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Chit Chat #9
腕時計を修理に出すために
(S、スプーンの背をじっと見ている。D、腕時計を外して振ったり、耳に当てたりしている。)
S「俺、整形しようかなあ。リッキー・マーティンみたいに。ねえ、どう思う? 顎の骨にシリコン入れてエラを張らせてさ、顎の先端に窪みをつけるの。額の皺も取って、髪切って、染めて、白シャツの胸ボタンを4つ開けて、フェロモン系に変身。」
D「畜生!」
S「やっぱ止めた方がいい? 柄じゃない? あ、あれか、日焼けもしなきゃダメか。……それとも、日焼けより先にジム行って鍛えるべき?」
D「くそ、やっぱりダメだ、狂ってる。」
S「狂ってるわけじゃないよ。俺は至って正気。それがさあ、こないだアンナと会ったんだよ、偶然。ほら、サンドイッチ屋のマリア。でさ、スペイン製の花柄の洗濯板の話からリッキー・マーティンの話題になってさ、彼女、一度でいいからリッキーとダンスしてみたいって言うから、ダンスなら俺も得意だから、今度踊りに行かない? ……って、ねえ、人の話聞いてる?」
D「聞いてない。おい、今何時だ?」
S「11時22分……23分。これちょっと進めてるから、正確なところは20分じゃないかな。あんたのは?」
D「まだ夕方だ。」
S「夕方?」
D「午後6時20分。多分。朝には動いてたような気がするから、午前6時じゃないはずだ。」
S「それ、狂ってるっていうか、止まってるんじゃないの?」
D「そうらしい。どっかでぶつけたか何かして壊れたんだろう。午後は現場だったからな。まあ、寿命って言えば言えなくもない。この時計、確か93年のクリスマス・パーティの景品だったから。」
S「電池が切れただけかもよ。時計屋に持っていきなよ。」
D「時計屋? 何で時計を時計屋なんかに持っていくんだ?」
S「何でって、時計が壊れたら、時計屋だろ。八百屋や床屋じゃ直せないし、精神科医も無理だ。」
D「ああ、そうか。済まん、俺は今、動転しているようだ。」
S「時計が止まったぐらいで?」
D「時計なんて、そうしばしば止まるもんじゃないからな。俺にとってはかなりのショックだ。」
S「時計が止まるぐらいでいちいちショック受けてたら、やってらんないよ? 俺なんか、月に1回は時計が止まってる。」
D「何だと? どうするんだ、そんな時。」
S「時計屋に時計持ってって、電池交換してもらったり直してもらったりしてる。結構気に入ってる時計が止まった時にさ、“いくらかかってもいいから直してくれ”って時計屋に言ったら、結局修理に100ドルかかって、でもちゃんと直って、よかったんだか悪かったんだか。」
D「よかったんじゃないか?」
S「その時計、同じのを買い直したら、50ドルしないってことを知らなけりゃね。」
D「ふむ、その辺り、賭けだな。」
S「いや、賭けってほどのことじゃないけどね。で、どうすんの、それ。振ってたって時計は直んないぜ?」
D「時計屋に持っていくしかないな、お前の指示通り。」
S「明日の朝、持ってけば、電池交換だけなら10分ぐらいで済むし、修理することになったって1カ月もあれば直る。大した問題じゃないだろ?」
D「……修理することになったら、その間、代わりの時計は貸してもらえるのか?」
S「は?」
D「だって、そうだろ、時計を修理に出している間、俺は時計なしで過ごす。その期間、どうやって時刻を知ればいいんだ?」
S「別の時計で。誰だって、腕時計の2つや3つ持ってるもんだろ?」
D「いいや、俺は1つしか持ってないぞ。」
S「何ィ? 1つぅ?」
D「1つだけだ。それが壊れたんだ。ショックだろう?」
S「あ、ああ……1つしかないんなら、ショックだな。」
D「お前は腕時計いくつ持ってるんだ?」
S「あー、えーと、10個ぐらいかな?」
D「10個? お前、時計マニアか?」
S「マニアじゃないよ。出先で時計が止まって、時間がわからないと困るから、安い腕時計を買ってたら、そうなっただけさ。」
D「じゃあ、俺に1つ貸してくれ。修理に出してる間に使わせてもらう。」
S「そんじゃ、明日持ってくるよ。」
D「明日じゃ遅い。今、だ。」
S「今から家に帰って?」
D「いやいや、お前が今している腕時計を俺に貸してくれればいい。」
S「これ貸しちまったら、俺、これから家に帰るまで、どうやって時間を知ればいいんだよ?」
D「お前、携帯電話持ってなかったっけか?」
S「持ってるよ。」
D「それに時間が出るだろ。」
S「あ、そうか。……って、あんただって携帯持ってんじゃん。俺の腕時計を貸すまでもなく、時間わかるだろ?」
D「残念ながら、俺は滅多に携帯を使わない。今だって持ってない。冷蔵庫の中で冷えてる。」
S「携帯は、ビールじゃあるまいし、冷蔵庫で冷やしとくもんじゃないだろ! 使わなくても持てよ! 何のための携帯電話だよ!」
(S、ダンッとテーブルを叩く。Wが来て、Dのカップにコーヒーを注いで去る。D、Sのカップにコーヒーを半分分ける。)
D「まあまあ落ち着いて。……というわけで、ぜひとも腕時計を貸してほしいんだが。」
S「……仕方ないな……。」
(S、熱いコーヒーを啜ってから、渋々と腕時計を外してDに渡す。D、それを腕にはめる。)
D「スティーブ、お前、腕細いな。」
S「あんたの腕が太いの!」
D「ええと、これは何分進んでるんだっけか?」
S「2、3分。」
D「よし、2、3分だな。忘れんようにしないとな。……それで、時計屋に行って、どうすればいいんだ? 身分証明書とかは要るのか?」
S「壊れた時計と10ドルぐらいを持って、時計屋に行けばいいだけさ。身分証明書なんか要るわけないだろ。」
D「10ドルでいいのか?」
S「ああ、電池交換なら10ドルぐらいだね。20ドル請求されたら、ぼったくられてると思うべき。修理が必要な場合は、後払いでOK。」
D「ふむふむ。初歩的なことを聞くが、時計屋の店員には何て言えばいいんだ?」
S「あんた、本当に大人?」
D「十分に大人のつもりだが? 見るか?」
S「何を見せようってんだよ?」
D「身分証明書もしくは運転免許書。」
S「いいよ、あんたの年ならわかってる。……いや、俺、あんたの年、知らないわ。」
D「俺も、お前がいくつなのか、正確には知らん。そんなことはいいとして、何て言やいいんだ?」
S「時計屋で? ロールプレイングしてみる?」
D「よし、やってみよう。」
S「俺が時計屋の店員ね。自動ドアが開いて、あんたが入ってくる。いらっしゃいませー。」
D「あー、えー。」
S「何かお探しでしょうか?」
D「あのー、これー。」
(D、壊れた時計を掲げる。S、それを手に取って、しげしげと眺める。)
S「止まってますね。」
D「そうだ、止まってるんだ。」
S「電池を交換しましょうか?」
D「……いくらかかる?」
S「20ドル。」
D「待て、電池交換は10ドルが相場だと聞いたぞ。」
S「10ドルで電池交換をするような店では、1年持てば御の字というような電池を使っておりますが、当店の電池は特別製で、10年間は電池交換の必要がありません。その上、電池交換だけでなく、時計内部のクリーニング代も、20ドルの中に含まれております。」
D「10年か、そりゃいいな。じゃあ、20ドルの電池交換、やってもらおうか。」
S「カット。値段を聞いたとこまではよかったけど、ダメじゃん、騙されちゃ。」
D「俺、騙されたのか?」
S「ああ、完璧に騙された。本当に10年持つ電池だったら、100ドル請求されるに決まってる。」
D「それが20ドルならお買い得だろう?」
S「それが騙されてるって言ってんの。1年も持たない電池に交換して、20ドルふんだくって、って魂胆なんだから、時計屋ってのは。それに、内部のクリーニングをしたかどうかなんて、客にはわからないだろ? 考えてもみろよ、時計屋が何で存続できてんのか。」
D「時計がこの世にあって、人々に必要とされてるからじゃないのか?」
S「甘いね。時計がそんなに売れるはずがないし、そんなに壊れるはずもない。」
D「でも、お前は10個も時計を買って、お前の時計は頻繁に壊れてんだろ?」
S「まあそうだけどさ、きっと俺は時計運も悪いんだよ。一般的には、俺とあんたの間ぐらいの時計消費のはずだ。」
D「そうだとしとくか。それで?」
S「それで、ええと何だっけ? あ、そうそう、時計屋なんて、そんなに収入があるはずないのに、依然として時計屋はある。変だと思わないか?」
D「時計屋に収入がないってこたないだろ、時計ってのは高いもんなんだし。」
S「高級時計は高いけど、安いのは安いよ。それなんか19ドル80セント。」
D「そんなに安いのか?」
S「9ドル80セントのもあった。4ドル98セントのもね。でも、この辺りの値段だと、腕にはめた途端に止まりそうな気がするから、俺は必ず15ドル以上の時計を買うことにしてるんだ。」
D「ううむ、そんなに安い時計が出回ってるとはな。その値段なら、俺でも10個買える。右腕に5個、左腕に5個はめれば、いつどの時計が止まっても安心だ。」
S「そんなマントヒヒ、絵本にいたよね?」
D「マントヒヒ?」
S「うん、マントヒヒ。猿の一種。両腕にいくつも腕時計つけてんの。」
D「そんなに腕時計つけてどうすんだ?」
S「その答え、今あんたが言ったじゃん。いつどの時計が止まっても安心なように。」
D「マントヒヒのくせに、安心感を求めて、いくつも腕時計してんのか?」
S「俺としちゃ、単に時計が好きなだけなんじゃないかと思うんだけどさ。」
D「マントヒヒのくせに、時計が好きなのか?」
S「恐らく、マントヒヒに腕時計をいくつもはめさせることで、作者は、高級時計をいくつも持っていてそれを見せびらかすような輩を揶揄してるんじゃないかな?」
D「……どうした?」
S「何が?」
D「お前らしくもないことを言って。」
S「……脳に糖分が足りてないのかも。」
D「そう言えば、お前、頼んだモン全部来てないんじゃないか? 何か頼んでただろ、甘いもの。」
S「え? あ、そう言や、何か来てない気がする。……あ、あれだ、アイス乗せパンケーキ。」
D「また邪道なものを。」
S「邪道じゃないよ。パンケーキには、バニラアイスクリームとチョコレートシロップがデフォルト。」
D「バターとメープルシロップじゃないのか、普通は。」
S「そういう地方もある。カナダとか……カナダとかね。」
D「いや、我が国でも通常はそうだと思うがね。だから俺は、パンケーキを食う時はスープ皿だし。」
S「スープ皿? 普通の皿じゃなくて、深いやつ?」
D「そうだ。」
S「何で? パンケーキ切りにくいでしょ、それじゃ。」
D「それはそうなんだが、普通の皿だと、端からメープルシロップが零れるだろう。」
S「零れない。そんなにかけないもん、シロップ。」
D「嘘だろ、パンケーキのメープルシロップていうのは、パンケーキが浸るくらいかけるもんだろ。」
S「いや……違うね、多分。アイスクリームとチョコシロップ推奨派の俺が言うのも何だけど、通常は、2枚重ねのパンケーキの、上の1枚に“何となく”、下の1枚に“ちょっとジュワっとするくらい”かけるもんじゃない?」
D「足りない。それじゃ圧倒的に足りない。」
S「だって、あんたが言うように、皿の端から零れるくらい、もしくは、スープ皿に入れたパンケーキが浸るくらいの量をかけるとなると、1回の食事でメープルシロップのビンが1本空になっちゃわない?」
D「なる。」
S「でしょ? それじゃ不経済だし、毎回買い物の時にメープルシロップを何本も買い込まなきゃいけなくて重たいし、カロリーは取りすぎだし、虫歯にはなるし、何かと問題ない?」
D「ある。しかし、それはそれ、人間がパンケーキを食うって決めた以上、必要悪ってもんじゃないだろうか。」
S「そうかなあ。俺はそうとは思わないな。それに、“人間が”って力説するほどの話題じゃないし。」
D「そうだとも。俺は、家に卵がなくったって牛乳がなくったって平気だが、カナダ産の上等なメープルシロップがないと心の平安が保てないんだ。」
S「そんなにパンケーキ食ってんの?」
D「いや、食わないけどな。食事は外食だし。だが、戸棚にメープルシロップのビンが5本6本並んでいるっていうのは、あれだぞ、安心感があるぞ。」
S「ああ、マントヒヒにとっての腕時計が、あんたにとってはメープルシロップってわけか。」
D「違う。」
S「どこが? 一緒じゃん? 安心感のために必要ないモンを大量に所有するんだろ?」
D「俺のメープルシロップは、全部ちゃんと食える。マントヒヒの時計と一緒にするな。」
S「マントヒヒの時計だって全部使えるよ。“そんなには必要ない”ってだけ。ところで、あんたんちのメープルシロップって本当に食えるの?」
D「何だよ、その質問は。食えるとも。食えるから食品売り場に置いてあるんじゃないのか? 食えなかったら、接着剤売り場とかに置くべきものだろう、あれは。」
S「食品売り場にあった時には食えただろうけど……。だって、家でパンケーキ食わないんでしょ? 今ストックしてるシロップ買ったの、どれくらい前よ?」
D「えーと、あれだ、結婚してる頃だから、3年くらい前か?」
S「結婚してる時に買ったのを、離婚してまで持ってるわけ?」
D「そうだ。離婚する時に、“もうメープルシロップなんて見たくもないわ”って、ストックしてあった分、全部押しつけられたんだ。」
S「ああ、そうだろうね、うちはパンケーキっつったらバニラアイスだからね。」
D「て言うか、いつもメープルシロップを気にかけ続ける生活が嫌だったらしい。」
S「……ま、嫌だよね、普通。」
(W、やって来る。テーブルに、ガチャンと皿を置いて去る。)
S「これって……。」
D「また妙なもんが来たぞ、おい。」
S「……確かに妙だけど……でも間違っちゃいない……。」
D「何だと? これのどこがアイス乗せパンケーキなんだ? どう見てもパフェじゃないか。」
S「うん、パフェでもある。」
D「“パフェでもある”じゃなくて“100%パフェ”だろ。これが“パフェでもあるアイス乗せパンケーキ”だって言うんなら、パンケーキはどこだ?」
S「ここ。」
(S、パフェ用グラスを指差す。)
D「アイスクリームとミントシロップしか見えんが。」
S「え?」
(S、テーブルの上に伸び上がって、グラスの反対側を見る。納得したように頷いて、グラスを180度回す。)
S「ほら、こっちっ側にはちゃんとパンケーキ。」
D「……普通、グラスにパンケーキ詰めるか?」
S「詰めるわけない。それも、こんなぎゅうぎゅうには。もう1枚パンケーキ詰めたら、これ、ブラックホールになると思わない?」
D「なるなる。一体何考えてこんなの作ったんだろうな?」
S「何も考えてないんだろうね。特に、食べる人のことは考えてない。」
D「ミントシロップだしな。」
S「俺、ミント好きだけど、パンケーキにミントシロップってのは初めて。」
D「ミントシロップかかってないとこ、少しくれ。」
(D、コーヒーを飲み干し、カップをSの方に押しやる。)
S「こんぐらい?」
D「その5倍ぐらい。」
S「5倍? それじゃ“少し”じゃないだろ?」
D「5倍だって“少し”だ、その全体量に比べればな。」
S「“少し”って絶対量だって思ってたけど、相対量なの?」
D「時と場合によるんじゃないか? ともかく、5倍くらい。ミントシロップ入れるなよ。」
S「オッケ。その代わり、明日の夜は何か奢ってもらうからね。」
D「マッシュポテトもしくはフレンチフライを半分やろう。」
S「要らない。俺、ジャガイモ嫌い。」
D「ジャガイモ食わないからガリガリなのか、お前。」
S「多分ね。こんなもんで5倍?」
D「そうそう、それで5倍。」
(D、カップを受け取り、テーブルをダンダン叩く。W、来て、カップの中にアイスクリームが入っているのを見て、一瞬躊躇する。しかし、アイスクリームの入ったカップをSの前に置き、Sの前にあった空のカップにコーヒーを注いでDの前に置く。)
D「そう来たか。」
S「もしかして、俺、コーヒーのお代わり貰えたの?」
(D、アイスクリームの入ったカップを取り、そこにコーヒーを注ぎ、コーヒーが半分残ったカップをSに返す。)
D「いや、コーヒーが注がれたのはお前のカップだが、コーヒーを貰ったのは俺だ。でも、半分やろう。アイスクリームの礼だ。」
S「サンキュ。それ、コーヒーにアイスが入ったの、何て言うんだっけ?」
D「コーヒーフロート。」
S「じゃなくて、イタリア語の、何かお洒落な名前。」
D「カフェフロート?(イタリア語っぽく。)」
S「……前にも似たようなこと言ったよね、俺たち。」
D「ああ、言ったかもしれん。で、お前はパンケーキに行き着いたのか?」
S「あとちょっと。」
D「成人男子が猛スピードでパフェのアイスを食ってんのって、そうそうお目にかかれるもんじゃないよな。」
S「俺はそんなの見たことないけど、あんたはよく見るんじゃない?」
D「ここで、な。」
S「そ。だけど、これはパフェじゃないからね。アイス乗せパンケーキ。」
D「パンケーキ入りパフェって言った方が正しいと思うぞ。」
S「あ、ずるい!」
D「どうした?」
S「パンケーキの横に入ってんの、アイスだと思ったらホイップクリームだった。」
D「下にクリーム、上にアイスか? 普通、逆だろ。」
S「騙された〜。あんたにアイスあげなきゃよかった。」
D「もう返せんぞ。腹ん中でコーヒーと混ざってる。」
S「返してもらおうとは思わないけど、でも、悔しい。下もアイスだと信じ込んでた自分が哀しい。アイスクリームとホイップクリームじゃ色艶からして違うのに。」
D「重さも違うしな。」
S「ま、上のアイスの融けたのがパンケーキに染み込んでるだろうから、いいや。」
D「いいのか?」
S「よくなくったって、他にどうしようもないし。」
D「お前、諦めいいな。別にアイス頼んで、改めてその中に入れようとは考えないのか?」
S「考えない。あんたがアイス奢ってくれるんなら、その案を受け入れてもいいけど。でも、今までの経験からして、今俺たちがアイスを注文しても、それがこのテーブルに到着するのは明日になると思うし、間違いなくアイスがサーブされるって保証もない。」
D「その通りだな。」
S「あ、畜生!」
D「今度はどうした?」
S「パンケーキが出てこない!」
D「スプーンを下まで突っ込んで、全体を持ち上げるってのは無理か?」
S「スプーンが下まで届かない。って言うか、パンケーキに阻まれて下まで行けない。」
D「じゃあ、パンケーキの途中の辺りにスプーンを引っかけて慎重に持ち上げてみろ。」
S「やってみてる。でも、ホイップクリームで滑って持ち上がらない。」
D「グラスを立てているからだ。斜めにしてやってみろ。」
S「ぎゃー、破けた!」
D「何が?」
S「パンケーキが。」
D「そんなもん、破れたっていいだろ。」
S「うわっ!」
(S、斜めにしていたグラスを倒してしまう。グラスの中身が一部飛び散る。)
S「かかった?」
D「……ああ、手にホイップクリームがちょっとな。」
S「ごめん。あー、まだパンケーキ出てこないや。」
(S、グラスの中を覗き込んでいる。グラスを逆さにしてみる。D、紙ナプキンで手に飛んだホイップクリームを拭う。)
D「お前の時計、ミントシロップ臭くなったぞ。隙間に入ったクリームが拭いても取れないし。」
S「マジ?!」
(S、Dの腕にはめられた腕時計の方に目をやる。その途端、パンケーキがテーブルの上にボタッと落ちる。)



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