユニットのいいところなんて見えやしない(笑)。

「こんな原始的なのなの??…」

この気持ちが強かったかな。

今から思えば、見事なまでに調整されてなかったということですね(笑)。前のオーナー氏はChar IIIが出たからそれを買うために売りに出してると楽器屋さんは言ったんだけど、今から思えば、その人はChar IIIを買っても苦しんだのではないかと(^^)。

このギターで最初に弾いたCharさんの曲はWastedなんです。Smokyじゃないとこがミソ(笑)。Wastedのイントロやって…これじゃ歌に入れねーじゃん!!(爆)って思ったの覚えてる。正直ね、買ったはいいけど、こんなの使えるようになるのか?って疑問が(苦笑)。

その日からああでもないこうでもないと試行錯誤が始まりました。

最初はとにかくアームが使えないから、どうしようと。アームを使わないからはずしときゃいいんですけど(^^;そこはやっぱり付けておきたくて。

するとね、後で書きますけど、ネジがね、緩むんですよね。すぐ落ちちゃう。これも気になるポイント。チューニングしてもいまいちなんか合いにくい。何回もやり直さないと合わない。そんな感じでだましだまし使ってました。困るポイントは次々に、って感じで。

その後半年くらいほっぽっといたんだけど。

その頃から、今でもお世話になってる北九州の楽器工房に出入りするようになった。

で、ある日思いが昂じて(笑)持っていって、相談することに。

まずこれの問題はバネだろうと考えたんですね。自分的に出した結論は「左右のバネの強さが均等にかからないからバランスが取れなくて安定しないのではないか」ということ。

バネを換えれば直るかも…考え方の方向性は間違ってなかったんですけどね(^^)

早速お店に行って「これを修理したい」と。

「どこがおかしいんですか?」と聞かれて。

「アームがあまりにも狂うのでバネを交換してバランスをとってもらいたい」

「わかりました」

数日後。

「出来ました」ということで。

お店へ。

「!」

一目見てアームの角度が違うことに気づいた。

「チューニングの狂いを最小限にするにはまずこの形(アームアップしない)がいいと思います。バネも交換する必要なかったですよ」と楽器屋さん。

Char IIにはテンションバーがついてますが、これも撤去。

「ないほうが安定しますね」

サドルは一番低く設定。

「ここまで下げると音詰まりしちゃうんで1弦6弦にはスペーサー入れときました」

サドルのコマの下に金属の板が挟んである。

早速試奏。おお!狂わない!!

テンションバーなくても特に問題なし。

というわけで、どこをどうするとどうなるという一連のユニットの動きをここで初めて教えてもらいました。

ストラトのシンクロユニットも同様に狂わないセッティングがあると教えてもらったんですけどね。こちらのお店には現在に至るまでほんとにお世話になってます(^^)。

こうして、晴れてChar IIが使えるようになり、メインギターの座を獲得したわけです(^^)。

これ以来あれこれ自分でいじるようになり、自分なりにダイナミックトレモロを調整できるようになりました。

上記のお店ではこの後、アームをぴたっと止めるための加工をしてもらったり、最初のCharモデルではあれこれ実験しましたね。

残念ながらCMDを買うときに下取りに出してしまったので今となってはちょっと後悔しています。


その後、いろんな楽器屋さんとやり取りしたり、オフィシャルサイト上にあった掲示板でやり取りしたりして…

サイト開設当初、自分が苦しんだところは同じように思ってる人も多いだろうと思ったのと、みんなで意見交換するのにたたき台もあったほうがとか思ってこのページを書きました。

「ここがポイント」、というところは書いているつもりでしたが、実際に動かしていく手順としてはもうちょっと説明が足りない部分があったようです。たしかに読み返してみると「準備編」から結論みたいになってますね(^^;

というわけで今年(2006年)の頭に掲示板でぱぱっと書き込みしたら、それをきっかけに、何度か「もうちょっとあの手順を詳しく書いてほしい」というお言葉をいただきましたので、今回改めて加筆することにしました。

今一度お断りしておきますが、ここに書いているものは、ひとつの調整例だと思って読んでいただければと思います。この調整が正解だという話ではありません。また、ここに書いているものはあくまでも「Charさんのコピーをするための調整」がテーマですのでそれをお忘れなく。

ムスタングページに掲載してありますが、70年代のムスタングのオーナーズマニュアルにはダイナミックトレモロの調整の仕方が記載されており、アームアップもダウンも出来る、いわゆるフローティング状態がデフォルト(もしくはお薦め)の設定とされています。

もうひとつ。当然のことながらCharさんがこういった調整をしているかどうかなんて知る由もないし、結果的にそういう形になる、という推理でしかありません。そこのところはひとつ誤解のなきよう。

初稿アップ時にはなかったことですが、2006年現在はCharさんのダイナミックトレモロはアームアップもできるようにフローティング設定されています。音程はストラトと同じところまであがるようになっているようですね。

Taming Mustang

0.準備するもの

1.ユニットをいじる前に

ムスタングについてはいつの時期の個体かでいじる箇所が変わります。
60年代のものはネックとボディとの間にシムが挟まれているものが多く、ここでネックの角度がつけられています。弦高=テンションにも影響する箇所であり、シムの厚さをあれこれ変えてみることで微調整も出来ます。
70年代のものは一様にネックポケットが深くサドルが一番低い位置になってしまうものが多いので場合によってはシムが元々なくても厚紙などで入れてみると良い場合があるかもしれません。ちなみに僕は72年製を気絶仕様に改造したんですが、チューニングと言う点では問題ないんだけど6弦がよく弦落ちするので、今回シムを新たに挟み込みました。ふつうの厚紙です。
ジャパフェンもシムが入っていません。さすが日本製と言うか、ヴィンテージに比べてネックポケットの作りはテキトーではないと思っているので、わざわざシムを挟んだりしなくても良いのではないかと思いますが、この辺は好みの問題なので気になる人はお好みで、という感じですね。どちらにしてもサドルの高さを一番下にして動かなくなることでチューニングが狂うようであればそこは微調整の必要があるかと思います。ここが特に問題なければわざわざいじる必要なし、ですね。

2.ユニットの調整

ユニットはねじでボディに固定されています。ねじをはずすとユニットごとはずれます。ベースプレートの裏側にテールピースをばねで引っかけられるように穴が開いています。

ユニット1
ユニット裏1ユニットの穴

横から見るとこんな感じ。

横からユニットの足

テールピースの足には2段階のバネをかけるところがあります。最初期のユニットはここが1段だったと思います。ジャパフェンは3段階だったかな?このばねをかける位置でばねの強さを微調整できます…微調整になるかどうかわからんけど(笑)。ここの位置をかけ替えながらお好みで強さを調節してください。ただし手でやろうとすると危険が伴うと思います。万力とかないと怪我するんじゃないかなあ。ばねは布団ばさみについてるやつのものすごく強いやつ(笑)ですが「なめてかかるとけがするぜ!」ってやつで、けっこう怖いです。ストラトのばねつけるときより怖かった。万力ない方はリペアショップの人に頼んだ方が無難かと。
今回サウンドロフト特製Black Shoesを新たに装着しました。改良強化新型25%増なので半端な力じゃうまくいきません。某工作室で万力借りてやっと装着完了。

black shoes

3.弦を張る。

弦を張っていきます。ユニットの高さはそれぞれですがとりあえず張ります。

弦を通す張ってみた。

この時点では写真でわかるとおりテールピースの位置が高くなっています。この時点で一応アームダウンもアップも出来るのですが、まだ何も調節していないのでチューニングは合いません。ここから僕のやっている順番をご紹介していきます。上にも書いてますが、これは正解かどうか自信はまったくありませんので、「あくまで参考程度」に見てくださいね。できればリペアショップの方にこれ見て御指導いただきたいところです(^^)。

4.テールピースの高さをいじる。

今これくらいの高さです。

隙間がありますね。

まずチューニングします。弦の遊びがとりあえず無くなるように弦をのばしておいてください。昔はライヴでCharさんのアームの使い方を見ると参考になるってどこかに書いたんですが、今はCharさん、ステージでムスタングのチューニングをしなくなっちゃったのでそのチャンスは減ってしまったかもしれません。ユニットがどうこう言う前に弦の遊びがあるとそれだけで狂ってしまいます。Charさんは弦を巻きながらアームを一回「グンッ」とダウンして、たわんでいる部分を矯正しながらチューニングをしていました。

弦をのばす。

テールピースの調節穴にレンチを入れて回して高さを下げていきます。

レンチ穴

参考までに。これまだ弦張ってないですけど…テールピースの両側にあるこの穴にレンチをさして調節します。

CAUTION!!

この作業をする際には必ずチューニングを緩めて行ってください。めんどくさいですがこのままテールピースを上げ下げするとベースプレートの支点部分を傷めてしまうおそれがあります。テールピースの足とベースプレートは1点で接している、いわゆるナイフエッジ式ですから、この支点が傷んでしまうとチューニングはまず合いません。この話はサウンドロフトさんで教えてもらったのですが、特にジャパフェンのベースプレートはUSAとは焼き入れの仕方が違うのか強度がUSAほど強くないんだそうで、お店に持ち込まれるムスタングで、ときどきベースプレートががたがたになっているものがあるそうです。みなさん、要注意ですよ!張る→チェック→緩める→調節→張る→チェック…めんどくさいですけどこれの繰り返しで行きましょう。

5.テールピースを一番下に下げる。

まずはアームアップしない形を作ります。6弦側1弦側をそれぞれ下げて弦がベースプレートに当たる直前まで下げていきます。ここに来るとアップしないはずです。70年代後期のはここが甘くて一番下に下げてもまだ遊びがあります。ここは70年代後期ものの個性だと思ってください(笑)。PINK CLOUD時代の黒いムスタングをつかっているときのCharさんがHead Songのエンディングでアームを一回上げて最後に持ち込むんだけどそのときは必ず全体がシャープしています(笑)。
…バランス的には高さが同じってのがふつうですけど、下げていけばわかることですが弦の太さが違うわけですからぎりぎりまで下げれば6弦側が微妙に上がった形になってるわけですよね。一瞬こんなんでいいのかなと思いますが、いろいろやってみたんだけど、少なくとも僕の場合はこれで問題ないようなのでこのままにしています。アームを動かすのも1弦側だしだいたい合ってればいいのかなって感じですね(^^;

ぎりぎりまで下げる隙間

ちょっと暗いんですけど、テールピース下の隙間からの光で高さがわかるでしょうか?

6.上げていく。

で、これでバランスがとれたらこれをふまえた形で徐々にテールピースを上げていきます。さっきの逆ですね。緩める→上げる→張る→確認→緩める→調節→張る→確認…これを繰り返して行きます。アップする位置は僕はShare The Wonderの間奏の音程を参考にしてるんですが、あれは本当はムスタングの音じゃないですよね(^^)。まあCharさんのストラトのアップする音を参考に1音半くらいアップするようにしてみました。ヴィンテージでこれやろうとするとフニャフニャでちょっと安定しないんですがさすがBlack Shoes。タフです。

高いでしょ高いですよね

7.合わないときは…

たしかにユニットのバランスとかも大事なんですけど、そのユニットのクセを攻略するというのも大きなファクターだと思います。60年代のユニットは前期中期後期という感じで遊びも強さも違うし、70年代は70年代で遊びどころか甘さがあるし、ジャパフェンはまたUSAとは違う感じがあります。どのポイントだと合うとかそういうのもあると思うんでいろいろ試してみてください。とりあえずCharさんのコピーするにはアームダウンできれば問題ないと思いますからどうしても狂う人は5番でやめておくことをオススメします。Charさん、昔は「ムスタングは3,4弦が弱い」とか言ってましたけど、あれはFUCK YOUムスタングの話。フリースピリットネイキッドでチューニングしっぱなしだったことでもわかりますよね。黒いのは6が弱いし、今のはそんな狂わないし、やっぱりいろいろです。昔はダウンしたあと必ずアップを入れてましたが今は全くそんなことしないですしね。その個体の持つクセをつかむっていうのがムスタング攻略のコツだと思います。