アガリ対策について (2006/1/11)
人前で弾く場合に、あがってしまってふだん通りの力で弾けないという経験が誰にでもあると思います。
演奏の際の緊張は良い方に働けば、集中力を増し、良い演奏につながりますが、過度の緊張で、手が震えたり、テンポが速くなったり、演奏がとまったりすることはなんとか防ぎたいものです。
かくいう私も、昔からひどいアガリ症で、まともな演奏できない経験が多々あります。今でも克服できていないのですが、実体験に基づいて、効果のあった方法を書いてみます。
1.演奏する曲の選定
- あまり難易度の高い曲は避ける
本番では、普段通りには弾けないので、技術的にぎりぎりの難易度の高い曲だと、ミスが増えます。
- 出だしが難しい曲は避ける
出たして失敗すると、最後までその失敗を引きずる恐れがあります。
- 途中で立ち直り可能な、少し休める場所のある曲を選ぶ
休む箇所がないと、立ち直るポイントがつかめません。
- 1曲だけよりも、できれば2曲以上弾く。1曲目は技術的に余裕のある、
簡単な曲を演奏する。
無理のない選曲をして、余裕を持って弾けるよう準備することがポイントとなりますが、どうしても難易度の高い選曲になりがちです。
まずは難易度のあまり高くない曲を選択して、本番である程度弾ける自信をつけてから、難易度の高い曲にチャレンジした方が良いように思います。
また、自分が好きな(弾きたい)曲を選択することが重要です。
2.曲の練習
- 十分な練習を行い、余裕をもった状態で弾けるまで練習を重ねる。
そのためには、かなり前(私の場合は半年くらい前)から練習を始める。
- 暗譜をする
暗譜は苦手ですが、しようと思えばできるものです。
- 演奏当日は本番の直前まで練習できない場合が多いので、予備練習なしにいきない弾いて、どの程度弾けるかを確認しておく
- 家族、友人などに聞いてもらう機会を持つ。テープレコーダーに録音することも良いと思います。
- 曲の分析を十分行い、この部分はこのように弾きたいという、明確な意思・意識を持って弾くこと。弾き流さないこと。
- 技術的に難しい部分は、そこを取り出して部分練習しますが、それでも弾けない(確実性が高くない)部分は、音楽の本質に影響がない範囲で、最小限の譜面変更(簡略化)を検討します。
十分な練習を行うことで、自信が持てます。また、できるだけ本番に近い状態で弾く練習をします。
練習不足で自信がない場合は、結果もよくない場合が多いようです。
3.演奏当日(演奏前)
- 本番の3時間以上前には起床すること。
- ステージでリハーサル可能な場合は、リハーサルを行います
ギターの響き、いすの高さ・硬さ、足台などが自宅で演奏する場合と異なるので、できるだけ自宅で演奏する場合と同じフォームになるよういろいろ工夫してみること。 ホールの響きになれること。
- 柔軟体操、深呼吸を行う。
- ある程度長く緊張する時間を作ること
逆説的ですが、人間はいつまでも緊張を持続できないので、緊張している時間が長くなれば、緊張が緩んできます。
その点、出番が最初の場合は、緊張が緩む前に演奏することになりやすいので、出番が早いのはなるべくなら避けます。
4.演奏当日(演奏時)
- いすに座ってすぐに弾き出さない。深呼吸をして、肩の力を抜き、胸をはって前のめりにならない姿勢を作ること。特に、意識して、肩の力を抜き、リラックスすること。 普段通りのフォームであることを確認すること。
- 出だしを頭の中で歌って、テンポを確認してから演奏に入ること
- 息を吐きながら演奏を開始すること
息を吐く時は緊張が緩みます。
- 音楽に集中する
- 暗譜が完全でなく、譜面台に楽譜をおいている場合は、常に楽譜を見て演奏する。
中途半端に楽譜を見たり、見なかったりすると、途中で演奏位置を見失っったりするのでやめること。
以上の注意を意識して行いますが、本番では余裕がなくなって、これらの注意自体を忘れてしまう恐れがあります。
これを防止するには、練習の時から本番と同じ注意を常に行って、体に覚えさせることが必要です。
自己暗示をかける(人という時を手のひらに書いて飲むなど)のも効果がある場合があるようです。
5.その他
6.まとめ
ステージでは緊張しない人はいないので、緊張してあがることは自然のことです。
いかにあがった状態をコントロールできるようにするかが課題となります。
あがる要因の多くは、準備不足・経験不足による不安であり、できる限りの準備を行うことによって不安を取り除くことがポイントとなるような気がします。