+振舞い・性格+ |
ベートーヴェンの振舞いはいつもぎこちなかったらしい。
ベートーヴェンはきわめてぎこちなく、不器用に振舞った。
動作もぶざまで優雅さのかけらも無かった。彼が何か物を手に取ろうとすると、ほとんど決まって落とすか壊すかした。
どんな物もみなぶつけられた跡があり、汚れて、壊れていた。
しばしば頬に作った切り傷の事を考えただけでも、どうしたら何とか顔を剃る事ができるのか、
彼には理解し難いほど難しいことなのである。
要するに彼は、音楽にあわせて踊れるようには決してなれなかったのである。
フェルナンディナント・リース(Wegeler,1987)
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+矛盾な性格+ |
『ベートーヴェンの性格は矛盾で満ちていた』とさえ書かれてしまうほどの彼だが、
かなり気性が荒く、お調子者だったのには違いは無かったと見られる。
ことのほか親切かと思うと、突然厳しく冷酷になったり、気難しいと思うと威勢がよくなり、子供じみたユーモアがあったらしい。
彼の矛盾は、手紙でも残されている。
『もう私のところには来ないでくれ!君は不実なやくざ者だ。願わくば死刑執行人よ、こういった連中をみな縛り首に
してしまってくれ!』
そしてこの手紙の直後の手紙
『わが心より愛する可愛いイグナーツよ!貴方は誠実な人だ。私は今貴方が正しいことがわかった。
・・・太っちょこと、貴方のベートーヴェンより口付けを』
(二通ともヨハン・ネーポムク・フンメル宛てたベートーヴェンからの手紙より)
私の愛すべきベートーヴェンは、このようにかなり可愛い性格である。(笑)
ハッキリ言って、物凄い可愛らしい。ベートーヴェンのユーモラスな部分は、手紙だけでなく、曲名などにも現れている。
カノンや、合唱曲などの曲名に、『でぶっちょちゃんお顔を見せて』など、私にはベートーヴェンがよく『でぶっちょ』と言う
言葉を好んで使っているように見える(笑)(その他作品リスト参考のこと)
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+若かりし頃の性格+ |
また、若かりし頃のベートーヴェンは遠慮が無い性格だったらしい。
強情で自尊心が強く、自分の意にそぐわない事は、決して進んで従おうとはしなかった。
フェルナンディナント・リースが、こう記している。また、友人で、四曲ほど曲を献呈している、
リヒノフスキー侯爵にも次のように主張するほどである。
ベートーヴェンは礼儀作法やそれらが意味することについて、てんで勝手が分からなかった。 彼はこうした事柄には全く関心が無かったのだ』 フェルナンディナント・リース(Wegeler,1987)
侯爵よ、貴方が現在あるのは、たまたま生まれがそうだったからに過ぎない。 私が現在あるのは、私自身の努力によってなのだ。
これまで侯爵は数限りなくいたし、これからももっと数多くの生まれるだろう。
でも、ベートーヴェンはたった一人しか居ないのだ! リヒノフスキー侯爵に口論の後宛てたベートーヴェンからの手紙(Kerst,1964)
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+病気の影響+ |
ベートーヴェンが耳の病気を患うようになると、そのネガティブな部分が前面に出るようになる。
この事は、『病気、死』のページにて触れるが、病気によって彼の振る舞いや、性格も大きく影響されていく事になる。
コミュニケーションが取れないという事が、彼を内気にさせた。
音楽家のベートーヴェンとしてだけでなく、友人との関わりや思想の交換を重んじた彼にも、由々しい影響を及ぼした。
彼は文通に頼るようになり、何日も返信がもらえないと、意気消沈してしまっていたらしい。 |