1月30日(水) "そうだ!We're ALIVE"の衝撃

何を今更、もう1月が終わろうとしているのに、あけましておめでとうございます、です。

例によってまた氏んでました。"Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜"が日本覚醒の狼煙となることはなく、その後の娘。関連リリース曲はタコ続き。失業者が巷にあふれ、そこらじゅうに借金がうずたかく積み上がり、デフレの進行が遠くない将来のハイパーインフレの恐怖を煽る。ビンラディンはついに捕まらず、餓鬼どもは弱いもの殺しに血道を上げ、外務省はアフガン復興支援会議で恥を晒しまくる。もう鬱になるしかないのです。

でもでも、それでも、やっぱり娘。は娘。でした。ここだけは悪意も醜態も残酷も悲劇も、んなものかけらもありません。もう聞いちまったものはしかたがない、"そうだ!We're ALIVE"なのです。スゲェです。なんかこういう下卑た言い方でカッコつけてスゲェぜ、めちゃイケてるぜみたく言いたくなっちゃいます。かっこつけるの苦手なんで、うまく言えてないですね。

まだ聞いてないという不幸な方はここで聞くことができます。こういう直リンでの紹介というのは、どっかでルール違反なのかもしれませんが、なんかそんなのどうでもいい気分です。"Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜"の時もそんな感触を持ったのですが、もうここまで来てしまうと、この曲が、そして娘。が存在してくれていることの幸福を、少しでも早く少しでも多くの方々と分かち合いたいという気持ちでいっぱいです。売れる売れないとか、オリコンチャートとか、そんなのもう関係ないというか。

ああそうだよ、これはいわゆる流出ものですよ。確かに不正ですよ。でもね、これを聞かずにどうする?でもって聞いちまって、これが黙っていらりょうか?大声あげてみんなに知らせないでどうする?妙な比喩だけど、ちょっと東方の三博士(誤訳ね)みたいな気分ですよ。「救い主がお生まれになった」そんな気分ですよ。これを皆に知らせないなどという大罪をどうして犯せようか。

まだ音質はそんなに良くないし、歌詞の詳細もはっきりしないけど、すごい曲だということは誰にでもすぐに伝わることでしょう。この段階で勇み足の論評を加えるのもどうかとは思うのですが、私の思い入れとしてどうしても指摘したくてたまらないことがあるので、書いてしまいます。この曲には「過剰」が満ちあふれているのです。

"Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜"はすばらしい曲でした。何がすばらしいって、そりゃ完成度です。完成されたエンタテインメントとしてのレベルの高さです。こんな高みに登ったエンターテインメントは日本では空前です。この曲で、娘。はまちがいなくエンターテイナー日本一になりました。

けれども、"Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜"にはないものねだりの欠陥ならぬマイナスの欠落がありました。それは過剰さです。あまりにも隙なく作り上げられ、積み上げられ、遙かな高みにまで登ったが故の完璧さ、それが過剰を飲み込み、過剰が入り込む余地を奪ってしまっていたのです。

もちろん娘。の技量には多々問題があり、"Mr.Moonlight〜愛のビッグバンド〜"の楽曲全体が持つ完成度の高さを、表現し切れているとは言い難い面があります。が、であればあるほど、過剰が存在する余地すら消滅するしかありません。拙さを遙かに凌駕してしまう楽曲、ホントすごいんです。

その「過剰」、私にとっては待望久しい「過剰」が帰ってきました。新曲"そうだ!We're ALIVE"には過剰が溢れかえっています。トレードオフとして完成度は前曲に比べて、やはり下がったと言わざるを得ないでしょう。けれども下がったはずの完成度にして、既に「日本一」です。気がつけば娘。は、そんな高みに到達しているのです。

そして嬉しいじゃないですか、日本人の失われた本性「清楚にして豊饒」が、この曲にもしっかり受け継がれています。明治維新後、日本の近代国民国家化の過程で隠蔽されて行った日本人の姿、糊塗され抹殺されたかに見える日本人の姿、形式美、様式美的な美意識、倫理性と、デュオニソス的な享楽性の融合、世界でも、もしかしたら日本にしかない不思議な心性が、この曲からも力強く感じられます。

ちなみにちなみに、誤解を招かないよう一言書いておきますが、私は安易に過剰蕩尽論をぶっているのではありません。生命現象がエネルギーの過剰なくして存在し得ないというような、もっと原初的な感覚で過剰を待望しているのです。

少しく我に返って、娘。のポジションを考えてみれば、この曲は相当にとんでもないです。こんな曲をメジャーで歌っている輩なんているわけありません。ポップチャートの上位の曲をざっとながめて誰でも容易に分かることですが、"そうだ!We're ALIVE"は圧倒的に異端であり異常です。

娘。は「国民的アイドル」と呼称され、知名度抜群、テレビに出ない日はないという存在です。はっきり言って、女の子アイドルの一つの時代を代表する存在、既にして歴史的存在です。つまりはど真ん中、正統中の正統、ガルトゥングモデルにおける中心の中心です(なんのこっちゃ)。

しかし、"そうだ!We're ALIVE"は、間違いなく周辺の周辺的在りようです。いや周辺どころか辺境と言うべきでしょうか。中心が辺境を採用する、そんなことはあり得ないのですが、もしそれが実現しているとすれば、それは「革命」と呼ばれる歴史的事象にあたるのかもしれません。

あえて表現を和らげて「革命的」くらいにしましょうか。日本の歴史を顧みて中心が辺境を採用する時、例えば壬申の乱、例えば戦国時代、例えば明治維新、すべて新生国家が誕生しています。いかん、大風呂敷を広げすぎてるなと気づきつつ、娘。は現状のドロ船日本に革命の鐘を鳴らすのだろうか、などとほざいてみたりする・・・。

一つ、無茶苦茶な提案だけど、この曲を「君が代」に代わる新「日本国歌」にしませんか?だって「君が代」は歌いにくいんだもん。歌詞の内容が分かるようで分からないし。小室哲哉氏が密かにねらっていると噂される(ホント?)新「日本国歌」ですが、だったらよけい、この曲を私は推します。






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