「祝祭〜バッハのクリスマス」

バッハ・コレギウム・ジャパン

(2002年12月10日、東京オペラシティ)

 

BCJによる特別プログラム。曲目はオール・バッハで、前奏曲とフーガ ト長調BWV541、コラール・プレリュードBWV715、管弦楽組曲第3番、モテット「主に向かって新しき歌を歌え」BWV225、そして後半はマニフィカートのクリスマス・ヴァージョン 変ホ長調BWV243a。マニフィカート以外はクリスマスと関係ないが、いずれも長調の明るく華やかな曲ばかり。そして、鍵盤曲と管弦楽曲、声楽曲、ドイツの伝統とイタリア・フランスの影響、厳格様式とギャラント様式など、バッハの音楽のさまざまな側面を一夜のコンサートで聴かせようという、ぜいたくなプログラムだ。ソリストは、野々下由香里、星川美保子、波多野睦美、櫻田亮、浦野智行の各氏。

BCJを生で聴くのは初めてだが、期待にたがわない立派な演奏。いつもどおり、声楽ソリストは演奏スタイルが見事に統一されている。しかし、予想したとおり、響きがやや物足りないと感じた。この日は5声の二部合唱曲があるせいで、合唱の人数はいつもより多かったのに、それでもやはりホールが大きすぎるのではないか。

右側の2階席の前の方で聴いたので、演奏者の動きがはっきりと見える。管弦楽組曲第3番などでは Vn1、Vn2、Va の対位法的な動きが、ちょうどスコアを見ながら聴いているときのように、聴覚と視覚の両方から感じ取れた。バッハを生で聴く楽しみの一つだ。

ヴァイオリンのパートには小野萬理、高田あずみの両氏が見えた。二人ともいつの間にか、すっかりベテランの域。失礼ながら親子ほども違う(ように見える)若いメンバーと並んで弾いている。日本の古楽界の歴史が凝縮されているようだ。

それにしても、聴衆には若い人が少ない。少なく見積もっても、半分はおそらく50代以上だろう。20代、30代はウィークデーは忙しいのだろうし(仕事を抜けられない?)、それにコンサートの入場料はあまりに高い。お金と暇のある聴衆で、頻繁に開かれるコンサートがほぼ満席になっているのだから、興行的にはこれで申し分ないのかもしれないが、若い人がコンサートに来ないのはちょっと寂しい。

(ガンバW、 2002年12月)