2002年3月18日 本来なら2001年8月に来日していたはずの
ARCH ENEMY 日本最終公演に行ってきました

アンジェラの喉の感染症により来日が延期され
待ちに待った公演となったわけです

会場は原宿アストロホール
キャパシティわずか400人の小さなオールスタンディングの会場です

整理番号は後ろの方だったのですが
中に入ってみたら結構前のほうに空きがあったので
勢いで最前列まで行ってみました

場内のSEはJUDAS PRIEST
ARCH ENEMYらしい選択だと思います

開演予定時間19:00を少し回ってから
サウンドチェックを始めるスタッフ・・
先にやっておけよとか思ったのですが・・
しばらくすると空調が入り ホールはおそらく18度くらいになりました
半袖になってた人にはとても寒かっただろうと思います
次はスモークが一斉に噴出し 開演が近い事を知らせてくれました

スモークでステージが覆われ
空調によりフロアも適度にクールダウンした頃・・・
SEのJUDAS PRIESTが鳴り止み 場内が暗転

低音ストリングスの不気味なSEが鳴り
雷鳴に似たサンプル音が混ざる中
ステージ両脇に 最新作WAGE OF SIN のアルバムジャケットを模した
照明が点灯

やがて、ステージには赤いライトが一本ともり・・・
それが消えると次は赤いライトが2本
低音ストリングスの音が小さくなると 美しいピアノの調べが
新作のオープニングトラック ENEMY WITHIN のイントロフレーズを奏でる

ステージに最初に現れたのはドラマーのダニエル
ドラムセットの暗闇の中 両腕を突き上げ スティックを掲げたダニエルの影が見え隠れする

美しいピアノイントロが終った後は
怒涛のへヴィメタルイントロのスタート
ステージ脇からマイケル・アモット&クリストファー・アモットのアモット兄弟
そしてベーシストの巨漢シャーリーが一斉に飛び出てきて
すかさずヘッドバンキングを決めての圧巻イントロ
この時点でさっきまで寒いくらいに感じていた空調は既に意味をなしてなかった
最前列はヒートアップ
モッシュピットが出来上がり 巨大な人のうねりと化していました

おそらく 今回の来日に参戦した人の思いは全て同じだと思います
ARCH ENEMYほどのブルータルメタルバンドに女性シンガーが加入
この信じられないニュースの衝撃とそのシンガーの実力は
BURRN誌の人気投票の結果に如実に現れたと思います
その注目のニューシンガー アンジェラ・ゴソウの登場
会場に居た誰もが彼女の実力を見たいと思ってたはず
そして、彼女の実力は想像以上のものだった

アンジェラは物凄い美女です
雑誌で見るよりもずっと美しい女性です
へそだしルックの短いシャツを着込み 金色の長髪を振り乱しながら
超デスボイスでのパフォーマンス

アンジェラの声はアルバムそのままです
存在感も圧倒的
ARCH ENEMYの他のメンバーと比べれば小柄なアンジェラですが
ステージ上での存在感は他のメンバーを食ってました

しかも、フロアを扇動するのが上手い
曲がギターソロになれば アンジェラはマイクスタンドを頭上に掲げ
メロイックサインを作り リズムにあわせ上下させます
するとフロアもメロイックサインを掲げ ジャンプしたり 強烈にヘッドバンキングしたりと・・
とにかくフロアを熱狂させます

ARCH ENEMYのパワーはとどまる所を知らず
ENEMY WITHINから続いた2曲目でも 最前列のモッシュ状態はそのまま
割とミドルテンポになった時には
すかさずアンジェラが煽りを入れ 客席を休ませる事をしません

3曲目前に 簡単なMC
と〜〜〜きょ〜〜〜〜〜 ってなデスボイスを決めた後
普通の声で話し始めるアンジェラ このギャップも凄いです
曲紹介の時には再びデスボイス
新作からのHEART OF DARKNESS へ

HEART OF DARKNESSでは サビの部分を観客に歌わせるアンジェラ
間奏部分ではクリストファーがソロを引いている間
マイケルとシャーリーが向かい合ってのリズム合戦を繰り広げた
シャーリーは身長2Mはある巨漢でベースが良く似合っている
フロント4人が全員長髪でヘッドバンキングと共に上下にバサバサと揺れる髪を見ていると
これぞメタルの醍醐味と思ってしまう
この盛り上がりにクラウドサーファーが現れたほどだ

楽器隊だけがステージに残ってのインスト曲でも
3人並んでのヘッドバンキングの光景がとても様になってる

BURNING ANGEL、RAVENOUSと言った新作からの曲での反応も上々
時折クリストファーのギターサウンドがハウリングしていたが
そんな小さな事を気にする必要もないほどフロアは完全なメタルマニアの渦と化していました

一息ついてアンジェラが再びMC
今日が日本での最後のショーとなること
そして、今までのツアーの中でも今日の観客が一番クレイジーでグレートよ ってお約束のMCを入れた後
あなたたちにプレゼントする曲よ と言いデスボイスでTHE FIRST DEADLY SIN のタイトルコール

ミドルテンポで始めるこの曲は開始と同時に
モニターの上に立ったアンジェラが客席にコブシを突き上げるように煽る
再びメロイックサインが掲げられ HEY HEY の掛け声と共にミドルテンポのイントロは進む

イントロの最後を伸ばしマイケル シャーリーもモニターの上におのおのの楽器を掲げて立ち上がり
フロアを指で一周指し煽る
モニターを降りたマイケルが激烈なヘッドバンキングを始めると同時に
最新作NO1のブラストビートナンバーがスタート
とにかく高速の刻みだ 音抜けは余り良いとはいえないが
ステージ上のパフォーマンスでその激しさは十分に伝わる

この曲ではミドルで始まりブラストビート そしてまたミドルとなる展開
ミドルテンポになった時にはすかさずアンジェラのコブシがつきあがる
徹底的にフロアを休ませないつもりだ

コーラスが終ったあと 再び間を長く取り
変則リズムでのソロに突入
ストロボの照明が実にこの曲にマッチしている
この間奏でも合間合間に合いの手を入れさせるアンジェラ
とことん攻撃的なメタル姉ちゃんのパフォーマンスだ

曲が再びブラストビートに戻り 一瞬のブレイクが入るのが
この曲のハイライト
ブレイクで全ての音が消えた一瞬の静寂のあと
フロント4人による強烈なヘッドバンキング そしてブラストビート

ダニエルのドラムソロタイムでも強烈な2バスを基本とした
ロールを決め ここでも客を休ませる気はさらさらないのが伝わる
バスドラの響きは心臓をわしづかみにされるような重低音
ドラムソロ終了後 ステージ両脇からスモークと共に照明が当たり
その光でステージは何も見えなくなる
上手い演出だ
雷鳴を模したSEが再び鳴り響き 照明が普通のセットに戻った時
ステージ上には再び荒れ狂う4人のフロントマンの姿が

とにかくARCH ENEMYのライブはアグレッシブだ
ヘッドバンキングしないでいられる曲は一曲もない
腕も突き上げたまま
フロアのあちこちでメロイックサインが掲げられ
アンジェラの元 フロアは完全な一体感を味合わせてくれる
DEAD BURY THEIR DEADのようなミドルテンポでは
必ずといって良いほどアンジェラの煽りが入る
とことんメタルな姉ちゃんである

1時間ほどのステージの後 本編が終了
もちろんこれだけで終らせるわけには行かない
アンコールではまずマイケルが登場
Vギターを掲げ モニターの上に立って観客を見渡す
アンコール一回目は2曲で終わり 再びバンドは袖へ・・・
この2曲も真性へヴィメタルナンバーでフロアは飛んで跳ねてヘッドバンキング

2回目のアンコールではまずクリストファーが登場
耳に手を当て 観客に声を上げさせる
続いてマイケルが登場しての兄弟ギター掛け合い
そして、アルペジオの美しい旋律と共に
SNOW BOUNDへ
曲の途中からダニエル&シャーリーも参加し
フロアでは掲げたメロイックサインを左右に揺り動かし
この叙情的な調べに身を任せている
アルバムの曲順どおり SNOW BOUNDからSHADOWS AND DUSTへ

イントロ最初のコードでマイケルがフットスイッチを踏み忘れ
思い切りクリアトーンで弾いてしまうというミスw
それを見たシャーリーが何やってんだよみたいなニヒルな笑いをマイケルに向けてたのが
このバンド仲良しだなって印象を与えます^^
次ではしっかりスイッチを切り替えたマイケル
コブシを突き上げミスを取り返すように煽りを入れる
合いの手の入れやすい曲で コードのあとの静寂に HEY って掛け声が入る

アンジェラが登場
メタル姉ちゃんのパフォーマンスは最後の最後まで途切れる事はなく
この曲のエンディングでのリピートパターンでは
スタンドを頭上に掲げて HEY HEY HEY って煽りを入れる
今日この光景を何度見ただろう
アンジェラのパフォーマンスは疲れを知らない
美しさと激しさが混ざったまさに美女と野獣

そして、この曲のアウトロから公演最後の1曲へと突入
フロアはもう何がなんだかわからない状態だったけど
とにかく凄い盛り上がり
前曲ラストでの掛け合いがそのまま引き継がれている
最後の曲のアウトロでフロアから歌声が響く
ギターフレーズにあわせたコーラスだ
しばらく歌ったあと 曲は再び激しさを増し
ついにエンディングへ

エンディングと同時にアンジェラのデスボイスで
TOKYO!! THANK YOU!! SEE YOU NEXT TIME!!!
そして楽器隊が最後のコードを決めライブは終了
BGMが流される中 バンドがならんで挨拶

このBGMが終ると共に
客電がともされ ライブは終了

最初から最後まで完全に計算されたショーであると同時に
最高のライブでもあった
ARCH ENEMYのような美しいメロディと激しさを同居させるバンドらしい演出だ

実はARCH ENEMYのアルバムは一枚しか持っていない
最新作WAGES OF SINのみだ
このアルバムの収録時間は44分
ライブは1時間30分だった
アルバム全曲演奏したわけではないので
ライブの半分以上の時間は知らない曲を聞いていた事になる

しかし、曲を知らない事に何の意味もなかった
本当に良い曲には体が勝手に反応するのだ
ARCH ENEMYの曲はまさにそれだった
全く聞いた事がなくてもアンジェラの扇動でいくらでも盛り上がる事ができた
パフォーマーとして最高レベルの人なのだ

今までにライブは何本も見てきたが
これほどまでの一体感と盛り上がりを感じた事はない
ARCH ENEMYはBURRNにおいて200%のパフォーマンスを発揮するとコメントしていた
実際は200%どころではない
あの空間には確実にメタルフラッグが掲げられていた
これほどのバンド これからが楽しみでしょうがない

メンバー全員がカリスマ性がある上
パフォーマンスも素晴らしい
21世紀新星と呼ばれるに相応しいバンドはARCH ENEMYしかいない
そして、メタルは未だ死んではいないことを感じさせてくれた一夜だった

ARCH ENEMYのWAGES OF SIN
レビューを書いた頃は デスボイスに免疫がなく80点という点をつけた
今ならあのアルバムに95点以上は確実につける