腕マフラー

消えそうなほど 遠くはなくて
触れられるほど 近くは無くてねえ

雲のサナギが 君の手に渡ったら
ツギハギの翼で 空を歩いてく

僕の未来から 太陽取り出して
ポケットに忍ばせて君を待っていた

無機質な魂で
分け合った体温を覚えた
やわらかい色をした 短い針は
月のフィルターを 一つこわした


笑えるほど 小さいままで
消えられるほど 強くはなくて

雲のサナギが 君の手に渡ったら
銀色の背中が 輝いてる

よごれた両手を 君のマフラーにして
憂鬱な光が 僕を照らし出した

干からびた指先で
確かめた輪郭を忘れた
舌の先から見えた笑顔が
消えないように ほどけないように